ウェブ担当者通信の丸山です。
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
私の個人的なご報告なのですが、昨年末よりAPIbankという会社の立ち上げに関わっています。一緒に森野リーダーや鳴海リーダーも関わっています。
APIbankは、これから訪れる250兆円と言われるAPIエコノミーに対して、日本の開発業者に貢献することを目的とした会社です。
支援者も続々集まっていて、書籍や上場企業さんとのつながりもできつつあります。
APIについては、ウェブ業界も無縁ではなく、むしろ積極的に考えていく必要がある分野なのですが、なぜ250兆円という市場が現れるのかなど、近々詳しいことをご説明しなければいけないと思っています。
そこで来年早々にはウェブ担当者通信でもわかりやすく特集した記事を作りたいと思っています。
また、こちらの企業はかなり大きくする予定でウェブサイトもプラットフォームとして発展させる予定ですので、そのやり方など含めてきっと読者のみなさんのお役にたつと思います。
そこで他ではいえない内情などをプレミアムメンバーの皆さんには随時シェアできればと思っていますので楽しみにしていてください。
有識者の見解では、2018年のウェブ業界予想は大方以下のような予想になるのではないかと思います。
ただ、それは各事象を点でとらえた解釈や判断であったり、一部の大企業の動きから導き出される解釈であり、むしろ中小企業の立場では不安になってしまうことも多いと思います。
なぜなら、潤沢な資金がない中小企業では、大企業のように十分なエンジニアやシステムへの投資額を確保することが難しいからです。
また、近年の消費者の変化から、今のままビジネスを継続できるのか、そもそも今後の世界がどのようになるのか不安に感じる人もいるのではないかと思います。
私自身のことでいうと、先のご報告のように新しい事業を始めたり、Amazonのイベントで最先端に触れたり、様々な人と出会って情報交換をする中で、点ではなく、大きな流れの変化を感じていることがあります。
今回この流れの変化をお伝えせず、点の変化をお伝えしてしまうと、やはり皆さんに役立たない情報になってしまうのではないかと思っています。
そこで、今日は2018年の予測というよりも、もう少し大きな流れの中での2018年を捉えてみたいと思います。
少し長文になってしまいますので、お時間がある時に、「そんなこともあるかも」と気軽に読んで頂ければと思います。
2017年にビットコインやフィンテックという言葉が話題になりました。
今や日本人は世界一ビットコインを保有している民族です。
これらは流行なのでしょうか。それともまったく違う何かを表しているのでしょうか。
私は、既存の仕組みが大きく変わる転換期に我々は偶然出くわしたのだと思っています。おそらく150年に一度くらいの大転換期です。もっと大きく1000年というレベルかも知れません。
その中でも特に変わるのが国家が発行する通貨を中心とした金融市場です。
私たちの常識は、お金を稼ぐために働くという前提で動いています。
しかし、その前提のお金が、テクノジーを中心に大きく変化しはじめたのです。
そのうち、国家が発行するお金は、一つの交換手段でしかなく、様々な企業が発行する通貨のようなものが交換対象になってくるでしょう。
荒唐無稽な話に聞こえるかも知れませんが、今でもその片鱗は見えます。
例えば、マイレージポイントというのは、通貨ではありませんが、様々なサービスの交換対象として成立しています。
テクノロジーの進化により、こういったマイルプログラムを始める企業がたくさん増えてきて、その交換レートがダイナミックに変化していきます。
これは大企業だけではなく、小さな店舗でも実現可能です。
実際、ポイントプログラムを実施している店舗がありますが、その延長で独自の通貨を発行するような商店街も出てくるでしょう。
ちょっとイメージがつきづらいかも知れませんが、おそらく今後10年の間に実際におこることです。
もし、上記のような金融の変化が加速するとどうなるでしょうか?
