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前回の記事を読んだ新米メディア編集者から、「原稿料ってなんであんなにバラつきがあるんですか?指標となる記事のクオリティーはあるんですか?」と質問を受けたので、今回はそのお伝えします。
いざ原稿料を支払うとなった際、一体いくら払うべきなのか。そもそも何を基準に決めているのか気になるお金を話です。
原稿料はどう決まる?
1記事10万を高給取りのライターがいる一方で、なかには1記事50円や100円で書いているライターがいます。それはなぜなのでしょうか。
それこそ質の良し悪しで決めているんじゃないの?と思われる方もいらっしゃるでしょう。もちろんそれもあります。しかし、厳密には質の良し悪しだけで原稿料に差が開いているわけではありません。
原稿料の違いとなる要因は、ライターが持つ“専門性”と“ネームバリュー”です。
例えば、株取引に関する記事の制作を迫られているとしてます。あなたなら下記のどちらのライターに仕事を依頼しますか?
- ライターA:幅広い知識をと執筆速度がウリ。どんなジャンルも書き上げる元新聞記者。ライター歴15年のベテラン。
- ライターB:有名な株ブロガー。元大手証券会社勤務で豊富な知識がある。ライター歴は半年と浅く執筆に多少時間がかかる。
文章力や生産性という点で考えれば、迷うことなくライターAを選ぶでしょう。
しかし、テーマが株取引であることを考えると、専門知識を持つライターBに頼むべきです。ただ、上がってくる文章の質はライターA比べれば拙いものとなっているのは否めません。
ではこのふたりを比較した際、原稿料はどちらが高くなるでしょうか。
すべての事例に当てはまるわけではありませんが、この場合はライターBの方が高くなる傾向にあります。
ライター歴を考えればライターAの方が高くなりそうですよね。しかし、元証券会社勤務という株のプロとしてならしてきた知識と、著名なブロガーとしての拡散力を加味して考えると、編集者的にはライターBに高額な原稿料を支払おうとなります。
文章の質や構成力ではライターAが遥かに上。しかし拙い文章だとしてもプロとして培った専門的知識と有名人であるという経歴が、ライターBの原稿料を引き上げるわけです。
もちろん、ライターAがキャラクター性のある方で知名度の高い方であれば、専門分野を持たなくても拡散力を考えた場合、原稿料が高くなることもあります。
ライターのバックボーンやキャラクターが、原稿料を決める大きな要因となっていることがわかりますね。
では10円や50円は低すぎるにしても、300円や500円といった低価格の原稿料で執筆するライターはどんな人たちなのか。
その多くは実績の少ないライターとして駆け出しの人たちです。駆け出しといえども中には文章力の高い人もいまが、専門性もなくライターとしての実績も少ないので、原稿料は低くなってしまいます。編集者側からすると高い原稿料を支払うには二の足を踏む、というわけですね。
優秀なライターを集めるため適正な原稿料を知っておこう
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クラウドソーシングサービスにはそれこそ10円、50円、100円といった原稿料のライティング案件が溢れるほどあります。だからといって、このような異常に低い原稿料をあなたも提示していては、優秀なライターは集まりませんし育ちもしません。
優秀ライターは案件の工数と原稿料をしっかり天秤にかけて仕事を選びます。
どれだけ安く発注したいと思っていても、優秀なライターを募るのであれば文字単価1円以上になるように設定しましょう。画像の選定やWordPressなどへの入稿も工数に入るのであれば、文字単価2円以上の設定がマスト。
普段クラウドソーシングサービスを利用してライターに発注していると、前述した単価は高いな~と感じるかもしれません。しかし、本当に優秀なライターがその金額で記事を書いてくれるのであれば、どう考えても安いです。
「テスト案件の場合、不合格の原稿には原稿料をお支払いしません」という業者がたまにいますが、それもやめましょう。ライターはテスト案件であっても真摯に取り組み原稿を作り上げています。
テスト案件だから原稿料を支払わないといのは“タダ働きしろ”と同義です。そんな会社には優秀なライターは集まりません。
適正な原稿料を提示することが、ライターとの信頼関係をつくるはじめの一歩です。
後編へ続く。