Vol.2では代表的な4つのWebサイトタイプから「問い合わせ獲得型のBtoB向けプロモーション(コーポレート)サイト」、そして「問い合わせ獲得型のBtoC向けプロモーションサイト」におすすめのディメンションと指標の組み合わせをご紹介しました。
今回でいよいよラスト。Vol.3では残りの2つのWebサイトタイプである「物販などBtoCのECサイト」と「広告収入を得たいメディアサイト」について確認していきます。
物販などBtoCのECサイト
問い合わせ獲得型のWebサイトと比べると、考え方としてシンプルなのが物販などのBtoC向けECサイトです。
物販といっても、ブランドか消費商材か、競合の多さなどで分類がわかれます。
商品が目にとまり、気になった商品の詳細を確認し、買おうか迷ったらお気に入り機能として保存したり、カートに追加したりなどのプロセスや機能は、一般的なECサイトには備わっていると言えます。
何かを探している人、買おうか迷っている人、買いたいものが決まっている人に、どのようにこのプロセスをすすめていただけるかがECサイトの場合にはポイントとなります。
このプロセスを数値化、可視化できる機能として、Googleアナリティクスの拡張eコマースがあげられます。
Google アナリティクスのデモアカウントで実際に見てみましょう。
▼Google アナリティクス デモアカウント – アナリティクス ヘルプ
support.google.com/analytics/answer/6367342?hl=ja
「コンバージョン」→「eコマース」→「ショッピング行動」で期間比較してみます。
期間比較したところサイトへのセッションに大きな変化は発生していないですが、商品表示が発生したセッション以降のステップが減少しています。
ECサイトは商品閲覧されない限り、ユーザーに購入されることはないため何が原因か確認していきましょう。
また、レポート表の下のエクスプローラーはディメンションを切り替えることが可能です。
どの集客施策がサイト内の回遊状況に影響を与えているか確認することで、キャンペーン施策の見直しにもつなげることが可能です。
効果のよかった施策であれば、さらに伸ばすことができないか、効果が悪かった施策であれば原因を特定し改善できるのかを確認していきましょう。
商品リストを細かく定義して計測実装している場合は、下記レポートのように「商品リストの販売状況」で、商品リストごとの表示回数、クリック数とクリック率を確認することが可能です。
商品は閲覧されているけど商品詳細ページまで遷移しない商品や、見られてはいるけどカートに追加されない商品などを探し、要因がページにあるのか、商品そのものが原因なのか、問題を切り分けていきましょう。
一方でパフォーマンスがよい商品はサイト内でさらに露出を増やすことができないか、集客施策で接触機会を増やすことでさらに販売数を伸ばすことができないか検討していきましょう。
まだまだECサイトで見るべきレポートはたくさんありますが、拡張eコマースを導入することで定量的な数値確認の他にも、問題発見を行う分析も行いやすくなります。
計測実装要件は高い分析機能ですが、計測実装することでリターンも大きいのではないでしょうか。
広告収入を得たいメディアサイト
前述の3タイプとは異なるのが広告収入でWebサイトを運営するメディアサイトです。
Webサイト内で明確なお問い合わせや商品の購入がなく、各ページ内に表示する広告から収益を発生させます。
収益発生の仕方はいくつかのパターンがあります。広告の閲覧(表示回数)、広告のクリックや、ページそのものが広告として提供しているなど、メディアサイトによってさまざまな形態があります。
収益発生の形態は異なりますが、最低限共通して必要となるのが、各ページの閲覧です。
広告の閲覧(表示回数)やページそのものが広告の場合、ページが閲覧されることで収益が発生することから、ページがいかに閲覧されるかが必要な計測ポイントです。
それに加え、広告のクリックが収益発生に必要な場合、広告の表示回数が分母、広告のクリック数が分子となり、広告のクリック率が計測ポイントとして加わります。
また、メディアサイトにとって継続的にサイトへ再訪してくれる読者の獲得も重要です。
再訪してくれるユーザーを積み上げつつ、新規ユーザー獲得のためにメディアサイトが運用できているか、数値を定量的に確認していきましょう。
分析の価値を高めるために役立つオススメの設定
異なるサイトタイプにおいても、計測実装の際に設定しておくことで分析しやすくなる機能がアナリティクスツールに備わっている可能性があります。
