SEOライターの仕事は、検索エンジンで1ページ目に表示される記事を書くことです。
検索エンジンに登録された膨大な記事のうち、1ページ目に表示される記事はわずか10記事。数千や数万の競合サイトを蹴落として10記事の枠を勝ち取るため、多くのSEOライターは手を変え品を変え必死に執筆します。
検索エンジンという絶対的な基準に評価されるべく切磋琢磨する様は、マラソンランナーの姿にも似ています。優れたマラソンランナーが高機能なシューズやウェアを着用するように、優れたSEOライターも便利なSEOツールを使っています。
しかし、毎日記事を執筆していると、ツールの内容に不満を抱くこともしばしば。
「こんな機能があったらいいのになあ……」とお嘆きの方々に代わって、理想のSEOツールを3つ考えてみました。
上位表示される10件のうち、
「独自性枠」が何枠設けられているのか分かるツール
最近、検索エンジンに高く評価されやすくなった「独自性の優れた記事」の上位表示枠を調べられるツールがあったら嬉しいと思うSEOライターの方は多いのではないでしょうか。
SEO的に優れた記事を書くには、すでに上位表示されている記事を分析して参考にする必要があります。これは、対応するキーワードの検索意図を探るためです。
「上位表示されている記事は、キーワードの検索意図を良好に分析しているに違いない」という推論を用いて、検索意図を逆説的に分析できます。
例えば、「ラーメン ダシ おいしい店」というキーワード用の記事を書く際、上位表示されている記事10件中10件が、スープのダシにこだわる店舗の紹介記事だったとしましょう。
この場合、上位表示済み記事を上回る内容で、スープのダシにこだわる店舗を紹介する記事を書くのが上位表示の定説です。多くのSEOライターがこの手法で記事を書いています。
検索エンジンの評価が変わってきた
しかし、最近の検索エンジンは独自性の優れた記事を高く評価する傾向にあります。そのため、例えば「麺にダシを練り込んだ変わり種ラーメンを出す店舗の紹介記事」を書いたとしても十分に上位表示される可能性があります。
このような「上位表示されている記事の裏をかくような内容」の記事評価は、定説通りの記事とは別基準で行われるらしく、クオリティの低い内容でもラッキーな上位表示を獲得することが多々あります。
執筆前の事前調査や構成検討時間を大幅に削減できるため、独自性の優れた記事を書くことは、旧来形式で記事を書くよりも効率的です。
ところが、独自性の優れた記事は、上位表示10件中何枠か設定された「独自性枠」の中にしかランクインできないという欠点があります。
旧来形式の内容なら10件中5位にランクインできるクオリティで独自性の優れた記事を書いても、「独自性枠」が3枠と決まっている場合は下位表示されます。
現在、検索エンジンが独自性枠を何枠設けているかを判別するツールはありません。『株式会社Faber Company』が販売する『MIERUCA』などを使っても独自性枠を分析することは困難です。
これは、一般的に高性能と評価されるSEOツールの多くが、すでに上位表示されている検索結果の「多数派がどんな傾向を示しているか」を調査する機能に特化しているためです。独自性の優れた記事は分析ソースの例が少ないため、MIERUCAの苦手とする分野といえます。
実際、MIERUCAで上位表示サイトの共起語データを抽出しても、独自性枠でランクインしていると思われるサイトの特徴的な表現はノイズとして省かれます。
独自性の優れた記事を書くのはバクチである
旧来形式の記事で上位10件を狙う作業と、独自性の優れた記事で1枠なのか2枠なのか分からない枠を奪い合うのでは、前提条件がまったく異なります。そのため、現在、独自性の優れた記事を書くことはバクチを打つことと同義です。
SEOツールでデータを分析できない以上、ライター自身が己の独自性を信じ、存在するかも分からない枠めがけて記事を書くより方法がありません。
しかし、このバクチ式記事執筆法は、SEO的な考え方とまったく異なるやり方です。SEOとは、ある程度分析したデータや慣例をもとに記事を書く作業です。
対してバクチ式記事執筆法はライターの中にあるアイディアや知識が大きなウェイトを占めるため、むしろバズ記事に近いものがあるといえます。
上位表示のうち独自性枠が何枠あるのかを事前に調査できるツールがあれば、バクチを打つ前に勝率を計算できます。勝率を計算できるようになれば、多くのSEOライターが下位表示に怯えず、自由な発想で記事を書くことができます。
ライターの負担が減る上、検索ユーザーとしても幅広い視点の記事を読むことができてメリットが多いと思うのですが、誰か作ってくれないでしょうか……。
後編では、理想のツール例を掘り下げながら、SEOライターという仕事の実情をご紹介します。