森野
消耗品にならないためには、いろいろ時間を見つけてスキルアップを図るのがいいと思いますけど、やっぱりウェブ担当者の方って、悩みを自分の中に留めてしまう傾向がありますよね。
そこがあかんとこでもあるんです。外に出て人と相談しなかったり…
丸山
あ~確かに。
自分の仕事や職場環境について、人と話すことってあまりしないですもんね。
森野
そうなんですよね。だから結局事態は全く改善されないですよね。
セミナーに出たり、いろんな人の話を聞いたり、悩んでいることを相談したり。自分で何か動かないと状況って変わらないんですよね。
いつまで経っても消耗品のように扱われてしまう…
丸山
ウェブ担当者個人のスキルの伸ばし方は、ウェブ業務での消耗戦だけじゃなくて、いろんな人と話をしたり、もっと視野を広く持ったりすることだと思うんです。
そして、消耗しすぎて「転職して環境を変えよう」と考えるときも悩ましいところがありますよね。
年収アップを目的にした転職ほど危険なものはない、という話もあります。
年収が上がるから転職したところ、転職先は以前の会社よりも消耗してしまう職場だった。みたいなね。
森野
ありますね。聞きますねぇ。
丸山
年収が上がる=会社からの売上貢献への期待度も上がる、という環境になって無茶な仕事内容も多かったり。しかも雇用が年契約で、契約が切られた後、身の振り方に困り果ててしまうっていうね。
森野
今の給料が安いからといって給料が高い会社に転職すると、そういう事態に陥っちゃったりしますからね。
丸山
そういうことですね。給料につられてしまうと転職先もまた消耗戦になってしまうことが多々ありますよね。
800万円以上売り上げてくれる人がいればその給料出してあげる、って考えている会社もあるでしょうからね。
ウェブ担当者の理想のキャリアアップって、いったい何なんでしょうね?
森野
いやーどうなんでしょう。
経営層に近くなってビジネス全体を考える広報やマーケティング担当者が理想のキャリアアップになるんじゃないかと思います。
丸山
なるほど。ウェブだけじゃなくてビジネス全体を見渡し広い範囲を任されるような立場になるってことですね。
森野
そうですね。スキルアップしてウェブ技術も運用も分かる。マーケティング力もある。そしてコミュニケーション力もあれば理想的ですよね。
そうなってくると会社にとって必要で欠かせない人になりますし消耗品ではなくなりますよね。
丸山
給料という点で見れば、第1回「ウェブ担当者は消耗品?ウェブ担当者の年収から考える」で話をしましたが、ウェブ担当者の人で上限が400万円。でもマーケティング担当ぐらいまでの視野になって来ると600万円ぐらいは出るみたいですね。
森野
そうですね。
丸山
僕が以前いたIT業界って、エンジニアだと給料が400万円からスタートするんですよね。だからウェブ業界ってやっていることを考えると給料が安いですよね。
森野
うんうん。そう思います。
丸山
当時の自分と較べると、今の自分はできることも分かっていることも増えています。でも給料だけで言ったら、過去のIT業界の方が割が良いのが現実です。
給料だけを考えるなら、どの会社や業界を選ぶのか、が大きいですよね。
森野
そうですよね。業界でも規模でもやっぱり違いますからね。
丸山
ウェブ業界の場合、実際にECサイトを運営していてしっかり働いている人に高い給料を払えるかっていうと、よっぽどの利益率で回しているECサイトじゃないと払えないですもんね。
きっと、リアル店舗が店長にいくら払えるかという話に割りと近いんですよね。店長さんで、年収がすごく高い人って珍しいように、ECサイトはそんな感覚で運用されているのだと思います。
森野
そうですね。結局、給料上がっていってもどっかで止まっちゃいますしね。伸び続ける訳ではないので。
丸山
例えば極端な話、外資系証券会社の営業などになってくると、動かす金額がデカいから利益も取りやすいので給料が高かったりするんですよね。でも、そっちに行くのが幸せかっていうとそうじゃないところもありますけどね。
森野
一方で給料だけじゃなくて、その仕事に誇りをもっている人も大勢いますよ。
人それぞれ自分に合った働き方があります。ただ給料が上がることだけがキャリアアップじゃないよ、ってことですよ。
丸山
そうですよね。では、ウェブ担当者がキャリアアップのための道筋、キャリアパスについて具体的に考えてみましょう。→第3回につづく