Webサイトをアナリティクスツールで計測する際は、アナリティクスツール側にどのような機能があって、どのようなケースで活用できるのかを知っておくことで、劇的に分析のパフォーマンスを向上させることも可能です。
Googleアナリティクスであれば下記のような機能が代表的です。
最後にそれぞれの機能を概要としてご紹介します。
イベント
ページビューやトランザクションに加え、+αで計測したい項目がある際に利用します。
実装必須ですが以下のような例があげられます。
- ページ内で要素が表示された時
- ページ内で要素がクリックした時
- ページ内で一定時間経過した時
- ページ内で特定のエリアまでスクロールした時
- ページ内の動画を再生した時
- ページ内の動画を一定時間再生した時
分析したいことによって柔軟な設定が可能なのが魅力的です。
ただし、気をつけておきたいのは、それを計測してどのような改善に結びつけることができるのかという視点です。
計測した数値のアウトプットをイメージして計測実装しましょう。
イベントについて – アナリティクス ヘルプ
support.google.com/analytics/answer/1033068?hl=ja
イベント トラッキング | ウェブ向けアナリティクス(analytics.js) | Google Developers
developers.google.com/analytics/devguides/collection/analyticsjs/events?hl=ja
コンテンツグループ
複数の異なるURLで展開しているページを任意の定義でグルーピングすることができます。
Googleアナリティクスで計測するページビューはユーザーによって閲覧されたページごとにヒットが送信されるため、いわば最小粒度での計測となります。
そのヒットデータがGoogleアナリティクスで確認できるため、1ページごとのデータが表示されるのが基本です。
サイト内のページ数が少ないのであれば問題ないですが、サイト内のページ数が3ケタを超えるとページ単位での集計や分析は厳しくなります。
そのような際に、分析者の意図した定義でページをグルーピングして計測、分析させることが可能です。
コンテンツ グループについて – アナリティクス ヘルプ
support.google.com/analytics/answer/2853423?hl=ja
analytics.js のフィールド レファレンス | ウェブ向けアナリティクス
(analytics.js) | Google Developers
developers.google.com/analytics/devguides/collection/analyticsjs/field-reference?hl=ja#contentGroup
チャネルグループ
チャネルグループでは分析者の意図した定義でチャネルをグルーピングすることが可能です。
例えば、Google AdWordsとGoogleアナリティクスを連携するとGoogle ディスプレイネットワーク広告は、参照元/メディア=google/cpc として計測されます。
一方でYahoo!ディスプレイネットワーク広告は、utmキャンペーンパラメータを付与して計測することが一般的で、参照元/メディア=yahoo/cpcとして計測させることも可能ですが、参照元/メディア=yahoo/displayとして計測されていることが多いように見受けられます。
そうすると参照元/メディアをディメンションに使用した際、GoogleとYahoo!の媒体によってディスプレイ広告の計測定義が異なってしまいます。
そのように計測してしまった際にチャネルグループでは、参照元/メディア以外にキャンペーンも指定して計測定義を設定できるため、異なる媒体のディスプレイ広告を1つのチャネルグループとしてグルーピングして計測させることが可能です。
チャネルグループには集計対象(セグメント、カスタムレポート、APIやBigQueryに使える)のデフォルトチャネルグループと、レポート表示時に計算してレポート表示する(セグメント、カスタムレポート、APIやBigQueryに使えない)カスタムチャネルグループの2パターンのチャネルグループが存在するため使用用途に気をつけて計測実装しましょう。
チャネル グループについて – アナリティクス ヘルプ
support.google.com/analytics/answer/6010097?hl=ja