【プレミアム】『サイボウズ式』編集長 藤村さんの社内を巻き込むコミュニケーション仕事術 第6話 FavoriteLoadingあとで読む

: 高田 信宏
連載6回目は『藤村編集長のスケジュール管理・ツール活用術と採用への影響』についてです。編集の精度とスピードを上げるために、藤村さんが実施されていることやツールについても教えていただきました。メディアの評価基準の一つが「採用への影響度」でもあったようです。ブランドを一貫して通す『サイボウズ式』から多くのことを学べます。

第6話

目次

◆6-1 編集長のスケジュール

丸山:藤村さんの一日の業務の流れについて教えてください。

藤村:編集長のくせに、あまり外にでないで社内にいる事が多いですね(笑)。打合せが多いです。サイボウズ式以外にも色々とやっているので、その辺りの企画の話とか。

今年、弊社が20周年になりますので、そこの大きなブランディング施策をやっていたりとか、あとは普通の会議もあれば、インターン生の学生向けの編集会議とかもあったり。取材を受けたりとかもあります。

丸山:20周年でしたか!おめでとうございます!(スケジュールを拝見させていただきながら)こんなに会議をしていたら、いつ編集に関する事をされているんですか?

スケジュール帳

 

藤村:隙間のスケジュールで、いろいろと仕事をやっているというのが正直なところですね。ほとんどがコミュニケーションの仕事ですが、私個人でも記事を作ることはあるので、そのときは、1〜2時間は編集の時間を確保してやっています。

丸山:人の文章に手を入れる時間もありますよね?

藤村:そうですね。記事は全てチェックしています。

丸山:めちゃくちゃ忙しいじゃないですか(笑)。

藤村:大体18時ぐらいには帰っていますけどね(笑)。サイボウズ式自体が、そんなに記事本数の多いメディアではないですので、「一球入魂」で作るみたいな。そのチェックはしっかりやっていますね。

丸山:チェックというのは、まとめて一日に絞ってやられているのですか?

藤村:いえ、なるべくその場その場で行うようにしています。「記事ができました」という連絡がkintoneに上がってくるので、そのタイミングでやっています。記事を作った人は、「早く記事を見てもらいたい・公開したい」という気持ちがあるものですし、その気持ちを絶やさないようにと思っています。

◆6-2 オウンドメディアが与えた、採用と顧客への影響

丸山:オウンドメディアを運営されているうえでの「効果」という意味では、例えば求人などにも影響はありましたか?

藤村:ありますね。採用は結構影響が出ていると思います。

サイボウズの新卒採用に応募してくれた方の、全エントリー数の4.2%は『サイボウズ式』からです。また、実際に内定した方で「『サイボウズ式』を最初から知っていた」と答えた方は8.0%です。エントリー数は数千人いて、内定者は20~30人いるので、それなりに貢献しているかなあ、と感じていますね。

初年度から売上にも貢献できました。弊社のクラウドサービス『cybozu.com』を契約いただいたお客様に、認知した経路を聞いたところ、4~5%が『サイボウズ式』からだったんです。

その4~5%の認知してくれた方の8割が、元「サイボウズ」ユーザーでした。一回解約をされているお客様が、『サイボウズ式』を読むことで、サイボウズを思い出してまたサイトを見てみたら、クラウドのサービスが出ていたので購入した、というケースもあります。

こうして1年目で割と売上への貢献の数字が出ましたので、それ以降は、売上のことについて何も言われなくなりました。

丸山:なにか「ほぼ日」みたいな感じにもなってきていますね。サイボウズで販売されるメインの商材の他に、『サイボウズ式』で「ほぼ日」みたいに商品が売られていても、全く違和感がないというか。

藤村:「ほぼ日」さんは、自分達の価値をいろいろな編集によって記事にしたり商品にしたり、手帳にしたりして売っていますよね。それを買う人も、モノとして手帳が欲しいのはもちろんだと思いますが、「ほぼ日」の作る世界観とか、想いみたいなものが欲しくて、あそこで買うはずです。

プロダクトよりも先に「価値」とか「想い」みたいなものを「ほぼ日」はずっと作り続けていて、そこに共感する人が「商品(プロダクト)」も買うし、「ほぼ日グッズ」も買うとなっていますよね。

まさに仰っていただいたとおり、サイボウズ式も「価値」を編集によって提供していくということをずっとやってきていますので、その辺りでは類似性があるかなと思います。何より、私たち編集部も、初代編集長の大槻もそうなんですが、「ほぼ日」が大好きですしね(笑)。

丸山:他に海外のメディアなどでベンチマークされていたりとかはありますか?

