【プレミアム】AMPは効果があるのか?実際の事例と導入方法は?(5) FavoriteLoadingあとで読む

: 事務局
AMP導入について迷っている人へ。AMPについての導入基準をお伝えしています。最終回5回目はAMP導入後のアクセス解析など運用における注意点についてまとめています。

AMP

画像:Pixabay

目次

アクセス解析のデータを一致させるには

今までお伝えしてきたように、AMPを導入すると既存サイトとAMPサイトでアクセスが分かれてしまいます。AMPページはGoogleのキャッシュサーバーに保存され、Googleへのアクセスとなります。一方で、AMP以外のアクセスは既存サイトへのアクセスとなります。

AMPサーバーイメージ

これはいわゆるクロスドメインという状態で、AMPページの導入手順でお伝えしましたが、GoogleアナリティクスのようなCookieを中心としたアクセス解析ツールを使う場合、アクセス解析のデータがおかしくなります。

アクセス解析のデータがおかしくなる理由は、Cookie自体の標準仕様(セキュリティポリシー)があり、別ドメインのサイトでは共通のCookieを使うことができないからです。
そうなるとGoogle アナリティクスは、それぞれのサイトを別サイトとして別集計することになります。

しかし、この問題に気づかずにAMPページと既存サイトのページの両方に同じGoogleアナリティクスのトラッキングコードを挿入している人は多いかもしれません。
するとどうなるでしょうか?

全体のセッション数は合算されるものの、内部では双方のサイトは別サイトと認識されますので、双方のサイトを行き来するアクセスは、別のユーザーと認識され別のセッションになります。
つまり本当は1人のユーザーなのに2ユーザー、2セッションになります。

これはサイト全体の訪問数が意図せず増えてしまうということです。
この問題に気づかずに、とりあえず同じGoogleアナリティクスのタグをAMPページにも挿入し「アクセス数が増えた」と勘違いしている人も多いかもしれません。

この問題に本質的に対応するには、今のところ、GoogleアナリティクスのCookieを自作APIプログラムを使って両サイトで同一にするしかありません。興味がある人はAMPページの導入手順に方法を記載していますのでご覧ください。

※2017/9/7追記 GoogleがAMPのGoogleAnalytics対応を始めるようです。まだ日本は未対応ですが続報に期待です。

AMPの効果をなるべく正確に把握するには

Google アナリティクスに関する自作プログラムができない人でもなるべく正確にAMPの効果を把握するにはどうしたらよいでしょうか?

これは逆説的ですがGoogle アナリティクスを信じず、主にGoogleサーチコンソールを信じるという方法があります。
サーチコンソールはGoogle検索結果からのアクセスを表示していますので、その先がAMPであっても既存サイトであってもちゃんと計測してくれています。またAMPだけのデータを確認することもできます。

したがって、AMPによるアクセスアップの効果があったかどうかはサーチコンソールで確認し、その先の成約数が増えたかどうかは今まで通りGoogleアナリティクスを使うという方法がおすすめです。

ただし、どうしてもGoogleアナリティクスのデータは今までとは違うので、AMPを導入した前と後では細部では違うデータだと認識してそれぞれを確認していくのがよいです。

運用開始後にやるべきこと

AMP運用開始後にやるべきことは、先に記載したようなGoogleサーチコンソールを使って下記2つを確認することです。

  1. エラーの確認
  2. 効果の確認

1.エラーの確認

サーチコンソールの左サイドメニュー「Accelerated Mobile Pages」をクリックし、エラーを確認します。

 

エラーの内容はGoogleがアドバイスしてくれますので修正はしやすいです。

Ampページgscメッセージ

上記で「AMPページをテスト」を選ぶとテスト結果が表示されます。有効なAMPページになれば完了です。

Amp ok

 

2.効果の確認

AMPページのエラーがなくなったらAMPページの効果を確認しましょう。

メニュー「検索トラフィック」→「検索アナリティクス」から、「検索での見え方」でAMPの効果を確認しましょう。

なお、Googleサーチコンソールは3日前のデータしか確認できませんので、少なくとも3日経ってからでないとこちらのデータは表示されません。

Search Console  検索アナリティクス  https

チェックポイント

Google サーチコンソール、およびGoogle アナリティクスなどのアクセス解析ツールを使用し、下記を確認しましょう。

Google サーチコンソールのチェック

  • AMPに関するエラーはないか?
  • モバイル全体のアクセス数は増えているのか?
  • モバイル全体の順位アップやCTRアップの効果はあるのか?
  • AMPの通常はどのようなキーワードで表示されているか?また順位やCTRはどうか?
  • AMPリッチ検索結果には表示されているか?