例えば、旅行が好きな人は、1万円で10万マイルもらえるならば喜んで変換するでしょう。
お金との交換だけではありません。
例えば、旅行が嫌いな人がいれば、自分がたまたま保有しているマイルを別の商店街のポイントと変換したいと思うかも知れません。
不要な商店街のポイントを持っている人は、マイルと交換できればラッキーです。
このようなことは、原始時代では普通に行われていたことです。
魚を釣った人は、山菜をとってきた人と市場で交換します。
しかし、そこに価値の不公平が出過ぎないように、また腐らないように便利なお金というものが発生し、コントロールがはじまりました。
そのコントロールが行き過ぎて、実体経済と金融市場が離れすぎてしまったのが現在の状態であり、多くの人が打開策を思いつかなくなっている元凶です。
この現況を打破すべく、今の金融市場を残したまま、テクノロジーがどんどん別の価値交換の市場を作り出します。ブツブツ交換のような金融市場です。
実際、CtoC取引のメルカリが行っていることも、実質的には上記と一緒です。
このようなCtoC取引が、貨幣やポイントプログラムでも行われるようになってくるでしょう。
こうなると、今の1万円の価値は1万円ではなくなります。
漁師にとって魚より山菜の方が価値があるように、人によって何に価値を感じるかがバラバラになっていきます。
今までお伝えしたように、今後は価値の流通が、現在のお金だけでなく、様々なものに分散していくことが予想されます。
こうなると、お金の流れというのは多方面に分岐していきます。
すると、今のお金だけにフォーカスしていると判断を間違えてしまいます。
これはたとえの方がわかりやすいかも知れません、
今、目の前に大きな川が流れているとして、多くの釣り人が座り、全員が釣り竿を垂らしているとします。
ところが、最近、川の流れも細くなり、目に見えて魚が減ってきて、釣れる人が限られてくるようになりました。そうすると、隣の釣り人が憎くてしょうが無いので、戦いを挑んだり、邪魔をするようになります。
しかし、そもそも魚が減った原因はなんだったのでしょうか?
実は、上流で地震が発生し、川の流れが上流で数十にも分岐していたのです。
全体を眺めてみると、実際に住んでいる魚の種類も量も増えているのですが、一つの川だけ見ているとそれに気づきません。
このような時に最適な戦略は、多くの川から少しずつ魚を手に入れるか、河川間の距離が遠かったら移動も大変ですから、根本戦略を変えて、自分が好きな魚がいる川まで移動するかです。
戦略によって生き方は全く違います。
もしその全部の川を独占しようと考える人は、戦いを続けながら、より苦労して長い距離を移動しながら魚を取らなくてはいけないでしょう。
そうまでして手に入れた魚が、多くの人にとって価値があるかどうかは別の話です。
一つの川に絞って魚を丁寧に扱った人の方が、多くの実りを得るかも知れません。
私たちは今、目の前の顧客の嗜好がどんどん代わり、お金を稼げなくなる不安を感じて右往左往しています。
そして、テクノロジーの進化と大企業という黒船来航が聞こえてきていて、それがあたかもさらに自分たちの川から魚を奪うように感じています。
これはまさに目の前の川しかみていない状態で、実態は違っています。
テクノロジーの進化により、どんどん川が分岐し、別の流れが出来つつあるのです。
ICOやクラウドファウンディングなどもその流れの一つで、まだ出来てもいないプロダクトにお金が集まったりし始めています。
このような状況では、いくら大企業といえども、全部をカバーすることは不可能に近くなってきますし、経済効率的にもあいません。
もし、そのようなことを実現する企業があったとしても、とてつもない公共性と高い能力を要求されるでしょう(これはおそらくAmazonやGoogleです)。
これからの10年は「どの川でいきるのか?」の選択になってくると感じています。
多くの企業にとって、これから求められるのは、自分にとって適切なサイズの川を選び、そこで自分の好みを生かして魚を釣ることだと思います。
またその川が嫌になったら別の川に移動して、やはり好みを生かして魚を釣ることなのです。
一言でいえば、お金も含めて今までの中央集権や一極集中の状態から、分散化・協業化への変化が、これからの数十年程度でおこることです。
その中でどう生きるのか?の選択肢が拡がってきつつあるのが現代の状況であり、現代の多くの人の不安は、目先の川だけを見ているから必然ということになります。
これで今後10年の流れの共有が出来たので、あとはウェブ担当者とウェブ業界の話をして新年のご挨拶を締めたいと思います。
まず、このような変化がおこる時代には「自分の揺るぎない資産を作る」という考え方が必要になります。
資産というと日本円の貯金を思いつく人もいるかも知れませんが、先ほどお話ししたように、お金の価値は今後変わってしまうでしょう。
ここでいう揺るがない資産とは、信頼やスキルアップや他者の評価など、構築までに時間がかかるものをいいます。つまりまさにウェブ通の読者の方が行っている自己投資が当てはまります。
その中でもウェブ通の読者の方にオススメしたいスキルアップは「異文化や若い人も巻き込んで一緒に仕事を行う」という力を伸ばすこととです。
なぜならこれからの時代は、どの川を選んでもそこそこ食べられるようになる素晴らしい時代なのですが、一方で、高度にテクノロジーやデザインも進化していくので、決して自分一人の力ではうまく物事を進められなくなるからです。
ですから、やはり多くの人と一緒に作業を進められるマネージャーはとても重宝されます。
一緒に仕事をするためには、共通の目標(理念)や、コミュニケーション能力、また相手の力をみて生かすという姿勢が大切です。
そんなのわかっているけどどう伸ばしたらいいの?という人も多いと思いますが、このあたりは松下幸之助さんの方にほとんど書いてあるので、ぜひ読んで見られると良いと思います。オススメの二冊をご紹介します。
▼経営心得帖
amzn.to/2Dht91J
▼人事万華鏡
amzn.to/2l2NuBi
またマーケティングに関しては、実践を積んだ方がよいでしょう。
売るということから逃げては駄目で、キャッチコピーひとつで人の反応がかわるという経験を、さまざまなサイトで実際に手を動かして実感していくのがよいと思います。
その参考になるのはこのあたりの書籍です。
▼やっぱり!「モノ」を売るな!「体験」を売れ!
