【プレミアム】協力してほしい相手が共に闘ってくれない理由 FavoriteLoadingあとで読む

: 床尾 一法
あなたのプロジェクトはなぜうまく進まなかったのか?プロジェクトを円滑に進めるための秘訣はビジョンの明確化と巻き込み力にあり。

みなさまは何が目的で仕事をされていますか?理想のため?将来の野望のため?家族のため? 私は収入のため。つまり、シンプルに突き詰めると・・・お金のため。家族を守ることも、理想を実現することも、将来の野望を抱くことも、収入があってのことです。

それは個人も法人も変わりません。企業は営利団体であり、事業の収益を拡大すべく常に努力をしています。そこで働くひとたちも営利が目的です。同じ目的を持った者同士が相互に利益を得るために協力しあい、ともに闘います。だからこそ、ともに働く仲間を互いに信用できるのです。

しかし・・・実際のところ、社内外を問わず相互の協力関係がなかなかうまくいかない、協調できない、長く続かないという悩みをお持ちの方も多いのではありませんか?

我々は同じく業績や収益、そして成功を目指しているにもかかわらず、なぜともに闘いにくい状況が生まれるのでしょうか。

協力相手は、お互いの役割を同じように認識しているか?

協力を得たい相手や組織と自分。それぞれの目的は一致しているのに上手く共闘できない状況を想定して整理すると、以下のような原因が考えられます。

  1. 施策プロセスの不一致
  2. 「得られるもの」の認識と理解
  3. 意思決定の主導権争い
  4. 役割認識の不一致

それぞれどういった状況なのかを想定し、解決のポイントを考えてみましょう。

1.施策プロセスの不一致

【状況】

協力してほしい相手が、他者や他部門の提案した施策によって「結果的に得るもの」は認めていても、そこに至る手法や運用のプロセス選定に異を唱えている。

この状況は、少なくとも協力相手が起案者の施策を受け止め、その内容を吟味し、その手法や運用に別の考えを持っているという点で、比較的健全な状態ともいえます。
最初から受け付けない状態ではなく、プロセスへの異論ですから、少なくとも施策の目的と結果については意見が一致しています。

【解決のポイント】

認識が共通しているはずの「結果的に得るもの」を明確に定義し、施策目標を明文化すること。

そして異論が発生した箇所をアジェンダとして可視化し、列挙します。アジェンダごとに相互のメリット・デメリットを丁寧に議論し、不一致を解消していくことで、共闘体制が生まれます。
その議論の中で意見の対立があった場合、必ず定義された施策目標に立ち返るようにしましょう。双方の意見のどちらが目標達成へ貢献するのか、あるいは成果獲得に近いかを基準に議論すれば、解決に導くことができます。

それでもなお意見が分かれる場合は、施策目標に対して双方の解釈のズレが発生している場合があります。

2.「得られるもの」の認識と理解

【状況】

協力してほしい相手が、他者や他部門に協力することで事業の収益が得られる可能性は理解しているが、協力してほしい相手自身に評価または利益がもたらせるとは限らないと認識している。

これは所謂「セクショナリズム」を象徴するような状況です。同じ事業収益を目指しているにもかかわらず、その施策は「起案者やその部門だけが評価や利益を得るのではないか」「協力しても我々には利益がないのではないか」という考え方です。

本来、こういった個人や組織は事業貢献への姿勢が見えにくく、目標設計と結果の評価の不明瞭さが経営判断上でも指摘を受け、是正され浄化されていくものです。
しかし、協力してほしい個人や組織が専門的知識や技術を持つ「高度な属人化」(例えばエンジニア、ベテラン商品仕入れ担当、敏腕営業マンなど)の状態や、複雑な構造でブラックボックス化した管理部門などの場合、仕事の仕組み化や運用の実態に他者の指摘が入ることが少なくなります。そして最終的な成果が伴っていると「事業の重責を担っていると自認し他者に口出しをされない」ことが常態化します。

【解決のポイント】

誰が施策の成否を握る鍵であるのか、貢献者の明文化です。
「起案者の提案に協力してほしい」という起案ではなく、「(協力してほしい)○○さんが基軸となる施策や戦略」といった起案をすることがポイントです。彼らはすでに事業への貢献意識が強いため、その意識を尊重しつつ新たな事業貢献の中心となるチャンスを作るといった演出です。わかりやすく言うと「大人の対応」ということです。