特にAMP通常で表示されているキーワードごとに順位やCTRの差が激しければ、その理由を実際に検索してみて探ってみましょう。AMPページの更新日付やタイトルが影響している可能性もあります。

Google アナリティクスのチェック

ここでは、AMPページと既存サイトで、それぞれ別のGoogleアナリティクスのトラッキングコードを設定したという前提でお話します。

  • どのAMPページがアクセスを集めているか?(行動→ランディングページで確認)
  • AMPページ(Googleのキャッシュサーバー)から、既存サイトへどの位アクセスが流れているか?(集客→すべてのトラフィック→参照サイトで確認)
  • サイト全体の成約数や効果は下がっていないか?

APIプログラムなどでCookie問題を解決しない限り、GoogleアナリティクスでAMPページと既存サイトは別サイト扱いになるので、その両サイトのデータを見て相互に補完できているかを確認します。

なおAMPページの直帰率は、AMPページから既存サイトに移動した場合でも直帰となってしまうので高くなりがちですし、サイト全体のセッション数も見かけ上増えますが誤りなので参考程度に押さえます。

またAMPページの作り込みが甘いと、仮に集客が増えてもサイト全体の成約数などは下がる可能性があるので、成約数などには注意します。

AMPページ作成を中止する判断

前述のチェックの結果、アクセスがあまり増えていないことがあるかもしれません。

また仮にアクセス数が増えていたとしても成約数や売上が減っていた場合、AMPページの特性が悪影響を及ぼしているかもしれません。AMPページは、JavaScriptや画像などに制限があるため普通に作るだけでは簡素なページになりやすく、ユーザーへの訴求が弱くなりがちです。

チェックの結果がよくなければ下記のトライは行った方がよいと思います。

  • サーチコンソールで結果の悪いAMPページの修正や削除などができないか検討する
  • AMPページから既存サイトへの流入を増やすよう適切なテキスト内リンクを配置する
  • AMPページのデザインをもう少し良くできないか検討する

もし対応してもうまくいかなかったり、そもそもこの問題が自力では解消できないと思う場合、AMP対応をやめて、既存サイトに戻すという選択肢もよいと思います。

既存サイトに戻す場合は、AMPページを削除し、既存サイトからのAMPページへのリンク(link rel=”amphtml”)を削除すればOKです。WordPressの場合はAMPプラグインを無効化するだけです。

するとGoogleがAMPページのインデックスを削除し、数日〜1ヶ月程度で今まで通りのアクセスに戻ります。

最後に

これまで連載5回にわたり、AMPページに関して実際の結果なども交えてお伝えしてきました。

読んでおわかりかもしれませんが、まだAMPは発展途上の仕様です。
工数をかけて対応したからといって良いことよりも悪いことが多い可能性もあります。また、AMP対応したからといって順位がアップするわけではありませんので、そこは現段階では冷静にジャッジしましょう。

そもそもAMPとは何なのか?

そもそもAMPが出てきた背景ですが、Googleの当初の発表からわかることがあります。

googleblog.blogspot.jp/2015/10/introducing-accelerated-mobile-pages.html

まず深刻な問題はアプリ対策です。
Googleなどの広告から収益を得る企業にとっては、その空間にユーザーが滞在する時間がとても重要です。ところが現在、ユーザーがニュースやFacebookなどを含むアプリに費やす時間は増えています。
これはレスポンスの問題も大きく、Googleとしてはなんとか検索に戻ってきて欲しいところです。

そこで、様々なニュース媒体の最新ニュースをさくさく読めるようにするための一つの方法がAMPです。AMPの仕様がいち早く整備されたのもニュースサイトでした。

Googleなどのグローバル企業は世界中でモバイル対応を考えているので、特に発展途上国での表示スピードの問題は深刻です。またモバイルユーザーの検索行動を考えれば、表示が早いことはユーザーのためにもなります。

AMPは、誰もが対応しなければいけないSEOノウハウではありません。Googleがやむにやまれず出してきた、ユーザーをGoogleに惹きつけるための仕組みです。

しかし、日本は通信環境が整備されていますので、さほどAMPページと一般ページの表示スピードの差がなく、そういう意味ではユーザーにとってもあまり恩恵がない仕様かもしれません。

AMPの今後は?