amzn.to/2zA5IhW
▼影響力の武器
amzn.to/2DZ05wX
他には、このような時代にどのような変化がおこるのか?という意味では、私が今までお伝えしたような金融の変化を上場企業メタップスの社長である佐藤さんが書籍で説明されています。こういうものを読んでも面白いでしょう。
▼お金2.0 新しい経済のルールと生き方
amzn.to/2CcG6x2
あとは、今回の話に対して、暗号化通貨に対する各国の規制という流れをふまえて、そもそも金融の変化が実際に起こりうるのか?と考える人もいると思います。
このあたりは国家とグローバル企業という対決の様相もあるのですが、実は日本は新しい金融システムに関して世界のリーダーとなれるような動きをしています。金融庁が積極的なのですね。逆にいえばそれくらい日本が追い込まれたともいえますが、それも含めて、新しい働き方、金融というところで日本が果たす役割は大きいかも知れないのです。
政府が考えているソサエティー5.0という動きは知っておいた方がいいでしょう。テクノロジーの進化にともない、社会そのものが変化すると明言しているのは日本だけです。
▼ソサエティー5.0の実現に向けた改⾰ -内閣官房⽇本経済再⽣総合事務局(PDF)
www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/sankou_society5.pdf
ウェブ担当者通信の読者の方は、リーダーとして皆を引っ張っていく立場でしょうから、ウェブだけの知識ではなく、広く世の中の流れや、経営にも興味をもたれるのが良いと思います。
ひょっとするとマネージャーになると自分で何もできない人になってしまい不安を感じるかも知れませんが、そうではなく、人間心理の原則を抑えたマネージャーは多くの人の力をあわせることができる人という評価になり重宝されます。
仮に何もウェブのことを知らない松下幸之助さんが一緒に働いてくれるならば、絶対に雇って何かを任せると思いますが、ではなぜ雇うのかを考えたら、その稀少価値に気づくと思います。
また余談ですが、金融資産という意味では、時代の変わり目における新しい川に対しては、まだ誰も目をつけていないことが多いので、何かに投資するには面白いタイミングかも知れません。
誰かにとって価値がつくものであれば、将来的に化ける可能性もあります。
150年に一度の変化というのは、150年に一度のチャンスともいえます。
最後に2018年のウェブ業界の予測をします。
とはいえ、予測というよりはやった方がよいことに近いです。
おそらく、世の中はRPAやMAなど流行言葉のように様々な言葉が出てくると思いますが、中小企業が将来的な企業の価値を高めるというのであれば以下3つに注力すべきだと思います。
上記2つは資産形成なので早く始めるほど有利であり、最後の1つは、この変化の時代にチャンスを掴むための心構えです。
具体的にいえば、1つ目の既存顧客との関係性を深める作業は、顧客に掘り起こしのメルマガやダイレクトメールを送ったり、実際にあったりして本当に何を望んでいるかを知ることです。 その一方で、今まで対象外だと思っていた顧客にアプローチできないかも同時に考えましょう。スマートフォンや広告の進化により、今までリーチ対象外だった人に対して、自社のプロダクトやサービスを届けることができたり、ウケる可能性があります。
2つ目の自社にしか貯められないデータは、主には顧客の詳細データだったり、商品の流通データだったり、サイトのアクセスデータだったりします。コツは、他社がお金を出してでも欲しがるだろうな、と思うデータを想像して貯めるようにすることです。
最後の世の中の変化というのは、たくさんあると思いますが例えばこんなところです。
テクノロジーが進化したことにより、すべて思ったより安価に気軽に対応できるというのが共通項であり、多くの人は「まだ怪しい、不安」と思い込んでいることがポイントです。
せっかくなのでタイミングを掴んで活用できれば、目立って競争力がアップします。
これら3つを意識して、ぜひ自社サイトの発展を目指しましょう。
2018年も、ウェブ担当者通信は、時代の本流を見極め「すごいと言われる人になる」ような情報を厳選してお届けしたいと思います。
本年も、ウェブ担当者通信をどうぞよろしくお願いします。