国内企業の20%しか知らない?持っているとメディア関係者に喜ばれるとウワサのファクトブックを作ってみた FavoriteLoadingあとで読む

: 東郷 宝
突然広報に任命されたけど一体何をしたらいい?プレスキットって何が必要?未経験から広報をやることになった経験を交えてお伝えします。今回のお話はファクトブック(FACTBOOK)です。

ウェブジョブズは少人数ながらも、開発やデザイン、PMなどウェブのエキスパートが揃っています。
ただ、たったひとりウェブの知識的にも技術的にも全くついて行けていないポンコツメンバーがいるのです。

そう、なにを隠そうこの私です。( ・´ー・`)どや

じゃあそんなウェブの知識も技術もない自分が何をやっているのかというと、メディア編集をやったりマーケティングをやったり、他にも広報なんかを担当したりしています。
もともとメディア編集者だったので(今もですが)その経験を活かしたお仕事をしているわけです。

申し遅れました、メディア編集者兼広報担当のたからです。お疲れサマンサターバサ(竹野内豊かっこいい)。
ウェブ通では過去に、文章術やメディア編集者のお仕事についての記事を中心に書かせていただきました。

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ただ今回はこれまでとはちょっと毛色の違う、広報に関わるお話をしようかなと思っています。

これさえあれば広報は楽勝?
メディアアプローチの必須級アイテム「ファクトブック」

「もし良ければサービス資料やファクトブック送ってください」
ウェブジョブズ肝いりのQA事業の広報担当として、いそいそとメディア関係者にアプローチしていたとある日の午後、こんな返事が返ってきました。

はいはい、オーケオーケー。ファクトブックね、かしこまり!
てな感じで軽く返しましたが、正直なところ「ファクトブック…てなんや!?」と、心の中はテンパりまくり。
能面のような変化のない顔を心がけていましたが、急いで調べたのは言うまでもありません。

「文章が書けるんだし広報もいけるっしょ」と、訳のわからん理由で未経験広報として活動してまもなくのことで、広報が何をするかも全然わかっていない状態でした。

ファクトブックとは

社内で聞いてはみたものの誰もわからんということで、安定のGoogleさんに頼ってみたところ、
プレスリリース配信サイトPRTIMESさんのメディア、PRTIMESMAGAZINEにファクトブックについての記事がありました!

「ファクトブックとは、企業のサービス、歴史や業績を伝えるために数的根拠や事実を元に情報をまとめた資料です。」

引用元:PRTIMES MAGAZINE 広報担当者が知っておきたい「ファクトブック」の作り方、必要な5つの項目、ポイントを紹介

なるほど。なんとなく概要はわかりましたが、何をどう作ればいいのかまでの具体的なイメージがいまいちピンとこず。

そこで最近お世話になっている広報コミュニティで相談してみることに。

相談したコミュニティ

#PRFunho
広報の集い

会社案内やサービス資料との違い

「一般的な会社説明資料とのファクトブックの明確な違いもわからない状態でして、皆さまのお知恵をお借りできないでしょうか。」
こんな感じのメッセージを投げるとお返事が!

そこでのありがたい助言をまとめると、こんな感じ。

  • ファクトブックと会社説明やサービス資料との大きな違いは、“会社を説明する情報やサービスを並べるだけでなく、客観的な事実(ファクト)やデータをふんだんに盛り込んだ内容”である点。
  • ファクトブックのほうが、企業が置かれている環境(市場環境や社会環境)の説明が入っているかどうか、また企業に関わるストーリー(最近流行りのナラティブforbesjapan.com/articles/detail/42287)が含まれているかどうかがポイント。その企業やサービスがどういったことを考えているのかがひと目で分かる。
  • IRのように数字を細かく出すようなタイプや社会課題の切り口で出しているものあり、会社のブランディングイメージやサービスのキャラクターによって、いろいろ見せ方やアイデアがある。
  • 記者視点からみると、企業取材が行いやすくなるだけでなく、業界情報や周辺情報まで広く収集できるため、とても重宝する。
  • ファクトブックを作成している企業は全体の20%前後なので、差別化が図れる。
    ※ファクトブックを作成を企画した2022年2月時点