藤村:何もないですね。

丸山:社内で「ポーン」と話題に出たものが派生していくという、いい流れができていますね。
これは、サイボウズさん自社で「プラットフォーム」をお持ちだから、というのもありますよね。

藤村:確かにそれも大きいかもしれません。情報共有系のツールは大事だなと思っていて。

丸山:私も最近思っているんです。これから人工知能も出てきますが、人の生産性を上げるものが、ものすごく価値を持つということですね。

◆6-3 編集長を支える編集ツール活用術

丸山:生産性で言えば、記事の校閲もありますね。これを使っているから効率化になる、というツールで言うと、1つは「kintone」だと思いますが、他にありますか?

藤村:私が個人で使っているのは「秀丸のマクロ機能」ですね。テキストエディタの中で、用字用語の変換とか、漢字をひらがなに開いたりとか、自動化するようにして使っています。

それ以外は手作業ですね。「Microsoft Word」とか。

生産性という意味では、印刷をして原稿をチェックしています。ウェブ上ではなるべくやらないようにしていますね。ウェブ上でブラウザ経由で記事をチェックすると、意外と抜け漏れが発生しやすくて……。目を皿のようにして見ても気づけないことがあるんですが、印刷して紙ベースで読んでいくといろいろ気づくこともあるので、そちらの方が生産性が高いと思っています。

特に編集部員へのフィードバックは全部印刷して、一言一言、書いています。

丸山:外出先でスマホなどでチェックをされたときでも、会社に戻られてから、また印刷してチェックはされているのですか?

藤村:そうですね。あまりスマホではチェックしないです。なるべく印刷をして原稿を確認することを心掛けています。

他に生産性と言えば、「Slack」で連携とかでしょうか。『サイボウズ式』というつぶやきをSlackで連携して、そこでモニタリングできるようにしたり。ただ、このSlackの仕組みは、私個人で使っていて、編集部には展開しておりませんが……。

道具はいろいろ使っては試し、試しては使い、みたいなことを繰り返していますね。マークダウンツールも使っていますしね。

丸山:マークダウンツールで、段落整理をされているんですか?

藤村:そうですね。私の文章整理は基本的にマークダウンで行いますね。

丸山:コーディングは、ある程度原稿ができたらお任せしている感じですか?

藤村:サイボウズ式で採用しているCMSが「Movable Type」です。こちらに基本的なタグを直打ちして、記事を作っています。基本的に画像と文章の配置ぐらいしかないので、ブログを更新するような感覚で実施しています。

movaletype

Movale Type

丸山:Movable Typeを選んだ理由は何かありますか?

藤村:セキュリティですね。動的な「WordPress」では脆弱性を突かれやすいので、弊社はクラウドサービスを提供している会社ですし、セキュリティの堅牢性は必須です。Movable Typeは、静的なファイルに吐き出してくれるので、その点で脆弱性を突かれない安全性がありますね。

元々、『サイボウズ式』もWordPressで運営していましたが、すべてMovable Typeに入れ替えました。

丸山:そろそろ、お時間ですね。本日は盛りだくさんのお話をおうかがいできて、大変勉強になりました。ありがとうございました。またぜひ、情報交換をさせていただければと思います。

藤村:こちらこそ、ありがとうございました。はい、ぜひまたお願いいたします!

最後に

『サイボウズ式』の編集長:藤村さんのインタビューは、こちらで終わりとなります。全6回ものボリュームとなりましたが、読者のみなさん、最後までお楽しみいただけましたか?

私もインタビューをまとめていくなかで、自社やクライアントのメディアで活かせるアイデアをたくさんいただくことができました。
第1回目の企画化へ向けた「コンテクスト」と「想い」の話から、目からウロコの編集管理術を目の当たりにし、とても学びの多い機会となりました。

今回サイボウズさんから教えていただいたさまざまなアイデアをみなさんもぜひ「実務」に活かしてみてください。実はウェブ担当者通信事務局も、さっそく「アイデアを企画化するために抑えておきたい5つのポイント」を取り入れました。

みなさんの社内でもこの連載記事やサイボウズ式の記事を共有して、サイボウズさんとともに「働き方」をぜひ一緒に見直していきましょう!

高田 信宏
この記事を書いた人: 高田 信宏

NPO法人クリエイター育成協会 理事/東京マネージャー
ワットエバーロング株式会社 代表取締役
デジタルハリウッドSTUDIO渋谷 Webディレクション講座 講師
Webマーケティング企業に入社しSEOディレクターとして活動後、IT教育企業に転身。Webマスター兼講師として、各種サイトの運営管理を行う傍ら、講義やセミナーを通して、デザインとマーケティングの両極からの視点を伝える教育に励む。
著書:『デザイナーのためのプロの制作術が身につく Webディレクションの教科書』(共著、SBクリエイティブ社)


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