【プレミアム】未来はすでに来ていた!ウェアラブル業務活用事例と企業間コラボ(3) FavoriteLoadingあとで読む

: 事務局
10年以上前からウェアラブルデバイスの業務利用に着目し開発を続けてきた村田機械株式会社。マテハン分野において世界規模の売上を誇る村田機械がなぜウェアラブルに取り組んだのか?ウェアラブルの「今」を聞いてきました。全4回連載の3回目は「新規ビジネスは市場のパイを一番に考える。得意分野で顧客に新しい価値を提供」です。

村田機械・石田さん、小山さん、小林さん

右から、村田機械 L&A事業部 企画室 部長 石田正人さま、課長 小山延明さま、主任 小林健一さま

新規ビジネスは市場のパイを一番に考える。得意分野で顧客に新しい価値を提供

目次

スマートグラスを初めとするウェアラブルデバイスはこんなことにも使える

リモートサービス支援ソリューション「RemoSMan」のデモを体験して思ったのですが指示待ち人間になってしまいそうですね。
スマートグラスを初めとするウェアラブルデバイス、他にはどんなことに使えるのでしょうか?

現場作業では作業効率化のために、もともと「人はシステムに言われたとおりに作業する」、というのが当たり前になってきています。これはウェアラブルを使う以前からそうなんです。

「AIが人の仕事を奪う」とよく懸念されていますが、ベテランな人はどんどんいなくなっています。
たとえばうちの設備の場合は30年以上使うお客さまもいらっしゃいます。今入った新人技術員が30年以上前のものからすべて勉強するのはもう不可能です。
今はまだベテランの人がいますがいずれは定年を迎えます。その前にAIに覚え込ませてAIがサポートできるような体制を整えようと考えています。

リモートでの支援として、私たちのような機械保守だけでなく工事管理、品質管理、店舗管理、訪問看護や緊急医療においても必要と考えられますが、もっとさまざまな領域で使えると思います。

POC(Proof of concept:概念実証、実証実験)によるスマートグラスを活用した他社事例にはこんなものがあります。

遠隔地にいる飛行機の整備士など実務スタッフへの後方支援をスマートグラスを介して行う
(JALさんと野村総合研究所(NRI)さんとのGoogle Glassを使ったハワイ・ホノルルでの実証実験)
デジタル技術を用いて再現した当時の福岡城のCG映像をスマートグラスで鑑賞
(近畿日本ツーリストさんと凸版印刷さんとの実証実験)

村田機械のお客さまにはスーパーなどの流通業のお客さまも多くいらっしゃるので、ウェアラブルデバイスを活用した店舗ソリューションを実は考えているところなんです。

たとえばホームセンター。広いホームセンターで小さな部品を探すことって大変ですよね。ホームセンターになんらかのデバイスを置いてあって商品のバーコードを読み込ませたり、カメラで商品を撮影して画像認識させたりして、その商品が置いてある場所まで誘導する、とか。

ウェアラブルデバイスとしては何でもいいんですよね。スマートグラスでもいいし、スマートウォッチでもいいし、スマートフォンでもいい。
作業で両手が空いていたほうがいいならスマートグラスがいいだろうしその必要がないならスマートフォンでもいい。システムさえしっかりとかつ柔軟に作っておけばデバイスは選べばいいんですよ。

デバイスに依存しない、ということはネイティブでアプリケーションを組んでいません。Webアプリケーションです。スマートグラスはWebブラウザ表示が基本になっています。ウェアラブルデバイスの場合、ほとんどOSがAndroidです。

ゆびキタスソリューション各種マスコミへの掲載

村田機械様ゆびキタスソリューション事例紹介

新規ビジネスは市場のパイを一番に考える。
得意分野で顧客に新しい価値を提供する。

村田機械さんくらいの大きな会社で、しかもハードを作る技術も持たれている会社であればすべて自社でされたほうがビジネス的にはメリットが大きいんじゃないか、と思ってしまうのですが、なぜ他社と一緒に開発を進めていかれているのですか?

未来はすでに来ていた!ウェアラブル業務活用事例と企業間コラボ(1)」でお話ししたことの復唱になりますが、IoTとかインダストリー4.0と言われている世界では、顧客が望むようなソリューションをハードからソフトまで自社ですべてを開発して顧客に提供できるような会社は世界中どこにもほぼないですよね。そうする必要もないんです。

それぞれの会社で得意分野があるんですから、自分の会社が不得意なところは得意な別の会社のものを使って一緒に作り上げていけばいいんです。
オープンイノベーションやビジネスエコシステム、イノベーションエコシステムなどと言われていますが、消費者のニーズの多様化やIT技術の進歩によりスピードも求められますので企業間コラボはどんどん出てくるでしょうね。

顧客の求めること、もしくは自分たちが実現させたいソリューションに必要なピースのマップ上で、自社でどれだけ埋めることができるのか、足りないところのココはA社と組めば埋まる、ココはB社と組めば埋まる、ということを考えるわけです。しかたがない、というのもありますがスピードも早く確実なものを提供できる、というメリットもあります。

