【プレミアム】未来はすでに来ていた!ウェアラブル業務活用事例と企業間コラボ(1) FavoriteLoadingあとで読む

: 事務局
10年以上前からウェアラブルデバイスの業務利用に着目し開発を続けてきた村田機械株式会社。マテハン分野において世界規模の売上を誇る村田機械がなぜウェアラブルに取り組んだのか?ウェアラブルの「今」を聞いてきました。全4回連載で1回目は「スマートグラスの業務活用事例と企業間コラボ」です。

muratec

スマートグラスの業務活用事例と企業間コラボ

「もう未来は来ていましたよ!気づかないうちにもう未来ですよ!」

村田機械さんでゆびキタスピッキング+ウェアラブルのデモを見せていただいたときの丸山の第一声。

村田機械株式会社は、主に製造業で使用される産業機械メーカーであり、「繊維機械」「ロジスティックス&オートメーション」「クリーンFA」「工作機械」「情報機器」の5つの事業に分かれています。積極的にグローバル化を進めており海外での売上が約6割以上を占めています。

5つの事業のうち、ロジスティックス&オートメーション(L&A事業部)では自動倉庫や搬送、ピッキングシステム、物流情報管理システムなどを主力商品とし、マテハン分野において世界規模の売上を誇っています。

今回お話を伺った、村田機械 L&A事業部 企画室の石田さま、小山さま、小林さま。
ウェアラブルEXPOなどのニュースで村田機械をよく見かけ、「なぜマテハン(マテリアルハンドリング)の村田機械がウェアラブルに?事例あり?もしや最先端?」と思っていました。

Google社のメガネ型ウェアラブルデバイス「Google Glass」の撤退がニュースになり、スマートグラスを初めとするウェアラブルデバイスの利活用の実現はなかなか難しいと感じていました。
とはいえ、近い将来さまざまなデバイスがスマートフォンやPCの変わりになる、とも言われていますし、ウェブ担当者・ウェブディレクターとしては、ウェアラブルデバイスの「今」を知っておくのは大切だと感じ、今回の村田機械さんにお話をお伺いしてきました。

マテハンメーカーが手術準備支援システム?

ウェアラブルデバイスの業務での活用。ニュースで見かけるものは「実証実験を開始」というものが多いなか、村田機械ではすでに事例がありますよね。スマートグラスをどんな業務で使われているのか教えてください。

村田機械では、「ゆびキタスソリューション」「RemoSMan」の2つのソリューションでスマートグラスを活用しています。

後ほど開発の経緯は詳しくお話ししますが、
「スマートグラスに作業指示を表示し、ウェアラブル型RFIDリーダーを活用し、ハンズフリーで作業可能なシステム」
「可視光通信を使って自動的に位置を検出するシステム」
「AR技術を活用し自分の位置を相対的に認識し、ナビゲーションするシステム」
など、ゆびキタスソリューションのコンセプトモデルを2006年の国際総合物流展で出展していたのですが、それに興味を持ってくださり導入を決めてくださったのが京都第二赤十字病院さんでした。

京都第二赤十字病院は手術室が10室あり、ひとつの手術に使う医療材料は50点準備しなくてはなりません。最近では医療の進歩で日帰り手術も増えているので手術件数はあがる一方です。でも医者も看護師の数も増えていないので効率化できる部分は効率化していくことが急務です。
京都第二赤十字病院さんは、医者や看護師などの有資格者は有資格者にしかできない仕事に専念させたい、との思いを持っていらっしゃいました。

京都第二赤十字病院導入事例

京都第二赤十字病院様の概要と導入効果(村田機械株式会社)

今までは手術の医療材料を毎日2名の看護助手さんが残業して作業していましたが、手術準備支援システム導入後は、医療知識のない派遣スタッフ1名の方でも、2時間の教育で残業なく作業を行うことが可能になりました。

作業画面に指示された場所から指示されたものを速く正確に揃えていくことができ、狭い場所でピッキング作業をする場合にも邪魔にならず、両手が自由に使えるため、スマートグラスとバーコードリーダーを組み合わせたピッキングソリューションはとても適していました。スマートグラスはNECさんに開発提供をお願いしました。

NHKクローズアップ現代「ウェアラブル革命 ~“着るコンピューター”が働き方を変える~(2013年)」の取材を受け、実証実験段階ではなく実際の現場ですでにウェアラブルが活用されていることには当時大変反響がありました。

NHKクローズアップ現代「ウェアラブル革命 ~“着るコンピューター”が働き方を変える~(2013年)」

ゆびキタスピッキング 手術準備支援システム(ムラタシステム(※))
(※)ムラタシステム株式会社は、村田機械株式会社L&A事業部の関連会社です。

BtoBでのウェアラブルデバイス活用は、
製造、物流、医療、リモートメンテナンスの4つが成長分野

BtoBでのウェアラブルデバイス活用は、製造の組み立て現場、物流、医療での活用、リモートメンテナンス、この4つの市場が伸びていく、とどこのリサーチ会社も考えています。その中でも特に物流、リモートメンテナンスの分野が伸びると言われています。

村田機械は搬送設備のメーカーなので、お客さまのところで搬送設備の設置・調整を行います。試運転・総合テストを行って立ち上げ、となるのですが、新しい機種だったり海外などの現地の工事業者さんだったり設置作業に不慣れな場合もあります。また設計や開発の担当者が現地に毎回行けるとは限りません。

