※インタビュー記事は、プレミアムメンバーの方にお送りしている月刊誌に掲載した全文の抜粋です。
(2013年4月Vol.16号掲載)
宝塚に本社がある不動産会社【株式会社ウィル】さんにお伺いし、 インタビューさせていただきました。www.wills.co.jp/
不動産売買の仲介を行う流通事業をはじめ、リフォームの設計や施工管理、自社開発による分譲住宅の供給、物件販売の受託、並びにファイナンシャルプランニングに至るまで、住まいに関わるすべてを事業領域とされています。 不動産を検討されているお客様にとって、一番よいサービスを複合的に新しい付加価値としてワンストップで提供されています。
ウェブ通では、「素晴らしいサイトを作っていて秘密をぜひ伺いたい」、と思う企業さまを探しています。
ウェブ通事務局の谷川がプライベートで物件を探しているときに、「物件検索がすごく分かりやすい」「すべての物件それぞれに、周辺施設の情報や街の人の声があって、他の不動産のサイトにはない情報が得られる」「そしてサイトのデザインが親しみやすくセンスがいい」と感動したのがウィルさんの購入サイトでした。
コンテンツ量が半端なく多くて、しかも今週の新着物件など最新情報も充実している、このサイトを運営しているウェブ担当者は大変だろうな、もしくはCMSとか何かシステムを導入して運営しているのかしら・・・と思ったことがきっかけでした。
ウェブ通事務局内でも興味津々、ウィルさんにご連絡をさせていただき、今回のインタビューの場を設けていただくことになりました。
流通営業グループ WSP(ウェブセールスプロモーション)チーム
チームマネージャー兼次長 室薫 様(男性)
営業推進グループ 営業企画チーム
チームマネージャー兼次長 河越 絵美子様(女性)
にお話をお伺いしました。
いい環境の中で前向きに楽しくイキイキと仕事をされているのが伝わってきて、とても素敵なお二方でした。
-まず、それぞれのチームの役割と成立ちについて教えていただきました。
営業企画チーム: 6名(チームマネージャー:河越氏)
創業時(創業から20年)にチーム発足
物件広告や企業広告など広告全般を手掛ける
Webデザイン
他社不動産会社のホームページ・広告制作(ウィルスタジオwww.will-ws.com/)
WSPチーム: 4名(チームマネージャー:室氏)
5年ほど前に、より多くの反響(問い合わせ)が取れる自社サイトに作り替えることを目的にチーム発足
-営業企画チームとWSPチームでタッグを組んでサイト作成を行っているそうですが、どのような流れで進めているのですか?
室氏
自社サイトの企画については、営業企画チームとWSPチームが一緒に考えることも、それぞれで考えることもあります。そして、デザインについては営業企画チーム、コーディングについては営業企画チームとWSPチームが行います。営業企画チーム内には、デザインの他、コピーライティング、イラストなどそれぞれ得意分野を持った人間がいます。またWSPチームにはSEOやSEM、ライティング、システムに強い人間がいます。また自社サイトのコンテンツの更新については、WSPチームで行っています。
河越氏
室さんのこだわりはとても強いので細かいところで修正が入ることも多いのですが、一緒にやっていてとても楽しくやりがいがあります。
-日々の運用にどのくらいの時間をかけていますか?
室氏
新着物件のコンテンツ作成・更新が日々の運用の中にありますが、おおよそ一日当たり 30件程度新規に物件を公開しています。不動産会社では多い数字ではないのですが、お客様が欲しい、あったら嬉しい情報をコンテンツに入れることを一番に考えて制作をしますのでかなり時間がかかっています。あとは毎日ではないですが、随時リスティング広告とSEO対策です。リスティング広告は、一度外部の会社にお願いをしかけたことがありましたが、こちら側が望むレベルではなかったので、結局自分たちで試行錯誤しながらやっています。
-コンテンツ作成など外注することは考えますか?
室氏
コンテンツの量が多くて大変だからといって絶対に外注に出すことはできません。
自分たちのこだわりや社風がまず理解してもらえないだろうし、ニュアンスや記事のテイストが揃わなくなってくることも考えられるので、今は外注することは考えにくいですね。
-コンテンツの内容やデザインをすべてチェックし、リスティングやSEO対策となると、室さんは忙しくて大変じゃないですか?
