【プレミアム】新しい働き方を考えるVol.2 FavoriteLoadingあとで読む

: 東郷 宝
働き方改革が高らかに叫ばれ、企業側も働く側も、“働き方”の見直しに迫られています。パラレルワークやリモートワークに注目が集まっていますが、実践している人は何を考え、どんな生活を送っているのでしょうか? 今回は、企業に所属しながらも自由に働くNさんにお話をうかがいました。

Nさんとインタビュアー(東郷)は、リモートワーカーかつ子育て男子と、共通点が多め。
子育てとの両立のリアルから、セルフマネジメントの大切さまで。“新しい働き方”の実態について、とことん語っています。

【Nさん プロフィール】 企業に所属することで得られる自由度を最大活用しているシステムエンジニア。
入社以来、勘定系システム、情報系システムの設計やアーキテクチャの整理、開発標準の策定、製品開発などに従事している。

東郷:仕事のスタイルを変え始めたころ、同僚の目などは気になりませんでしたか? 僕の周りには「リモートワーカーとかいって、どうせサボってるんじゃないの?」と理解のない言葉をかけられた人や、管理が難しいからやめてほしいと文句を言われた人がいます。リモートワークのデメリットとも言われますが、その辺りはどうだったんでしょう。

Nさん: 「コイツいっぱい休んでるな」と思う人はいたかもしれません。ただ、その間も僕は仕事をしていましたし、休む権利を行使しているだけですから。それでも仕事の進捗は絶対に落とさないようにしていた。だから周りの目を気にしたことはないですね。それより、嫁との仕事のローテーションや、子どものことを考える方が大変だったので。

“この生活が上手くいくためにはどうしたらいいか”を話し合わなければ意味がない

東郷: 奥様との仕事のローテーションについて話が出ましたが、ご家族の理解があるというのはやはり大きいですか?

Nさん: 嫁は僕より忙しいというか、オンリーワンの仕事をしているので休みが取りにくい。なので、僕より嫁がフレキシブルに休みを取った方がいいかな、という思いはあります。
そう考えると、僕と嫁との間では、理解しあっている感じですかね。それよりも認知を広げてどうのってのはないかもしれない。

東郷: なるほど。当初からお二人は理解しあっていたんでしょうか。それとも徐々に?

Nさん: 子どもが入院し始めてからでしょうね。でも結婚前も結婚後も、ずっと出張はしていたので。

東郷: その環境の延長線上、という感じでしょうか。

Nさん: そうですね。嫁からすると、大阪にいるのか東京にいるのかわからない。でも、いないことには変わりないじゃないですか。ずっと大阪に出勤したり、夜中まで仕事していたり。お互い調整して家事や育児をしないといけないので、そこは何回も話し合いました。
掃除機はいつかけるかとか、炊飯器は2個あった方がいいんじゃないかとか、洗濯はどうするとか。そういったことが積み重なって負担になっちゃうので。

単なる“役割分担”じゃなく、この生活が上手くいくためにはどうしたらいいのかを話し合わなければ意味がない。さすがに洗濯機を2つ買ってはいないですけど、この生活を続けていくために、そのぐらい考えてもいいんじゃないの?とはよく話していました。

東郷: そういった環境にいる夫婦だからこそ、自然と協力関係ができるのかもしれませんね。

Nさん: そうですね。もし嫁がパートや専業主婦であれば、そんな話はしていなかったかもしれません。

東郷: 当時もし奥様が専業主婦であれば、いまのリモートワークを当たり前にする環境からは、だいぶ変わっていたかもしれないですね。

Nさん: いまは会社の環境や制度も整って、在宅勤務もOKなので、また違うかもしれません。
でももしそこに家族がいたら、集中できないですよね。気が散るというか。家族がいるなら会社に行こうと思うかもしれないですね。

東郷: それはわかる気がしますね。僕も家で仕事することが多いんです。
いまは子どもがある程度大きいのでその辺りの分別はあるんですが、リモートワークを始めたころはまだ小さかったので、面倒を見ながら仕事をしていました。
結局生産性が悪くなって、夜に作業を持ち越しちゃうこともありましたね。

Nさん: あえて日中は在宅せず、夜に作業することもありますよね。

仕事を邪魔する要因に“自分以外の何があるか”

東郷:「本当にこれで良かったのかな?」と考えることもありました。でも妻は僕の働き方を理解してくれていた。
自分も日中は働いているのに、僕の負担にならないようサポートしてくれたのは大きかったですね。

Nさん: 家族の理解という点では、いまの話にもありましたけど、どちらかというと子どもですよね。
子どもが協力してくれないと成り立たないじゃないですか。特にまだ小さいと、やっぱり遊びたがるので。「いま仕事しているから」と言っても、向こうは遊びたくて仕方ない。でも、こちらとしては仕事を優先したいときもある。

東郷: そうですね。リモートワークは周りの目が少ないので、少し息抜きでテレビを見られるし、子どもと歌おうが遊ぼうがOKですもんね。自己管理しないと。

Nさん: それは会社も一緒ですよね。上司が「ちょっとちょっと」って言ってきても無視することもあるし、話に乗ることもあるじゃないですか。要は仕事を邪魔する要因に“自分以外の何があるか”ですよ。
僕はテレビを見ないので、テレビを見たいという誘惑はない。でも子どもが「遊んで!」と言ったり、料理を作ろうと誘ってきたりする。それに時間を取られると仕事は進まないわけです。ただ、それって職場でも一緒ですよね。僕からすると、職場の方がよっぽどひどいと思いますよ。