そこで遠隔地からリモートでリアルタイム映像を見ながら現地の作業者に指示を出せたり、現地の作業者がハンズフリーで遠隔サポートを受けながら作業ができたりするソリューションがあれば、と考え開発したのが「RemoSMan」です。

RemoSMan

RemoSMan Remote Site Manager(村田機械株式会社)

このRemoSManを使うことで、現地作業員と社内の支援者、設計部門をつないで現場の映像を見ながら指示を出す、などのリモートサポートを行い円滑に作業を進めています。複数の場所からRemoSManにアクセスすることもできますので、サポートする側の人が違う場所にいても対応が可能です。

▼[ウェアラブル EXPO 2015] リモートサービス支援システム「RemoSMan」 – 村田機械株式会社

村田機械での利用では作業員が持っているデバイスはスマートフォンなのですが、ハンズフリーが求められる現場のデバイスはスマートグラスなどが適しています。

NRIさんとは音声認識とテキストマイニング機能を活用した追加機能を共同開発しました。野村證券さんのコールセンターで実績がありシェアが高いテキストマイニングツールTRUE TELLER VOICEダイジェストを使って、作業者の会話の音声ファイルをテキストに落とし、それを要約して作業報告書として自動生成します。

2017年6月頃には作業報告書の自動作成機能を正式リリースできるようにし、近い将来は蓄積された作業報告書データをAIにかけて作業効率化、最適化に活用できるようになると考えています。

また、アメリカではGoogle Glassを活用した緊急医療のリモートメンテナンス実証実験(POC)が行われていたと聞きました。

救急救命士がGoogle Glassをつけて患者さんの状況を見ると、救急医療受け入れ病院側でも同じ画像をみて、どの程度の患者が今から送り込まれてくるかが分かるようになります。また搬送中にも手当てできることがありますので、医者が実際に患者の映像を見て救命士に指示を出し早めに処置を行うことができるようになります。
アメリカは日本に比べて救急救命士が行える範囲が広いんです。日本では、救急車が足りなかったり受け入れ先の病院をたらい回しにされたりなどの問題を抱えていることもあり、救急救命士の処置範囲が緩和されつつあります。

「ウェアラブル」とか「IoT」と聞くとどうしてもハードウェアのほうに目が行きがちですが、必要なところに必要なシステムをきっちり作っておけばハードウェアがどう進化していこうとソフトウェアは柔軟に対応していけます。つまりデバイスに依存しないこと。

これはウェブサイトでも同じですよね。PCからスマートフォンに変わり、これから先もさまざなデバイスが登場してくることが予想されますが、ウェブディレクターのみなさんもきっと柔軟に対応できるようにサイトを作られていると思います。

インダストリー4.0とかIoTとか言われている世界では
企業間コラボが当たり前になっています

村田機械さんであればウェアラブルデバイスからソフトウェア開発まですべて1社でできるような気がするのですが、NECさんやNRIさんなど他社と一緒に実証実験から開発までソリューション構築をされていらっしゃいますよね。それはなぜですか?

詳しくはまたのちほどお話しますが、IoTとかインダストリー4.0と言われている世界では、顧客が望むようなソリューションをハードからソフトまで自社ですべてを開発して顧客に提供できるような会社は世界中どこにもほぼないですよね。そうする必要もないんです。

それぞれの会社で得意分野があるんですから、自分の会社が不得意なところは得意な別の会社のものを使って一緒に作り上げていけばいいんです。オープンイノベーションやビジネスエコシステム、イノベーションエコシステムなどと言われていますが、消費者のニーズの多様化やIT技術の進歩によりスピードも求められますので企業間コラボはどんどん出てくるでしょうね。

また、SCM(サプライチェーンマネジメント)でも変革が起こっています。オムニチャネル化やECサイトの売上増などで、一度言葉として下火になっていたSCMがふたたび脚光を浴びています。

以前のSCMでは大企業だけが取り組むもの、と思われていましたが今は中小企業もSCMに取り組み始めています。なぜならSCMは生産から流通を経て顧客に届けるまでのモノの流れであり、これが滞ると顧客満足が得られないからです。
以前のSCMと大きく異なるのは、IT技術、分析技術の進化とSNSなどの外部データ活用、またビジネスの多様性によりこちらも企業間コラボが必要になってきています。

これを村田機械では「SCMイノベーション」と呼び最新情報を常にウォッチし、他社がどう動いているのか?世界ではどうなのか?をまとめています。

村田機械石田様・小山様・小林様

右から、村田機械 L&A事業部 企画室 部長 石田正人さま、課長 小山延明さま、主任 小林健一さま

まとめ

村田機械 L&A事業部 企画室 部長 石田正人さま、課長 小山延明さま、主任 小林健一さま。お忙しい中お時間をいただきありがとうございました。

村田機械さんは
「IoTなどの新しいテクノロジーでうちも何かできないか考えて。」
こんなふうに経営層にいきなり丸投げされて困ってる大手企業の企画担当の方から相談されることもあるそうです。

この話を聞いて、大手企業だろうと中小企業だろうと規模が違うだけで担当者として悩んでいることは同じだなぁ、と感じました。

今回、スマートグラスのデモを体験してみて画面が小さく表示できる情報量も少ないため、ウェブ担当者・ウェブディレクターとしてユーザーに分かりやすく見せる、体験を感じてもらえる情報設計が今以上に重要になってくると思いました。

未来はすでに来ていた!ウェアラブル業務活用事例と企業間コラボ(2)につづく
連載2回目以降はプレミアムメンバーの方のみがお読みいただけます。

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