その際に教えてもらった以下2つのファクトブックがとても参考になりましたので共有します。

参考にしたFACTBOOK

スマルナ 『経口避妊薬ファクトブック』
radiko 『防災ラジコファクトブック』

自社やサービス知識のアップデートに役立つ

さらにこんなありがたい助言もいただきました。

「中小企業やベンチャーでは、そもそも会社説明資料がなかったり、会社やサービスの定義がそもそもできていない、なんてことも少なくないですよね。そうした状況において会社やサービスの言葉の定義、語り口の定義を担うものでもあると考えています。あとはファクトブックを作る過程において、市場環境を調べたりすると思うのですが、要はメディアや業界のベテランの人と同じように客観的に語れるだけの知識を入れないといけないと思うので、そのインプットにもなるかなと思います。」

実際にウェブジョブズのファクトブックを作るにあたって、これが必要であれも必要、これはいらないと、自分たちの会社やサービスに向き合うことができたので、業界知識のアップデートにかなり役立ちました。

会社の外から見るような視点で自分たちを捉えることができたことたので、この経験は大きな資産になったと思います。なによりもメディア向けにそれなりに説明ができるようになったことが、一番の利点だったかもしれません。

ファクトブックの活用事例

ファクトブックの活用方法は広報利用だけじゃありません。いろいろと使える便利なやつなんです!

ファクトブックは言ってみればサービス資料と会社案内がフュージョンしたようなものなので、営業やマーケ等々で活用できる資料のベースとなります。
また、ファクトブックで作ったコンテンツを簡素化してWebコンテンツとして公開することで採用に繋がった、などの事例もあるようです。

ちなみにウェブジョブズの場合は、Webで公開しているものをファクトブックに流用しました。
日頃からWebでの情報公開に力を入れている会社であれば、おすすめの方法です。

ファクトブックの構成

広報コミュニティで質問させていただいた際、タイミングよくファクトブックのセミナー(シプートさん主催)があるよとの情報も教えていただいたので、もちろんこのセミナーにも参加。
ここではファクトブックの具体的な構成内容を知ることができました。

PRTIMESさんの記事にも構成について書いてあったので、事前に多少の知識を入れての参加でしたが、セミナーでは他社の事例を交えての説明だったので、より自分ごとに置き換えて理解できる点がありがたかったですね。

ファクトブックをつくるのに必要な構成は以下の通り。

  • 目次
  • 会社情報(代表・社員紹介、沿革、組織、事業一覧、福利厚生、等)
  • 市場規模・対象ユーザー
  • 業界としての課題
  • サービス内容・他社(競合)比較表
  • 実績

上記をベースに、企業やサービスのイメージに近い見せ方を考えます。

記者が好むファクトブックの内容とは

プロフィールは文章で書くのがベスト!
HPにあるような一般的な代表プロフィールでは物足りないので、仕事面じゃない人柄がわかるファクトがあると尚良しです。

特技、座右の銘、家族との日々の過ごし方など、親近感がわくものも◎。創業への思いなどはストーリーになりえるものが好まれます。辛かったこと、乗り越えたことなどあればしっかりと入れ込みましょう!

反対にサービスの説明は淡々と。他者との比較表も入れておきます。
日付、あくまでも自社調べであることを明記、記者さんの参考情報として活用してもらうイメージです。

働き方の取り組み、独自の制度などは好まれるのでおすすめ!
もちろんウェブジョブズのファクトブックにも入れていますよ~。
(取り組みところから手作り感が出ていていますが…まぁそれはご愛嬌ということで…)

記者さんのこぼれ話

さてこれは知り合いの記者さんに聞いた話です。

「記者目線でいうと、ファクトブックを持参(送付)してもらえれば、調査時間や会社説明を聞く時間が省けるので、ファクトブックを作っている会社はありがたい」とのこと。

ちなみに面識がない記者さんでも送ってもOK。むしろ知れるきっかけになるので送ってほしいそうです。

  • 業界初などで裏付けに自信がない場合は事前に話してほしい→調べることもできる
  • 新規性が高く事例がない場合も相談して→一緒に情報(ニュース)を作っていけないか探る
  • 記者と会うのに手ぶらはNG。最低限直近のプレスリリースを持参してほしい→説明が長いのはイヤ

ファクトブック作成の注意点

セミナーや記者さんの話で、これはちゃんとしておかないとマズイな思ったものをピックアップ!