村田機械L&A事業部が出しているこれらのウェアラブルソリューションでは、われわれはソフトウェア部分を担っています。ウェアラブル端末、スマートグラスは作っていませんし、RFID端末もカメラも作りません。ソフトウェア一本で勝負しています。大手コンサルティングファームさんや電機メーカーさん、ウェアラブルに強いベンチャー企業さんなどと一緒に作り上げています。

村田機械L&A事業部・石田さん

村田機械 L&A事業部 企画室 部長 石田正人さま

そして、我々が新しい事業や企画を考え開発をするときに一番気にするのは市場のパイです。

新規ビジネスを行うときには会社のカネを使って先行投資をしながら開発をしていくことになります。お客さまから発注をいただいてそれに基づいて開発をする、というのとはまったく違うんですよね。

お客さまのニーズとかウォンツを探れ、とか、それを満たせるものを、とか言いますが、まったく新しいものを考えるときには形も何もない状態なのでお客さまに聞いてみたところで想定できるようなことしか出てこないんですよ。

「今のIT技術で行けば次の進歩ではこうなることが予想される」とか「今の社会情勢から考えるとこうなるはずだ」とか、自分たちが想定できることは何のイノベーションもないんです。

5年先10年先のITロードマップはいろんなところで出ていますよね。
でも、たとえば物流に特化したITロードマップがあるかというとそれはないんです。

だからこそ村田機械は一般論を参考にしながら、物流分野ではこう変わっていくんだ、こういうことができるんだ、という新しい価値あるものをお客さまに提供していきたいと考えています。

でも悲しいかな、物流分野だけだと市場のパイは広がらないわけです。だからこそ自分たちは経験と実績がある、お客さまの業務に直接作用するソフトウェアで仕組みを作ることに注力しています。

仕組みを実現するための道具は、技術の進歩によってどんどん変わっていきますし、物流だけじゃなく他の分野でも幅広く使うことができます。
その道具の市場規模は広いんです。市場規模が広くなると競争も増えパイの奪い合いになってきます。自社の売上と比較して考えてみるとその道具のシェアが増えても売上への貢献は低い、となってしまいます。

Google GlassもBtoCからBtoBに路線を変えましたが、おそらく販売ロット数は減ると思います。ロットの数が落ちると同じ売上を伸ばそうと思うと単価を上げざるを得ないわけです。

どれだけのパイにソフトウェアを導入していけるのか、をまず考えないといけないですね。

自分たちは物流分野を主に見ていますが、一緒にやっている大手コンサルティングファームA社さんが自社のお客さまのところにRemoSManを持っていってそれが売上に貢献してくれるのであれば、我々の開発したものをライセンスとして安く提供できる、という営業面においても協業ができるわけです。それが企業間コラボを行うメリットでもあります。

自社以外の製品をソリューションの一部としてお客さまに提供する、ということは自社以外の製品は他のものにも変えられる、ということを前提としてソフトウェア開発を考えています。

一番難しいのはマネタイズですね。
どんなにいいものであっても高すぎると当然売れません。

世の中にあるようなものであれば他と比較してこのくらいの価格、という決め方もできますが、まったく新しいものになると価値を価格に置き換えることが難しいです。
そうするとやはり自社ですべてを、と考えるよりも自社でペイできる範囲を、と考えることもひとつだと思っています。

企業間コラボのメリットは大きい

こういった新しい取り組みや新規ビジネスはすべてL&A事業部 企画室の中でされているんですか?

そうですね。ウェアラブルに関しては企画室4名で行っています。

システム開発は開発部門やムラタシステムに委託しています。
でも、新規事業はすぐさまお金にならないのでやはり開発部門からは嫌がられますよね。開発費を払う、と言ってもお客さまに紐付かない仕事になってしまいますので、開発部門としても余剰人員はいませんからなかなか難しいところです。

プログラミングと開発だけを外注で、と考えた時期もあり開発ベンダーをいくつかあたったのですが、新しい分野での開発案件の場合こちらの指示した仕様どおりに受託開発することを嫌がり、独立性を担保するために自分たちも新しいものにトライアルしながらライセンスは自分たちで持ちたい、という開発ベンダーやベンチャー企業が多くてできませんでした。

一社ですべてやろうとするとものすごく時間も人もお金もかかります。社内で人を確保することも大変です。新しく取り組みたい分野に明るい人間がいればいいですが、今から勉強して成長するまで待っていたらもう手遅れになってしまいますよね。それに他社と一緒にやることで、やはり文化が異なるので違った目線での話を聞くこともできてより新しいアイデアも生まれやすくなる、というメリットも大きいですよね。

未来はすでに来ていた!ウェアラブル業務活用事例と企業間コラボ(4)につづく

事務局
この記事を書いた人: 事務局

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