【プレミアム】地方創生、Webに関わる人たちが変えていく(前編) FavoriteLoadingあとで読む

: 杉本 憲昭
地方活性化が日本全体の活力につながると、国が掲げた「地方創生」。興味はあるけどイマイチよく分からないという方へ。地元高知を盛り上がるべく勢力的に活動する、ウェブ・イベントプロデューサー杉本さんが実体験を交えて解説します。

画像:Adobe Stock

国や地方自治体が推し進める地方創生

“地方創生”と聞いて皆さんは何を思い描くでしょうか?
例えば、田舎町でイベントを企画してお祭りを開催。助成金や補助金を活用してお店のリフォーム。あるいは、観光客向けのパンフレットの作成。

確かにすべて地域を盛り上げるための活動には違いないですが、はたしてその個々の活動は地方創生に繋げられているのでしょうか?

地方創生の定義

まず、地方創生を語る前に前提条件を整理します。

人事労務用語辞典によると、

「地方創生」とは、2014年9月に発足した第二次安倍改造内閣がかかげる重点政策の一つで、地方の人口減少に歯止めをかけ、首都圏への人口集中を是正し、地方の自律的な活性化を促すための取り組みを指します。同年末に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」および「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、地方における安定雇用の創出を重要視する観点から、地方への本社機能移転を促すための税制措置や、外国企業の誘致に意欲的な地方公共団体の支援などの政策が盛り込まれました。

とあります。

また、内閣官房・内閣府 総合サイトみんなで育てる地域のチカラ 地方創生サイトによると、地方創生版「3本の矢」として、情報支援の矢、人材支援の矢、財政支援の矢によって国は様々な側面から施策を行っています。

要約すると「地方創生」とは、少子高齢化・人口減少対策としての国から地方への「ヒト」「カネ」「モノ」の投資施策といえるでしょう。

地方創生は何をもって成功となるのか?

助成金や補助金を使って田舎町でイベントをしたり、お店や会社のリフォームをしたり、観光客向けのパンフレットやホームページを作ることは地方創生としての活動としては間違いではありません。
しかし、何をもって地方創生に成功したといえるのでしょうか?

イベントの集客が上がった?お店や会社の売上が伸びた?観光客が増えた?

それぞれでいくら目標を達成してもそれは個別のものが成功しただけで、地方創生が成功したわけではありません。

それは国や地方自治体も理解していると思います。
しかし、それを整理してストーリーを立てられる「ヒト」がいないため、単独での成功を起点として相乗効果が生まれません。現状では、個々の案件をひとつずつクリアしていくしか方法がないのだと思います。
様々な助成金や補助金を活用して、ひとつでも多くの自治体や企業・団体、個人に盛り上がってほしいと思います。

高知県における現状と課題

さて、私の出生地である高知県は、全国に先駆けて少子高齢化が進み、地域の課題は山積みです。
これではいけないと高知県知事が先頭に立ち、全国のモデルケースになろうと様々な施策をしております。中でも、IoT・コンテンツビジネスなどIT分野においては強力に推し進めているのを感じます。

実際に、大手IT企業のサテライトオフィスや制作オフィスとして高知県内への企業誘致にも成功しています。

そういう私も、県が主宰している「高知県コンテンツビジネス起業研究会」や「高知県IoT推進ラボ研究会」などに参加しており、様々な活動を通じて、強力な推進を実感しています。

コミュニティへ参加し地域に対する危機感を共有

私は本業とは別に、商工会や法人会・青年会議所や異業種交流会など沢山の諸会に参加し活動していますが、個人単位・法人単位はしっかり地域のことを考えているんだなと感心します。このままではいけない、何とかしないといけないという危機感があり、それぞれの地域貢献活動を見ると、未来は明るいなと思います。

ですが、その気持ちだけでうまくいくというわけではありません。やはり、全体を俯瞰でとらえ、プランしストーリーを練り上げ、実行していく力がないとうまく歯車は回らないでしょう。

地方創生を成功に導くキーワード「インターネット」と「コミュニティ」

全体を俯瞰でとらえてプランしストーリーを練り上げるための、地方創生を成功に導くキーワードとして「インターネット」と「コミュニティ」が大事なのではないかと思います。

なぜそう思うのか。

田舎は都会と違い道路網もまだまだ整備されていないところが多く、公共交通機関も少ないため、交通の便が悪いですし、単純に都会に比べ人口と人口密度が圧倒的に異なり、経済エリアが広くないとやっていけません。
例えば東京都には約1,300万人おります。経済圏単位で考えれば首都圏は約3,700万人。一方、高知県は全国下から3番目の約70万人、四国地方で約380万人、中四国合わせても約1,100万人で人口では東京都には勝てません。面積は東京都の約23倍もあるのにです。圧倒的に物理的な不利があります。

また、人口が少ないがゆえ情報格差が大きく、教育レベルにも差があるのが現実です。

インターネットの高速化によって場所を問わないコミュニケーションが可能になった

だからこそ、地方にこそ「インターネット」の活用が必要なのです。
インターネットはいつでもどこでも誰でもアクセスでき、ブロードバンドの発展により動画でのコミュニケーションも可能ですぐ隣にいるかのように話すことが可能になりました。
現在、一次産業・二次産業・三次産業問わずインターネットが活用され効率化による生産性の向上が見込まれています。

だけどもまだまだ地方にはその恩恵が来ておりません。

後編では、地方を盛り上げるためにどのようにして資源を有効活用するべきか。その方法をお伝えします。

杉本 憲昭
この記事を書いた人: 杉本 憲昭

1976年高知県生まれのウェブ・イベントプロデューサー。
2000年香川県高松市のイベント&ウェブ制作会社である株式会社メディアミックス研究所に就職。主にモバイルサイト制作のウェブディレクションを担当。イベントとウェブという畑違いの業界を同時進行で経験する。
2009年地元(高知)のウェブ制作会社にUターン転職し、企画営業部チーフとして活動。その後、2011年9月フリーランスとしてwebpop(ウェブポップ)を設立。プランニング/ディレクションを中心に県内外のウェブ制作・運営に携わる。
同年2011年11月ウェブクリエイターズ高知を設立し、代表として地元のウェブ制作業界を盛り上げるために毎月1回の勉強会のべ70回以上開催(参加者のべ1,000名以上)
2018年新たな働き方を目指し、株式会社メディアミックス研究所のプロデューサーとして、様々なことに挑戦中。
株式会社メディアミックス研究所 クロスメディア推進室 プロデューサー/国際デザイン・ビューティカレッジ グラフィックデザイン科 非常勤講師/クリエイティブユニット webpop 代表/FUSEセミナー運営協議会 会長/ウェブクリエイターズ高知 前代表/CSS Nite in TOSA 実行委員/高知IT飲み会 主宰/異業種アライアンス 一善会 IT担当執行役員/南国青年会議所シニア会 幹事/香美市商工会 会員/高知県コンテンツビジネス起業研究会 会員/高知県IoT推進ラボ研究会 会員)
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