テレビや雑誌、新聞にWebメディア。
世の中にメディアは数あれど、どの媒体も編集者がいないと成り立ちません。しかし編集者という存在を知っていても、その具体的な仕事内容についてはあまり知られていません。
自分自身ライターや編集のお仕事に携わるまで、編集者という職業を知っていても、その業務内容についてはほぼ何も知らない状態でのスタートでした。
とまあ、こんな出だしではじまった今回の記事。おいおい、いきなり何の話なんだ?と思われそうですが、実は最近、こんな質問をいたるところから受けていました。
「編集者さんに初めて会いました」
「編集者って何してるんですか?」
「編集に必要なスキルってなんですか?」
「編集者になりたんですけど、どうすればなれますか?」
「編集者ってイキってそうでキライです」
等など…。
就活中の学生さん、セミナー等でご一緒した企業の社長さん、企業広報の方、質問をしてくださった方の肩書はバラバラでしたが、質問を受けた側の気持ちとしては、「そんなに編集者って珍しいのものなの?」と単純に驚きました。
もしかすると、これは自分が関西圏に住んでいるから起こったことなのかもしれませんし、関東でお仕事をされている方であれば編集者なんて珍しくもないかもしれません。ですがこうして興味を持っていただいてることも確かなので、「せっかくだし編集者の仕事について書いてみよう!」と思った次第です。
一般企業にこそ編集者は必要な存在、かもしれない
そうは言っても編集者が必要なのはマスメディアに限った話でしょ?と、思われるかもしれませんが、どんな企業であっても編集者を必要とする可能性はあるんです。
その理由の一つがオウンドメディア。
かつては自社メディアを保有する企業はわずかでしたが、いまでは多くの企業がコンテンツマーケティングに力を入れ、オウンドメディアやキュレーションサイトの運営に取り組んでいます。またこれから取り組んでいく企業もあるでしょう。
自前でメディアを保有する以上、コンテンツの制作は必ず発生します。仮にコンテンツを内製せずに外部のコンテンツ制作プロダクションに発注していたとしても、編集者の仕事内容について知っておくことで、業務の流れが把握できるのでスケジュールを考える上でも役立つわけです。
またメディアを保有していなくとも、社内報などの作成をする場合にも編集者がいるだけで、制作の進み具合はだいぶ違ってきます。よくある「一家に一台~」ではありませんが、一企業に一人いれば嬉しい存在だと思います。
Webメディア編集者って何をしているの?
さてさて前置きが長くなってしまいましたので、そろそろ本題である「編集者の仕事」についてお話していきましょう。今回は特にWebメディア編集者にフォーカスしたいと思います。
会社によって細かな点で違いはあるでしょうが、おおよそ以下の業務がWebメディア編集者の業務内容と言って差し支えないでしょう。
[Webメディアの編集者の業務内容]
- コンテンツの企画立案(場合によっては自分で原稿作成まで)
- スタッフのアサイン(ライター、デザイナー、カメラマン、モデル、等)
- インタビュー対象(人物、店舗)への依頼
- 制作進行管理
- コピーライティング
- 校正・校閲
- クライアントとの打ち合わせ
- Twitter、Facebook、Instagram等のSNS運用
- 予算(原稿料、イベント料、等)管理
- 数値管理(PV、KPI、反響分析、等)
- 自社メディアのイベント運営
- 人脈作り
上記はこれまで私が編集担当として関わった業務をざっくりと書き出したものです。思いのほか、いろんなことをやってたんだなと実感しています(笑)。
こうして見ると、コンテンツの企画制作から情報発信までトータルに関われる仕事であることがわかります。
しかし忘れてはならないのは、何のためにこれらの業務をこなしていくのか、です。
それはもちろん、「良質な情報を読者に届ける」ため。
良質な情報とは「読者(ユーザー)にとって価値(利益)がある情報」であると、わたしは考えていますが、中には「自社(自分)にとって利益につながる情報」を優先しているメディアも見られます。
こうしたメディアに多く見られるのが、経営層や営業主導の目線で書いたんだろうなと感じる記事の数々。
もちろんオウンドメディアを保有する理由は自社の利益につなげるためなのですが、それを意識し過ぎてしまえば、思惑とは反対に自社の利益を損なうことにもなりかねません。
本来の思惑をうまく隠しながら、「良質な情報を読者に届ける」スタイルの記事に生まれ変わらせられるのも、Web編集者なんです。
ここだけ読むと、なんだかマネーロンダリングを行う闇銀行みたいな存在に思えますね(笑)。
編集はどこまで原稿に手を加えるべきか
個人的に編集者として忘れてはならないと思っていることがあります。
「著者の個性を活かし、かつ読者にわかりやすいものにする」
ことを意識し続けることです。
編集者の中には、原稿を自分の思う通りのものにつくり直そうとする人もいます。
もちろん記事の品質、媒体テイストや読者の利益を守ることを考えてのことなのですが、わたしは著者の個性があってこそ記事に価値があると思っているので、このやり方は苦手です(笑)。
中には手直ししなければ、とても読めたものではない原稿もありますので、編集者が手を加えること自体がダメだとは思いません。むしろ必要なことです。
しかし編集者の手が入りすぎると、著者の個性がまったく無い原稿になってしまうことも少なくありません。
これが無記名の記事であればまだ問題無い(とはいえライターさんには誠意を持って話しますよ)のですが、専門ライターさんや専門分野の権威に執筆に記事をお願いしている場合でも同じことが起こることがあります。
手を入れすぎた原稿はもはや誰が書いたものかわからなくなってしまいます。もはや誰が書いても同じ。何のために書き手として依頼したのかわかりません。
それでも手を入れなければ読めないのであれば、読めるようになるまで、根気よくコミュニケーションを取り続けるべきだと思っています。
編集者に必要な基本スキルは3つ。
でも、プラスαで欲しい、あのスキル
先に述べたように、編集者の仕事はかなり幅広いです。
「きっと必要なスキルも山ほどあるんだろう。いったいどんな超人が編集者になるんだ」。そう思った方もいらっしゃるやもしれませんが、正直なところハイレベルなスキルは一つも必要ありません。
少なくともこの3つのスキルがしっかりしていれば問題なくこなせます。コンテンツの企画ができて、制作進行管理ができ、クライアントやスタッフとそつなく連携がとれるわけです。何も特別なスキルは必要ありません。
ただ、これらに加えてこれがあれば尚良し!なスキルは1つあります。それはブランディングスキルです。いまや編集に必要なのは業務そのものをこなす力よりも、いかにブランディングに長けているかだと言われるほど。
メディアをブランディングする力はもちろんですが、自己ブランディングスキルが高い人も重用されています。
個人的には、他の能力が低いのにブランディングスキルだけ高くてもちょっと…。とは思いますが、多くの人にメディアを知ってもらうためには、ブランディングスキルが高いにこしたことはありません。
仮にメディアそのものに力がなくても、自己ブランディングに優れている編集者であれば、自らを通してメディア売り込んでいくことができますので。そうして評価を上げている編集者も実際に多くいます。
まさかの後編があります
さて次回は、“編集者になる方法”や”編集者を社内の人間に任せるか外注のプロに任せるか”について書いていきたいと思います。
そして、先日あるテレビ番組に出演し話題になったある人物に記事を書いてもらった方法を、メンバー限定で公開予定です。
番組内でもおっしゃっていましたが、この方は普段ご自分で記事を書かれない方。なのになぜ書いてもらえたのか。いまになってスゴイことだったんだと実感したので、その当時のことを振り返りながらメンバーさんに限定でお話したいと思います。