室氏
好きなんです。楽しいからやっているんです。
17年ほど現場で営業をやっていました。だから営業をしていたときに蓄積した不動産知識や地域の情報などがあるので、現場から上がってくる情報をすべて修正することができます。
僕、サイトに載せる物件の写真は、自分でも撮りに行きますよ。物件(建物)も大好きなんです。だからこだわってしまうんです。自分でやらないと気がすまない。
河越氏
中古物件だと写真にこだわっている不動産会社が少ないので、室さんが撮った充実した写真って他の不動産会社に勝手に使われてしまったりするんですよ。だからすべての写真に今は署名を入れるようにしました。
-不動産購入ページの検索が充実していますね。莫大なデータ量だと思うのですがどうやって管理していますか?
室氏
バックのデータベース(DB)で FileMaker が動いています。
実はこれの元になるDBは、僕が考えて10年ほど前に社内の人間に作ってもらったのですが・・・。それを元に、FileMakerに強いジュッポー(http://www.juppo.co.jp/)さんに再度、開発してもらっています。社内でも運用、更新などは行いますが、今でもジュッポーさんにはずいぶん助けていただいています。このDBが営業が使う物件検索システム、自社サイトのシステムとして動いています。
また10年ほど自分自身でも FileMakerを活用してきたことで、DBのおおよその構造が分かっています。それがコンテンツの制作にずいぶん役立っています。
-複合検索や細かい条件検索もできますよね?どんなことにこだわっていますか?
室氏
学校区検索やエリア検索など、他社にはない検索方法もありますが、一番こだわっている事は、サイト上で、出来るだけ短い時間で、しっかりお客様が物件を選別できることです。その為に、写真の数をできるだけ増やしたり、コメントに物件の長所だけでなく、短所も入れたり、相場情報も公開しています。また教育施設やスーパーなどの他に、物件の近くにあったら嬉しいスポット情報もこだわっています。たとえば、桜の季節になったら桜のきれいな公園を情報に入れたりします。営業をしていたときにほとんどの拠点で営業をしていたので、「あーあそこの近くにこんな公園があったな」とか思い出しながら情報を追加していくのも楽しいです。
営業側ではなく、とにかく「ユーザ目線であること」にこだわっています。お客様はこんな情報があったらうれしいだろうな、自分だったらこんな不動産のサイトが楽しいな、ということを想像して、サイト作成をしています。
-「反響(問い合わせ)の取れる自社サイト」を作ることが目的、ということですが、数値目標などはあるのですか?
室氏
数値目標はありますし、反響をとるために効率のよいやり方を模索もしますが、あまりそこにだけ、こだわらない様にしています。そのことばかり考えると、他の不動産会社のサイトと同じようになってしまうし、それよりもお客様が「役に立つ!」「おもしろい!」と思うサイトにはならないと思います。
「こんな街があったんだ」「こんな物件があったんだ」というような、お客様に「気づき」を与えることができる、お客様が「見たい情報」をコンテンツとして提供してあげたいと思っています。
その為にも、まず自分自身が見たい情報かどうか、おもしろいと思う情報かどうか、そこを考えています。
河越氏
自社サイトはひとつの店舗、という位置づけで考えています。サイトの満足度を高めることで、問い合わせが増えたり、実店舗への誘致につながっています。何かあったときに、「あ、あのサイト!」と思い出してもらえるような潜在顧客も増やすことができます。
サイトは会社のブランドイメージにもつながってくるのですが、「これまでになかったことをやろう」「他社がやらなかったことをやろう」という社風も後押ししています。
室氏
自社管理サイトのコンテンツのひとつに『マンション大全集(http://www.all-mansion.com/)』というのがあるのですが、今、5,200 棟くらいの物件情報が入っています。これも10程前、データベースを作ったときから、ため続けていたデータで、阪神間、北摂エリアでこれまでに分譲されたマンションがほぼ網羅されています。
このサイトの特徴は、今売りに出ている物件だけから選ぶのではなくて、先で売りに出るかもしれない物件も含めて家探しが出来ることです。不動産を購入するときって、検討を始めてから3か月から6か月以内に購入をする方が多いんです。不動産は高い買い物です。
「それでいいの?」「もっとこだわって探した方がいいんじゃない?」と思うことがあります。営業サイドからは怒られるかもしれませんが。
このサイトを公開することは、社内の大事なデータをたくさん公開することでもあったので、会社に止められるかも?と思っていました。しかし「やりたい」と提案をしたところ、すぐに「やってみたら」となりました。
提案する内容にちゃんと考えがあって、また会社の考えにも合っていれば止められることは基本ないですね。「やりたい事があればどんどんやれ」という社風です。
お客様にとっても自分たちにとっても楽しい不動産サイトにする!
そして、他にはない、絶対に作ることができないサイトを作る!
イキイキと楽しそうに仕事をされている様子を語ってくれたウィルさん。
わたしたちウェブ担当者通信も触発されました。
*続きは、2013年4月Vol.16号冊子に掲載されています。