管理職はボーっとして、部下はずっとパソコンを見て…。何をしてるんだろう、って思う

東郷: 職場って、目に見えない時間を取られていることがありますよね。

Nさん: そうなんですよ。しかも「雑談が大切なんだ」と思ってる人がいるじゃないですか、結構。

東郷: なんだかんだ多いですよね。確かに雑談から、意外な情報を拾えることもありますけどね……。

Nさん: 大事なのもわかります。でも「いつも喋ってるな、この人たち」って。

東郷: タバコ休憩で2時間くらい帰ってこない人とか、「どこに行ったんやろ?」と思う。後で聞けば、喫煙所がある種の“会議室”になっているらしいんです。わからなくはないですけど……。

Nさん: それも大事なんですけど、広がらないなとは思いますね。リモートワークというか、外に出て仕事をしていると、情報やコミュニケーションの大切さっていうのはわかります。いつも一緒にいない分だけ。

東郷: 時間が限られているからこそ、しっかりやらないといけないですもんね。いつでもミーティングができたり、作業ができたりするわけじゃない。だから生産性が上がることもあると。
でもこの考えは、昔ながらの体質の会社や、その中で育った方には伝わらないことも多いですよね。

Nさん: 多いですね。そもそも理解しようと思ってませんからね。

 
東郷: そういうときも気にならないですか?うちは親が伝統や格式にうるさいタイプなので、親からしてみたら“会社にも行かんと、なんかパソコンでちょちょっとやって、話聞いて金稼いでいる”みたいな感覚なんだろうなと。
いまはそれなりに理解してくれていますけど、リモートワークってそういう目で見られてるのかな……とか、気にしちゃうんですよ。
そういう働き方を自分で選択したから仕方ないんですけど、僕は気にしちゃうタイプなので、密かに落ち込んでます(笑)。

Nさん: 逆に戻れないですよね。たまに会社に行って社内を見渡すと、ずっと座ってる人がいるんですよ。管理職はボーっとして、部下はずっとパソコンを見て、営業部長と営業は喋ってるだけ。何をしてるんだろう、って思うじゃないですか。「あなたは管理職なんじゃないの?部下に営業させなくていいの?」とは思いますよね。そういう光景を何度か見ていると、無価値だなと感じてしまう。
でも「じゃあお前も一日座っとけ」と言われたら、できない。そういう体になっているので、やっぱり一日2~3交代は動きたいなと思うんです。もう戻れないですね。

東郷: 程度の差はあれ、どこにでもそれはありますね。そういう人たちは何のために会社にいるんだろう?と思うことはあります。
スタッフの勤怠管理をして、進捗報告を受けて、檄を飛ばす。それをマネジメントと言い切る人がいる、これが許せない。
そこからハミ出ると異端者だという人もいる。あと僕が疑問を感じるのは、“会議のための会議”とか、普通に考えたら無駄な業務を当たり前にやっていること。
無駄な時間の使い方をしていると思う。しかもそれが強制でも、「昔からしていることだから」と言われれば、疑問に思わない人・思っていても言わない人も多い。

“フレーム以外のやり方で、生産性が上がることもある”
これを理解している管理職は、あまり多くないように感じる

Nさん: 決まったものを生産するのは今までのフレームが効率的なので、そういうやり方に対しては「別にいいんじゃない?」って思います。でも、そうじゃない仕事をする人を巻き込むのは許せないです。

東郷: そうですね、同じフレーム内ですべて済ませてしまおうとするのはダメですよね。

Nさん: それしかやれないからですね。

東郷: もちろん、フレームがあるから効率的に仕事ができる場合もあると思います。でも枠外で自由に動く因子を入れて、それをコントロールして結果を出せれば、さらに生産性も上がり、アイデアも生まれるはず。
枠内=社内も枠外=リモートワーカーもマネジメントできる人は、それこそ“マネジメント能力が高い人”だと思います。
話が少しズレてしまいましたかね。でもそういう方ってなかなかいらっしゃらないな、とも感じますね。

Nさん: おっしゃるとおりです。よく「課長のキャパ以上の仕事はその課はできない」って言うじゃないですか。企業の規模にもよるけれど、現場のリーダーは課長レベルだと僕は思っている。やっぱり、現場を取り仕切る人のスペックは超えにくいですよね。

この人がマイクロマネジメント経営で管理しましょう、この枠の中で、となったら「じゃあこの中だけで仕事しとけばいいんでしょう」となる。それで給料がもらえることが、ある意味サラリーマンの醍醐味じゃないですか。
「あなたができない仕事をするんだから、この枠組み以外のことをやらせてもらいますよ」っていう動きを認められる課長がいるかどうか、だと思うんですよね。

働き方にしても、リモートワークと、リモートワークよりちょっと先を行くワークスタイルもあるじゃないですか。そこを分けて話している人が、最近あんまりいない気がしています。

東郷 宝
この記事を書いた人: 東郷 宝

クリエイティブらぼフロッケ 代表
ウェブメディア運営やコンテンツ記事制作のほか、若者文化をリサーチしている。

電気通信事業者、システムインテグレーター等で採用・人材育成関連の仕事に従事。総合人材サービス会社でライター・編集者として活動した後、子どもと過ごす時間を優先するためフリーの編集者となる。

主に採用や就活関連の記事を執筆。また、女性比率の高い職場でのマネジメント経験を活かして恋愛相談サイトで連載を持っていたことも。
その他、スポーツ関連媒体や美容アプリ・ライフスタイルメディアにも執筆しているが、本業はあくまでも編集者。
ウェブ担当者通信の編集担当もこっそりやっている。


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