【プレミアム】サイトにおける質の判断と分析の価値(2) FavoriteLoadingあとで読む

: ムラヤマユウスケ
サイト運用で迷い悩んでいる方へ。質の高いコンテンツとは何か?明確な判断基準がないことが迷いを生み、また分析で得られた数値が新たな悩みとなっているかもしれません。(2)ではサイトタイプ別のツールをつかった効果的な分析方法と、分析データの価値を高めるGoogleアナリティクスのオススメの設定について取り上げます。

Webサイトの目的とコンテンツの役割を整理する

Vol.1では、Webサイトの分析が必要な理由と効率化について取り上げました。
分析のすべてが効率化できるわけではなく、定常的・定量的な数値レポートを定型化・ダッシュボード化することによって分析を効率化させることができます。

Vol.2では、サイトタイプ別のツールをつかった効果的な分析方法と、分析データの価値を高めるGoogleアナリティクスのオススメの設定について取り上げます。

どんなWebサイトでも同じディメンションと指標の組み合わせを見ればよいわけではありません。ビジネスモデルが異なれば、見るべきディメンションや指標も異なります。

ここでは代表的な4つのWebサイトタイプに沿って確認していきます。

問い合わせ獲得型のBtoB向けプロモーション(コーポレート)サイト

問い合わせ獲得型のBtoB向けプロモーション(コーポレート)サイトでは、Webサイト内でのお問い合わせだけではビジネスの成果として直接ひも付けることができません。
お問い合わせが発生してはじめてリード(※1)となり、企業内の営業職をはじめとする人的リソースでクロージングにつなげていくタイプのWebサイトです。

商品やサービスに関する資料請求やお問い合わせの他に、メールアドレスなど連絡先を入力させることで、商材や業界に関するデータをダウンロードできるホワイトペーパー(※2)を提供しているWebサイトも珍しくありません。

またBtoBの場合、商材やサービスの提供価格が高かったり継続的に費用が発生したりすることが多く、購入する企業側でも社内稟議などに時間が要することがあるため、Webサイト閲覧からの検討期間が発生する傾向もあります。

このような問い合わせ獲得型のBtoB向けプロモーション(コーポレート)サイトで注力するディメンションや指標は何でしょうか。

前述したホワイトペーパーダウンロードを例に挙げると、資料請求やお問い合わせをコンバージョンとした場合、ホワイトペーパーなどのダウンロード数がマイクロゴールとして日々追うべき数値と言えます。

その他、日々追うべき数値の代表的なものとして、商材やサービスを説明するページのページビュー数があげられます。
商材やサービスの資料請求を行うまでに、それらを説明するページを閲覧しないとは考えづらいためです。

商材やサービスを説明するページが、大体何ページビュー数あると1件の資料請求につながる、といった目安があるとよいでしょう。

また、ページビューといっても1ページビューの質・重みによっても資料請求への確度が異なると考えられます。
商材やサービスを真剣に検討しているユーザーは、Webサイトやページ内の閲覧に時間をかけることや何度も閲覧する可能性があります。

資料請求したユーザーが、資料請求するまでにWebサイトやページで閲覧したページビュー数・閲覧時間や訪問回数なども把握しておくとよいでしょう。

それらのディメンションや指標をGoogleアナリティクスで確認する場合は下記の方法があげられます。

サイト全体から見てもわかりづらいため、商品やサービスについて説明しているページを絞り、どのくらい見られているか確認しましょう。

Google アナリティクスのデモアカウントで実際に見てみましょう。

▼Google アナリティクス デモアカウント – アナリティクス ヘルプ
support.google.com/analytics/answer/6367342?hl=ja

「行動」→「サイトコンテンツ」→「すべてのページ」→「アドバンスフィルタ
で商品ページ(google+redesignが含まれるページ)のみを絞りこみます。

よく見られているけどすぐ帰ってしまっているページがあることが分かります。その要因を探すことでサイト改善のきっかけになります。

また、商品を購入した人と購入していない人ではどのような差があるのでしょうか。
セグメントから確認していきましょう。

画面上部にあるセグメントで「トランザクションの発生したセッション」を追加します。

商品を購入したセッションとすべてのセッションを比較してみます。
すると商品によっては非常に長い時間ページを閲覧していることがわかります。
一方で、商品を購入するにあたりあまり商品ページを確認することが少ない商品も存在します。

それぞれの商品でどのような差があるのか、その商品を購入しようと検討した場合時間を使ってページ内の何を確認しているのかを見ていきます。
また、商品を購入したセッションのみに絞り込み、サイト内でどのようなページを閲覧しているか確認し分析することで、サイト内改善のヒントを得ましょう。