この場合、相手の特権意識を増長させる結果にもつながるため、あくまでも事業の意思決定を理解し、高度な技術を持つ人やその組織に対象を限定すべきでしょう。高度な技術力を発揮していない人格や組織が自己利益の意識を優先する場合、そもそも職場から淘汰されてしかるべき人格です。

3.意思決定の主導権争い

【状況】

協力してほしい相手が、他者や他部門から提案された役割を全うすることで、意思決定権の主導権を奪われると考えている。

【解決のポイント】

これは(2)の後段で解説した内容に近いですが、主導権の剥奪と感じる個人的な感情によるものです。同じく「○○さんが基軸となる施策や戦略ですよ」という大人の対応が一番効果的です。が、この状況では普段から協力の依頼者をライバル視、あるいは敵視している場合が考えられます。ゆえに今後も依頼者の障害となり続ける可能性が高くなります。

であれば、いっそ共通の利益を得るための共犯関係に持ち込んでみるのも良いでしょう。コミュニケーションを面倒がらずに、評価の山分けをする相手として説得し、かつ相手を旗手として施策を提案することでプライドを尊重します。精神的にも負担の大きな役回りですが、今後の障害を回避して施策を推進しやすい空間を維持するという点では、効率的で健全な方法です。
(2)と同じく、この対応も高度な技術や判断能力を持つ相手に限られます。そうでない場合は、そもそも共闘を持ちかけても、依頼者側の負担だけが高まってしまいます。

4.役割認識の不一致

【状況】

協力してほしい相手が、他者や他部門から提案された役割を「本来は我々が担うべきことではない」と認識している。または工数を確保するべきではないと認識している。

容易に想像できる「協力したくない理由」としては、単に仕事量が増える、工程が増えるという物理的な状況への不満と考えられます。自分の考えたこと以外は余計な仕事であるというケースは、先述の(1)~(3)で述べています。
しかし、企画や施策に重要な役割を果たすような影響力を持つ人格や組織には、自ら積極的に仕事を作り出す行動を会社からも期待されているはずです。

こういった「縦割り行政」といえる状況は、高度に業務運用が確立された分野、たとえば広告管理やシステム対応、商品管理など、事前に定められたワークフローなどを担う組織に発生しがちです。

運用が基本フレームの反復(フレームへの依存)であるがゆえに、担当者が思考する時間あるいは機会が減少する危険性を常に孕んでいます。
そのため、担当者は「いま(自分たちが)何をすべきか?何が求められているか?」を考える機会が作れない、あるいは奪われてしまっている場合があります。つまり、「それは運用やルールにないから協力しない」という思想の根源は、その組織なり人格なりが事業を主語として「すべきこと」を判断し決断することを求められていない環境に起因しています。

【解決のポイント】

解決のポイントは将来のあるべき姿を意識させることです。
運用を担う、特に複雑な運用を担っている人や組織の場合、業務の判断がしやすい高度な運用フレームであることを、自分たちが高度な判断ができていることとして混同しがちです。

その人格が、もし違う役割を与えられた場合、あるいは管理職を任された場合、どのような判断と決断ができうるのか?その時に真価が問われます。
キャリアを考えた場合、他者と共闘する機会で運用フレームへの思考依存を脱却し、意思を持って判断できる能力(今後も活躍の幅を広げられる能力)を養うべきだと、相手自身に認識してもらえる語らいの場を積極的に作りましょう。

もちろん、協力すべきか否かを判断する提案の内容が、必要性や成果獲得において妥当かつ正しい判断である説得力を持つことが大前提です。さらに、意思を持つことを認識させる作業は経験がないと難しく、相手の考えを引き出すファシリテーションのテクニックが必要です。

相手の考えやあり方を自身で認識させるコツとしては、自社のマーケティングの問題点と課題点を「技術論禁止で」「事実(現象)や数字に則り」「あるべき状態とともに」相手に問うことです。

市場や企業、事業の視点で的確な内容を答えてもらえた場合は、その内容を討論し、共通する課題を推進するメリットを相手の今後の評価とともに確認します。
もし的確な内容が答えてもらえなかった場合、おそらく運用上の技術課題を中心とした回答や発言であると推測できます。その考えのまま仕事を進めていくと、自身の評価やキャリアがどうなると考えているのかを問い、認識を促してみましょう。

技術は時とともに変化し、やがて次世代技術への対応が難しくなっていきます。しかし、自分なりに思考して判断し決断することができる能力は、職種が変わっても時代が変わっても対応できる普遍的な能力であると、認識を促すのです。

