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継続的にコンテンツを追加するサイトを制作する時、CMSの導入を検討し、その選択肢としてWordPressがあがることは多いと思います。
WordPressはメジャーなCMSでありながら利用自体は無料で、使用できるウェブ制作会社も多いために気軽に導入されています。
一方、導入してから「こんなはずではなかった」とか、「設計を間違えていた」「セキュリティホールがあって被害にあった」といった声もよく聞きます。
最初の発注や設計段階で失敗していることが多いのですが、残念ながらWordPressの制作経験のないディレクターにとって転ばぬ先の杖を予想することは困難です。
そこで、この連載ではWordPressの発注やディレクションをしなければいけない立場になった時に、最低限気を付けておきたいことをまとめます。
なぜディレクションを失敗するのか?
WordPressのディレクションで失敗する主な理由を一言でいえば「ウェブ検索で間違った情報に出会うことが多い」ことだと思います。
さまざまな人がブログなどで情報を発信しているため、中には誤った理解でたまたまうまくいった内容やプログラムコードなどが紹介されていることもあります。
初めてWordPressをディレクションする時には、正誤判断は極めて難しく、結果、同じような過ちを犯してしまいます。
そのため、ディレクションする立場として間違っていない知識を身につけておきましょう。
押さえておきたい3つの知識
WordPressのディレクションに必要な知識を3つに絞りました。
- SEO内部設計の知識
- 技術的な知識
- チェックリスト
これからの連載ではそれぞれの章に絞って詳しくお伝えしていきますが、このページではそれぞれ簡単に概要をご説明します。
SEO内部設計の知識
WordPressでサイトを構築する場合、SEOを意識するケースがほとんどだと思います。ディレクターとしてはWordPressを構築する業者に対してSEOに対する指示をしなくてはなりませんが、ネックになるのがSEO内部設計の知識です。
ある程度までの基礎知識は有していたとしても、SEOの内部設計について、幅広く正しい知識を有している人は多くありません。
内部設計は「技術的な知識」であり、Googleのシステムが進化する度に変わるからです。
技術的な知識を正しく理解するためには、Googleがたびたび正式発表している資料を読まなくてはなりません。資料は米国Googleが作っているので、英文の技術者向けドキュメントです。従って、なかなか対応できる人が少ないのが実情です。
また、以前のGoogleはバグが少なからず存在しており、その裏をかくコーディングをSEOの内部設計の知識だと思っている人もいます。このような情報もブログで発信されているため、何が正しいか分からなくなってしまいます。
最近のGoogleでは、内部設計が多少悪くてもコンテンツの内容が良ければ上位表示できることが多々あります。そのため内部設計の過ちには気づきづらく、一部だけ間違った情報を発信してしまっているブログもあります。
SEOを知ってからWordPressを構築する
ディレクターとして、インターネット検索時にこれらの混沌とした状況があることを把握しておくことが大切です。
その上で正しいSEO内部設計を行い、設計に従って正しくWordPressを活用すると考えましょう。
極端な話、SEO対応プラグインを入れることでSEO対応完了とすら勘違いしてしまいます。
そうではなく、SEOの設計通りにWordPressが構築できているか?という順番でのチェックが大切です。
そのために、まず正しい内部設計を知ることから始めましょう。
技術的な知識
ディレクターに技術的な知識が不足している場合、製作中には問題がなくとも、運用時に大きな問題に見舞われることがあります。
例えば、
- 新しいコンテンツを追加した時にURLがおかしくなった
- リンクがうまく張れなかった
- バージョンアップをするとおかしくなった
などがあげられます。
また制作会社任せで作った結果、管理画面が使いづらく、どのように更新すればいいのか分からなくなることもあります。
WordPressはどのようなソフトウェアなのか?どのような仕組みで動いており、どのように活用できるのか?について明確にイメージができれば防げるミスです。
ぜひ最低限の知識をつけておきましょう。
チェックリスト
最後はチェックリストです。
WordPressはシステムですので、適当に作っただけで運用を開始すると、その後に問題が発生しやすくなります。
例えば、制作時にセキュリティホールへの対処がなかった、そもそも見積もり項目に含まれていなかったなど、“発注側”と“制作側”、どちらの責任かはとても曖昧です。またアクセス解析の対応などについても漏れが発生しやすくなります。
これらの問題は、ウェブの進化が早いために標準フローが存在せず、制作会社の対応がバラバラだということにもつながります。クオリティを保つためにも、チェックリストは必要不可欠です。
具体的には、「設計時にはどのようなことを確認しておかなければならないのか」「構築中には何に気を付けるべきなのか」「そういったことを含めて、見積もりには何を考慮してもらうべきなのか」など、一つずつチェックすることで対応漏れのリスクをぐっと減らせます。
失敗を重ねないと分からないことも多いのですが、この連載では実際に現場で使用されているチェックリストを共有します。
まとめ
ここでは、WordPressをディレクションしようとした時によくある失敗と、その原因、また対処方法の概要をお伝えしました。
WordPressはとても素晴らしいソフトウェアですが、適当に構築すると後から問題の起きやすいソフトウェアでもあります。
構えすぎる必要はありませんが、社内システムを導入する時のように慎重さをもって取り組むことで、その後の運用が楽になります。ぜひこの連載で要所を押さえたディレクションを学んでください。
次回は「知っておきたいSEO内部施策の基礎知識」をお伝えします。