丸山
このコラムに書くべきかどうかも悩むんですけど…
僕の中では、ウェブ担当者としてある程度仕事ができるようになってきて一歩秀でてくると、その先の道はふたつあると思っています。
ひとつが自分で独立してしまうこと。
もうひとつがグーグル社のような利益率が非常に高くウェブの重要性が非常に高い企業に転職して行くって感じです。
なんだか転職ばっかり斡旋しているようなコラムになってしまって、ウェブ担当者通信の趣旨を考えるとどうなんだっていうのもありますね(笑)。
森野
真面目に働いても報われない業界ってのがまずあかんのですよ。難しいですよね。
でも日々変わらないことをやってる人が給料変わらないのもあたりまえなので…しょうがないですよね。
丸山
そうですね。
今話しながら思ったんですけど、例えばウェブ担当者が会社と一緒に成長してきて、マーケティングの責任者ぐらいになったとするじゃないですか。そうするとやっぱり、会社側からするとその人に辞められるとものすごい損失なんですよね。
とすると、給与交渉はありえますよね、全然。
だって、その人がいなくなっちゃったら、サイトが回んないかもしれないですから。
サイトどころじゃなくて、その企業のマーケティングが回らなくなる。
森野
それはありますね。大損失ですよ。
丸山
なので、その会社の中で必要な存在となっていたら、その会社内部でのキャリアアップという道もウェブ担当者のキャリアパスのもうひとつとしてあるのかなと思います。
森野
そのパスの問題点は、会社にとって必要となってくると同時に本人の能力が会社から離れちゃうときがあるってことなんですよね。
丸山
個人の能力が伸びた結果それが会社と合わなくなる、ということですか?
森野
もうこれ以上能力を発揮する場所が会社の中になくなってくるっていうことですね。
会社の伸びと自分の成長がずれてきてしまう。
丸山
そういうこともありますよね。
だから、ウェブ担当者のキャリアアップとして、「今のところ社内でのパスが見えないから不安だ」という意見ってよく聞きます。
パスが見えないがゆえの悩みとして、「部下に仕事を覚えさせた結果、自分はつぎに何をしたらよいのか分からなくなってしまう」というものがありますね。
たとえば、今まで担当者のときにやっていたウェブのデザインやバナー制作などの業務を部下に引き継いでまかせていくと、目に見えて形になる仕事を部下に奪われた気持ちになってきてしまう。そして、自分が会社にとって役に立っているのかどうか不安に感じてしまう。
これって、現場の仕事を部下に任せるようになった先のキャリアパスが会社として明示されていないからだと思うんですよ。
僕が以前の会社でエンジニアをしていたときは、マネージャーコースというのがありまして、そっちに行くことこそキャリアアップだってはっきり分かるパスが用意されていたんです。ウェブ担当者においてはたぶんそんなパスは確立されてないんですよね。
※追記:現在多くのIT業界の会社ではキャリアパスとして、エンジニアなどのスキル・技術を高め続けるコースも整備されてきている。
森野
そうですね。結局、ウェブ業界で上のキャリアに行った人がいるかって言うとあんまりいない気がします。
昔からずっとウェブ担当者やっていて、年齢は食ってるけどやってることあんまり変わんないじゃんみたいな。役職は上がったけどみたいな…
丸山
そうですね。だからウェブ業界というのはこれから作り上げていく業界とも言えますよね。
ウェブ業界のキャリアパスにおいて、全体的なマーケティングを見ることができる人間は絶対にどこでも必要になって行くので、自分のスキルとしてマーケティングスキルを身につけていくのが軸になりますね。
あと必要なのは、対人交渉能力・コミュニケーション力を身につけることですね。
森野
そうですね。当たり前って言えば当たり前のことですよね。
ビジネスマンとかサラリーマンとかやっていれば当たり前ですよね。ただ、そういう習慣が業界的にないので。
丸山
そういう習慣がないからこそ、そっちに向かえば結構、いろんな企業からしてみたら、「この人にぜひ来て欲しい」、という人材にはなりますよね。逆にそういう人が少ないから。
森野
そう。それは大事ですよね。払いたいと思わせなきゃ駄目ですからね。
丸山
向こうが払いたいと思う人になるっていうことですよね?
森野
そうそうそう。
相手から「この人はすげぇ!大金払ってでもぜったいこの人の力が必要。」と思わせられる人になることがウェブ担当者の最高のキャリアパスなのかもしれないですよ。
→第4回「最高のキャリアパスは払いたいと思わせる人?」につづく