一方で、AMP対応サイトが増えていくならば困ったことが起こります。ユーザーが表示の早いサイトに慣れてしまい、遅いサイトにイライラし始めるということです。

その状態になったならば、どのサイトもAMP対応をするか、自社サイトのサーバーパフォーマンスをあげて表示スピードを最適化していかないとユーザーの直帰率が高まる可能性もあります。

ただし前述しましたように、日本において通信環境は整備されており、今後はより速い通信規格である5Gも登場してきます。
そうなるとサイトの表示速度は格段に早くなり、ひょっとするとAMPは少なくともユーザーにとってまったく必要ない状態になるかもしれません。

そのときにGoogleが検索順位をどのように評価するかはわかりません。AMP自体が過渡期の技術であり、今後なくなることはなくても廃れていく可能性がないわけではありません。

つまりAMP自体、表示が軽いニュースアプリやFacebookアプリへの対策を意識した仕組みであり、もし今のままの表示速度でユーザーがGoogleを利用しつづけるのであればAMPは不要とも言えます。AMP対応する企業サイトが思ったより増えなかった場合など含め、今後はまったく未知数ともいえます。

これからのSEOは「信頼+コンテンツ+技術力」の3本勝負

最後にもう少しだけ大局的にみてみます。
Googleにとって切実なのは、Googleからユーザーが離れてしまうこと、およびGoogleにとって投資対効果が悪くなることです。

その内容をもう少し分解するならば、Googleにとって大切なことは、ユーザーに対して魅力的なサービスを提供すること、ユーザーをより理解すること、それに対してリソース(サーバーパワーや人件費など)が増えすぎないことです。

SEOをGoogle対策と捉えるならば、上記のGoogleの気持ちを読めばよいということになります。

ここでGoogleが考えるユーザーに対して魅力的なサービスというのは、信頼できるコンテンツの素早い提供になります。ただ信頼できるコンテンツといっても真面目なコンテンツばかりを指すのではありません。(それだけでは人間にとって魅力的ではないから)

彼らはふざけたもの含めて、魅力的なコンテンツかつユーザーを騙すような悪意がないものを判断し、上位表示したいと考えるでしょう。

そういった内容を効率的に判断するためには、Googleだけが頑張るのではなく、技術的な仕組みをコンテンツ制作者に導入してもらう方法があります。

例えば構造化データのような「Googleにわかる言語」で適切に内容を表現して欲しいと思うでしょう。

またAMP対応をしてもらえれば、ユーザーに対して素早いという魅力も加えることができますし、ひょっとするとGoogleのキャッシューサーバーに保存することで、ユーザーの閲覧データも取得することができるかも知れません。

さらにこういった技術的な対応をしてもらえればサーバーのリソースを削減することにもなるので、彼らにとっては費用も節約できます。

ウェブ担当者として考えておきたいこと

Googleの目的を考えると、今後もさまざまな技術的規格を考えてリリースしてくる可能性があります。

したがってウェブ担当者に求められる役割の一つは、こういった技術的な内容を理解し、対応できるようにすること、もしくは対応できる人材と知り合いになっておくことだと思います。

また導入判断をする役割としては、一つの技術情報に踊らされず、Googleが一体何の目的でその規格を出してきたのかを考え、どのような効果があるのか?を冷静にジャッジすることだと思います。

SEOはもはや一つのテクニックだけをカバーすれば上位にくるというものではなくなっています。それではSEO業界としてニュースも少なくなるので、最新の技術ネタが出やすい事情もあるかもしれません。

一方でその技術ネタに踊らされることなく、虎視眈々とGoogleを読んで上位表示を実現している人もいるので、ぜひGoogleが「そのキーワードで何を上位表示したいと考えているのか?」という意図を汲み取るようにしていきましょう。

事務局
この記事を書いた人: 事務局

「ムダな情報で頭脳を消耗することなく考える時間を確保する」
ウェブのノウハウだけに限らず、広告やマーケティング全般の知識、時には組織論や時事に至るまで、最先端や未来予測などみなさんにとって本当に必要な情報だけをお届けします。