まず一般的に考えられるお金には二種類があります。
50円玉などの硬貨と、千円札などの紙幣ですね。
実はこの二つは製造主が違います。
硬貨は政府が作っていて、紙幣は日本銀行が作っています。
このあたりは「通貨の単位及び貨幣の発行等の関する法律」という法律に定められています。
こんな法律があるって知っていましたか?僕は今回の調査で初めて知りました。
こういったことを知っていくことが日本のお金について理解する第一歩になると思っています。
なお法律では硬貨とは言わず貨幣と呼ばれます。
紙幣は日本銀行券と呼ばれ、二つあわせて「通貨」となります。
今回はまず政府発行の貨幣の製造~流通までについてご説明します。
※前回は紙幣を取り扱う予定でしたが、貨幣の方がわかりやすいのでこちらからいきます。
下図をご覧ください。
図からもわかるかもしれませんが、貨幣の製造コストは安いため、必ず政府は儲かります。
例えていえば300万円で建てたマンションを3000万円で売っているようなものです。
通常そんな粗悪品は売れないのですけど、貨幣は作った瞬間に価値が確定(50円玉はいつまでも50円玉)しているので問題ありません。
これは粗悪品の3000万円のマンションでも、いつまでたっても誰かが必ず3000万円で買ってくれるのと似ています。それなら安心して銀行も買うことができますね。
さて、今までみたように貨幣を発行することで政府は儲かっています。ちなみにこれを通貨発行益(シニョリッジ)といいます。政府はこのシニョリッジ(まぁ数字上のゲームのようなものですが)を使って他国の国債などを買って運用したりもします。
例えば米国の国債を買うと、米国から利息をもらえるので更に儲かります。
この状況がわかると、貨幣をたくさん発行すれば日本政府は儲かるんじゃない?借金も税金もいらないのでは?となりますが、残念ながらそうは問屋はおろしません。
図を見てもらうとわかるように、貨幣は”流通”してこそ初めて価値をもちます。もし政府が大量に50円玉を作ったとしても、銀行にもそんなに50円玉は要らないですから流通はしません。そもそも銀行が50円玉が必要な理由は、ユーザーが税金を収めた時にお釣りを返さなきゃいけないなどですからね。
つまりたくさん貨幣を作ったところで、誰も買ってくれなければ価値は0。
貨幣が流通するかどうかは銀行が買うかどうか。もっと言えば銀行の先にある”市場”がコントロールします。
政府だけなんとかなるものでもないのです。
さて貨幣の不思議と、政府がシニョリッジを得る仕組み。とはいえ政府が必ず儲けをコントロールできるわけでもないことをお伝えしました。
が、それは僕のこの連載でお伝えしたいことではありません。
それよりも見落としがちなある重大な問題があると思っています。
それはこの一文です。
政府はこのシニョリッジ(まぁ数字上のゲームのようなものですが)を使って他国の国債などを買って運用したりもします。
これは一瞬スルーしてしまうのですが、論理的には非常にまずい問題です。
なにがまずいのか?
長くなってきたので、これは次回追ってみたいと思います。
※本記事は細かいところを端折っている箇所があるのと、調査結果の報告なので、大きな間違いがある場合はご指摘いただけると助かります。