そして、この解決方法は協力の依頼者に大きな副産物をもたらします。他者に能力を養う機会を作る「巻き込む力」を発揮できれば、あなたは経営層から組織を任せるべき人材としてみなされ、管理職へと近づいていくことになります。

不安要素の解消

いずれも共通している点は、協力してほしい相手が「不安を抱いている」と考えられます。施策プロセスへの不安、評価への不安、主導権を取られることへの不安、そして自身の理解にない役割を押し付けられるという不安。
協力要請の起案者が協力してほしい相手の行動を得るためには、相手が不安に感じている点を適確に捉え、「サポートしますよ」「支援しますよ」「役割分担しますよ」というメッセージを発信する必要があります。そのためには、協力してほしい相手の業務的な状況や心理的な側面を常に観察し把握しているべきです。

「めんどくさい」と思われますか?いやいや、もしあなたが企業や組織の幹部としてキャリアを積みたいと思っているならば、これらは「他者を巻き込む力」として必ず求められる能力です。少なくとも、経営層からの評価を獲得することになり、組織に影響力を持つ人材としてのニーズを獲得します。

情報の開示と解像度

協力してほしい相手の不安解消には、情報の流通にも気を配りましょう。人は常に「知りえないことへの不安」「情報が隔絶されていることへの不安」を抱いています。情報の流通はリスクもつきまとうものであると同時に、適度に開示して流通させないと組織内の心理的不安が蓄積され、人事的側面でも組織のパフォーマンスに大きく影響します。

協力を依頼するにあたっては、依頼者が持ち得ている開示可能な情報をすべて開示し、かつ細かい点も伝えて情報の解像度を高めます。情報を持っている側からすると「そこまでは必要ないな」と感じていても、それは情報の持ち手の主観的な判断です。その細かい情報が必要かどうかは、協力してほしい相手が判断することです。一旦は全て伝えましょう。
情報の開示はコミュニケーションに大きく寄与し、相互の理解と共感が促進されます。

協力を得るための考え方は部下に対しても同じ

これらの協力を得るための考え方は、自組織の仲間、そして部下や後輩に対しても同様です。上司あるいは先輩であるあなたの指示を、なぜ遂行しないのか?指示を出し指導する相手の心理的側面の対応、指示を遂行する評価や利益をイメージさせ、不安な点を解消することで解決できます。

また、指導を行う部下や後輩と常に定例ミーティングを行い、相手の希望や不安を常時把握すると同時に、こちら(指導者や組織)の相手に対する「期待値」を明確にして相互に理解している状態を作りましょう。応えるべき期待値が明確になればなるほど、指導相手が評価の獲得とその積み重ねで得るキャリアをイメージしやすくなります。

そして適切なフィードバックも必要です。部門間での協力要請の場合は、相手の直接的な行動評価者ではありませんから、フィードバックは協力結果に対する成果状況が主になります。
ですが成果に至る行動も評価する指導相手に対しては、成果状況のフィードバックだけで終わると相手の成長が促されません。

指導相手に「なぜそのような結果になったのか?」「その結果をどう解釈しているのか?」要因や次回への反省点を自分で発見をするような問いかけが必要です。指導者の問いかけがあってはじめて考える、そして自分が行うべきことが自分自身の考えで発見できます。

組織の内外を問わず相手の意思や意図を理解する

組織の内外を問わず、人の意志は100人100様、人それぞれに動くための意思や基準が異なります。同じ目的を持っていながら共闘できない相手の行動原理もまたさまざまです。
相手の目的や狙いを理解し共闘すべく、組織の外でも中でも相手を理解する時間を丁寧に作っていきましょう。ご自身のキャリアのためにも、組織への影響力を発揮する良い機会となるはずです。

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床尾 一法
この記事を書いた人: 床尾 一法

自ら大規模商用Webサイト運営を多く体験、Web解析による「見えること化・言えること化・できること化」を軸とした集客戦略、ユーザーとの対話シナリオ設計、ユーザー行動分析を得意とする。
2014年に独立後、常駐先であった中古車流通最大手(東証一部上場)の企業に出戻りで2回目の入社。集客戦略の再設計、新規事業開発に従事。
現在は人事部に所属し、ビジネス思考力の育成指導、事業を生み出し推進する人材を育成する教育責任者を務める。また、社外各所でもWeb解析担当者やオンラインマーケターを育成するための講師を務め、将来はマーケティング人材育成機関の設立を目指している。


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