ウェブ担当者通信の代表である丸山が「これは!」と思った優良セミナーを受けてきて、感想をお伝えするものです。内容については丸山の解釈が入りますので、間違っている部分があるかも知れません。もし内容を気に入り、より詳しいお話がお聞きになりたい場合などは、ぜひ著者・主催者のセミナーに参加されることをオススメいたします。
今年で2回目を数える、AIと人工知能に関する展示会です。IT系の展示会に強いリード エグジビション ジャパン株式会社が運営しています。
昨年もそうだったのですが、とにかく人が多いです。
こんな感じ。
他のイベントはもう少し空いているものも多い中、AIや人工知能に対する人々の関心の高さを示していると感じました。
今年は約150社のブースが展示されていました。
韓国企業が、著作権違反しているサイトを自動的に見つけるサービスを展示するなど、海外企業の出展もありました。
上記の韓国企業もそうですし、NTTさんの「議事録をAIで翻訳して業務効率化した」というプレゼンがあったり、製造業向けに、機械学習で不良品を見つけるサービスが展示されていました。とにかく各サービスが具体的になってきた印象があります。
当然、自分に関係のない業種のサービスにはあまり関心が向かず、AIと一括りで考える必要がなくなってきたようにも感じます。
私の感想を一言でいえば「各サービスが具体的になって、夢がなくなってきた分、ある意味地味になった」という印象でした。
昨年は「音声認識すごいですよ 」といったパフォーマンスが多かったのですが、今年は、その範囲を拡げて、人間の傾向を分析する精度があがってきて、具体的なサービスへの活用例が出てきているように感じました。
例えば、カスタマーセンター向けに音声やテキストを認識してチャットボットで自動応答したり、組織内で離職率が高まるような行動を分析し、事前にメンタルヘルス面の対策を打てるようにしたりなどです。
人間の特定の行動に対し、何をするとよいのか?というデータ分析が進んでいます。
またカスタマーサポートでは、ロボットやキャラクターを使うなど、ユーザーインターフェースを工夫しているサービスが多いのも印象的でした。実際にサービスで使うとなると、そのような工夫が必要なのでしょう。
結局、AI・人工知能とはいいますが、機械学習とは「過去データからある特定の傾向を分析する」ということであり、技術者やデータアナリストの仕事です。
そのため、そのような活動をサポートするコンサルティングサービスの展示も盛んでした。
またDataRobotのように、機械学習や統計モデルを使って自動的にデータからシミュレーションするようなソフトウェアの展示も行われ、企業のデータ活用をサポートしようとする動きがみられました。
今回の展示をみて、今まで人がやっていたことを人工知能におきかえていくということが、少しずつ実現段階に入ってきたといえると思います。
カスタマーセンターや、製造業の品質チェック、人の就業状況のチェックなどです。
自社のある業務を「AIに実行させられないか?」という具体的な商談が多くなってきています。
今回のように具体的なサービスになってくると、結局、現在のAIがやれるのは、特定業務の予測と効率化であることがわかります。
AIや人工知能というと、なんでもできそうな感覚に襲われてしまいますが、使う側から考えれば「この業務はもっと効率化できないかしら」という部分でAIが活躍する場面が増えてきています。
AIを導入する側としては、まず「効率化できる業務はないか」と考えてみるのが良いと思います。
私が感じたもうひとつの感覚は、「人類の未来はこの展示場にはない」ということです。
確かに細部においては、AIが人間の各種業務を効率化し、より良いサービスを展開できるようになっていくでしょう。
しばらくの間、企業間のサービスの戦いは、マイクロサービスと効率化の戦いです。
これが本流だと感じます。
しかし、私はもっと大きな流れがあると感じています。
AIが実現する大きな問題は「人間とは一体どのような生物なのか?」「確率的にどのように行動するのか?」「ある特定の目的に向かう時、どのような欠陥を内包しているのか」という種明かしをしてしまうことであると感じています。
これは生命倫理観に入っていく話で、現在多くの人がAIや人工知能に興味をもつ源泉は、実はこの生命倫理観だと感じています(まぁ漫画の「火の鳥」みたいな話です)。
これがあると社会全体がだいぶ変わってしまうのですが、 それを裏づけるようなぶっ飛んだ基調講演が3つありました。
次回は、その3つの基調講演の内容をお届けします。