  • 広告ばりに商品の売り込みに終始している

これは一番嫌われるやつです。

  • メッセージが具現化できていない
  • 外注で数百万円かけて作成したと思われるが情報の更新ができていない
  • 半年に一回くらいは見直しを行う

どうしても自分たちで作れないのなら外注するのもありらしいですが、
外注のデメリットの一つとしてお金がかかった割に代表の思いやサービスの理念がうまく可視化できていないことが多々あるそうです。

きれいに装った言葉よりも、下手でも熱のなる文章の方がメディアや記者さんには響きます。

また外注すると更新が適宜しづらく、都度お金もかかってしまいます。これは中小企業やベンチャーには結構痛い。

  • ページ数の制限はないが一般的には7~10枚
  • デザイン性があるレイアウトは理想だがファクトがちゃんと分かることがより重要

どうせならたくさんのことを伝えたい気持ちもわかりますが、20ページ、30ページとなると目を通す方も大変です。できるだけ情報はまとめましょう!
オシャでかっこいいデザイン…憧れますよね!わかります(私もです!)。でもそこに凝るのは中味がちゃんとできてから!無駄にかっこいいだけの中味空っぽのやつ程恥ずかしいものはないです。

  • 自社サイトでダウンロードさせるのはOK。でもアドレスなどの連絡先は取らせてもらう仕組みを作っておく

情報を取るのって嫌がられそうと思って、二の足を踏んじゃいますよね。
でもメディア関係者や記者さんはニュースがほしい関係性をつくりたいと思っています。
むしろ名前やメールアドレスなどの痕跡を残せない方が嫌なんです。

先人に学べ

私もそうしたように、多くの方はセミナーに参加したり、コミュニティや記事で情報を得たりしていることと思います。でもそれだけで本当に記者のお眼鏡に叶う良いものが作れるのか!ってなると、まぁ正直なかなか難しい。ぶっちゃけ私も「やってられるか、ヴォケぇ!」と何度叫んだことか…。

そこでに実行したのが、他社のうまくいっているファクトブックを真似すること。

うまくいった事例から自分たちの作りたいイメージに近いものを探し、いくつか融合してオリジナルのファクトブックのベースにしました。
すでにうまくいっているものを参考にするわけですから、イチから考えて作るよりずっと効率的だしうまくいく可能性も上がります。
はいそこ、パクリではありません。真似です。要素やテイストを真似して自分たちなりにアレンジしようねってことです。
もちろん丸パクリは絶対NG!ダメゼッタイ!

広報は助け合いでできている

今回この記事を書きながら、広報担当者同士の繋がりなかったら、絶対にファクトブックなんて完成できなかったんやろなぁ…と痛感してます。
コミュニティを紹介してくださったりセミナー紹介してくださったり、きっかけは些細なことでも、一つひとつが繋がって、そのおかげでファクトブックを完成させられました!

広報は社内でも全然理解されない、協力してもらえないという話も多いし、ひとり広報さんだと余計に助けがほしいと感じていると思います。
自分が助けてもらったように、この記事がどこかの広報さんのお役に立てるといいなぁ。


【ウェブジョブズのファクトブックはこちらからDLできます】

FACTBOOK 2022 (株式会社ウェブジョブズ)

東郷 宝
この記事を書いた人: 東郷 宝

フリーランスの編集者・コラムニスト。ブランドプランナーで兼業主夫でもあります。株式会社ウェブジョブズには編集者兼広報として週3日でジョイン中。

クリエイティブらぼフロッケ 代表です。
企業のメディア運営支援やコンテンツ制作、ブランドづくりのお手伝いをしています。
最近では広報PRのお手伝いも多いです。 恋愛コラムの連載やブライダルシナリオを書いたりもしています。

京都府北部の田舎育ちなので、人が多い場所がちょっとニガテです。いまは兵庫県在住。可愛いもの🐻やスイーツ🍰をこよなく愛してます。子育て中心の生活なので、子供の行事はほぼ100%参加です。趣味はサッカー⚽や格闘技👊の観戦👀/

実は以前、こっそりとウェブ通の編集長やってました。

Twitter : @trystan530