多様化する働き方と長時間労働を考えてみた(3) FavoriteLoadingあとで読む

: 東郷 宝
“新しい働き方”の実態について、リモートワーカーかつ子育て男子と、共通点が多めなNさんと東郷がとことん語った2017年夏。対談から時が経ち、あらためて働き方を考えみました。第3回は仕事の大変さを時間で縛るのは是か非か。

3回目となった今回は、時間管理について考察したいと思います。
前回と同様に今回の記事執筆にあたって情報提供をいただいています。この場を借りてお礼申し上げます。

この記事を書こうと思ったきっかけは、2月中旬頃に参加した学生さんと社会人をつなぐとあるイベントです。そこで思わず考えさせられた質問がありました。

▼長時間労働=働きすぎ?

就活中のある学生さんから「そもそも長時間労働は悪なのか?」という質問をいただきました。

これには大半の人がイエス!と答えるでしょう。私もその学生さんにはイエスと答えました。
「長時間労働によって過労死をまねくケースも度々あり、ブラック企業という言葉も生まれた。にもかかわらず、長時間労働を半ば強制するようなパワハラまがいの働き方もまだまだ蔓延しているから」と。

ただし誤解を恐れずに言えば、長時間労働=“絶対悪”ではないとも思うとも。
「雇用形態による働き方や待遇の格差が縮まっていくように、労働時間による評価の格差もこれから少しずつ無くなっていく可能性もある。だから一概に絶対悪だとは言えないかも」と。

質問してくれた学生、吉田さん(仮名)は少し納得したようでした。
吉田さんが言うには、長時間労働で有名な企業にインターンで行った際、社員の人たちはとてもイキイキして見えたそう。

吉田さんは気になって、年も近く話しやすかった社員の藤本さん(仮名)にそれとなく話を聞いてみました。すると、「そりゃ長時間に及ぶ仕事はしんどいよ。けど、やり甲斐もあるし何よりこの仕事が好きだから不満はない」と返答したそうです。

労働時間の長短で語るのに違和感

私たちの2人の話を聞いて吉田さんの友人、服部くん(仮名)も話題に入ってきました。彼は卒業を控え、この春からあるゲームアプリ開発会社で働き始めます。彼が就職先を選んだ決め手は、インターン先で指導員となったある社員の時間管理の巧みさだったそう。

服部くんの指導員の1人だった社員の名は辻岡さん(仮名)。毎日、何時から何時と時間を決めて仕事をこなさず、案件とその進捗状況に応じて働く時間を決めていたそうです。

「最近の若者は帰るのが早い!俺たちの頃は…」などと、仕事の大変さをどれだけ長く働いたかで語る大人たちに違和感を覚えていた服部くんには、辻岡さんの働き方や考え方は新鮮でした。

ある日は朝早くから出社しクライアントとミーティング。その日に案件が動く気配がないので、別件の資料を作成し、少し早めに退社。またある日は、お昼前に出社して技術者と開発中のゲームをチェック。この日は終電近くまで働いていたそうです。

その自由な働きでなぜ仕事ができるのか?気になったので思いきって尋ねたところ、「自由?そもそも仕事を時間で縛るの方がおかしい。」と辻岡さんは答えたのだとか。

服部くんは、時間管理を徹底しその中で最大限のパワーを使って仕事をしている辻岡さんに憧れ、その会社への就職することを強く願いました。
面接時に社長にその話をしたところ、辻岡さんのように時間管理が上手い人は少ないが、そうした働き方を推奨しているという話が出たことも、その企業に就職を決める大きな要因となったみたようです。

働き方を一元化するのはナンセンス

しかし前述した辻岡さんのような働き方は、誰にでもできるものではありませんし、働き手がみんな望んでいるわけでもないのです。

長時間におよぶ労働に対しても対価をしっかりと払う企業に勤めているというある人物は、「残業がなくなると困る。残業代があるから生活できている面もある」(30代/食品卸会社勤務)と言っていたほど。

そもそも残業代ありきで生活を考えるのはどうなのか?と、個人的には思いますが、同じ意見の人は他にも何人かいました。
彼らはしっかりと定時まで働き、さらに時間を延長して働くことに魅力を感じている人々です。そんな彼らに、辻岡さんのような働き方やそれを推奨する会社の方針は、決して合わないでしょう。

働く側の気持ちが置き去りになっていないか考えてほしい

コレは余談ですし、長時間労働と厳密には違うかもしれませんが、“24時間フルタイム勤務→2日休み→24時間フルタイム勤務→2日休み”という、変則的な働き方でも大変満足しているという人もいました。

この方には変則シフトでの働き方があっているわけですし、待遇面でも満足度が高く生産性にも問題ないのであればそれはそれで良いと思います。

反対に、たとえ短時間の勤務であったとしても、何の生産性もないのであればいくら融通がきく職場環境であっても、本当に必用なことなのか?と疑問を感じて良い気がします。

何でもかんでも生産性がすべてとは言いません。しかし、何かしらの価値を生む働き方は模索すべきかな?と個人的には思っています。
大切なのは、いかに時間を上手くつかって仕事をやりきっているかではないでしょうか。

企業や行政がどれだけ改革に乗り出したとしても、働く側の心と生活に寄り添っていなければ、何の意味も成さないのでは?と、いまのところ疑問しかありません。ただ、働き方改革がきっかけとなってくれればなと、淡い期待はなくもないです。

次回のお話

さて次回で4回目。ようやく働き方の多様化について触れていきます。これまでの3記事のほとんどが、長時間労働に関する話題になってしまってましたから(笑)。

ということで第4回は、雇用形態と労働時間による評価・待遇の格差について、書いてみようと思います。

 

東郷 宝
この記事を書いた人: 東郷 宝

クリエイティブらぼフロッケ 代表
ウェブメディア運営やコンテンツ記事制作のほか、若者文化のリサーチしている。

電気通信事業者、システムインテグレーター等で採用・人材育成関連の仕事に従事。総合人材サービス会社でライター・編集者として活動した後、子どもと過ごす時間を優先するためフリーの編集者となる。

主に採用や就活関連の記事を執筆。また、女性比率の高い職場でのマネジメント経験を活かして恋愛相談サイトで連載を持っていたことも。
その他、スポーツ関連媒体や美容アプリ・ライフスタイルメディアにも執筆しているが、本業はあくまでも編集者。
ウェブ担当者通信の編集長(仮)もこっそりやっている。


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