問い合わせ獲得型のBtoC向けプロモーションサイト

問い合わせ獲得型のBtoC向けプロモーションサイトは、Webサイト上で商材やサービスについて理解を深めていただき、比較・検討をへて電話やメールなどのコミュニケーションでお問い合わせに至るタイプのサイトです。

たとえば自動車保険などの保険サービスを扱うサイトでは、お問い合わせ後に書面のやり取りにて本契約となる業務プロセスをとる企業も存在します。
また賃貸や分譲などを扱う不動産サイトでも、Webサイトからのお問い合わせだけでは本契約に至らず、お問い合わせ後にクロージングの業務プロセスが発生します。

問い合わせ獲得型のBtoC向けプロモーションサイトにおいて、まずはじめに扱う商材やサービスの数によって分類します。
扱う商材やサービスがWebサイト内に1つまたは限りなく少ない数が掲載されているか、Webサイト内に複数の商材やサービスが掲載されているのかという視点です。

先程の例であげた不動産業種における分譲販売サイトでは、各販売会社の分譲物件を掲載するポータルサイトではない限り、販売可能な戸数の制約もあることから掲載されている物件は限定され、Webサイト内に掲載できる物件(部屋)は少なくなると言えます。
また、保険サービスを扱うサイトも、保険内容は補償内容の違いや特典の有無が異なるだけというのが中心となり、Webサイト内に掲載されるサービスは限定的となります。

一方で、不動産における賃貸サイトはWebサイト内に複数の物件が掲載されていることが一般的です。

前者のように掲載されている数が少ないWebサイトであれば、1ユーザーあたりのお問い合わせ回数も少なくなり、Webサイト内の内容をよく読み理解してからお問い合わせすることが多い傾向です。
そのようなWebサイトで見るべきディメンションや指標は、前述の問い合わせ獲得型のBtoB向けプロモーション(コーポレート)サイトに近いと考えられます。

後者のように掲載されている数が複数あるWebサイトの場合は、1ユーザーあたりのお問い合わせ回数も複数回発生する可能性が考えられ、ユーザーがWebサイト内を比較・検討するための回遊性も必要です。

回遊性といっても、1ユーザーあたりが単純に多くのページを閲覧すればよいわけではありません。
商材やサービスを選んでいく際に、比較や検討を行うために最低限確認しておく必要がある情報が掲載されているページを閲覧していることが重要です。

賃貸サイトを例に挙げると、

「渋谷区にある賃貸可能な物件一覧ページ」
「新宿区にある賃貸可能な物件一覧」
「世田谷区にある賃貸可能な物件一覧ページ」
をそれぞれ3回ずつ閲覧しているユーザーと、
「渋谷区だけだが賃貸可能な5つの物件詳細ページ」
を閲覧しているユーザーでは、
どちらがお問い合わせする可能性が高いでしょうか?

一概に正解はないですが、賃貸サイトで借りたい部屋のお問い合わせを行う場合、部屋に関するスペックを確認していることが通常です。
詳細な部屋情報を確認することができない物件一覧ページしか閲覧していないユーザーはお問い合わせまでの距離が遠く、各部屋の詳細な部屋情報を複数確認しているユーザーはお問い合わせまであと少しの距離と考えることが可能です。

では、どのように数値を追えばいいでしょうか。
Googleアナリティクスでは下記のように分析することが可能です。

Google アナリティクスのデモアカウントで実際に見てみましょう。

▼Google アナリティクス デモアカウント – アナリティクス ヘルプ
support.google.com/analytics/answer/6367342?hl=ja

仮に物件一覧ページを商品一覧ページ、物件詳細ページを商品詳細ページと想定して、それぞれの階層を先程と同じようにアドバンスフィルタにてデータを抽出します。

商品一覧ページを絞り込むアドバンスフィルタ

一致:「ページ」(正規表現一致)       “^/Google\+Redesign/”
AND
除外: 「ページ」(正規表現一致)     “(\.axd$|quickview)”

商品詳細ページを絞り込むアドバンスフィルタ

一致:「ページ」(正規表現一致)       “\.axd$”

また、どのような変化が起きているかを確認するために期間比較を設定しています。

期間比較を行う際に注意点として、同じ日数で比較することは当然ですが、同じ曜日が含まれるように比較しましょう。
これはお休みなどの要因によって数値変化に影響があるためです。

下記がGoogle アナリティクスのデモアカウントで絞り込んだ商品一覧ページです。

前期間と比較して離脱率が減少しているため、商品一覧ページで探すのをやめてしまった人が減ったのはよい点です。
一方で、商品一覧が見られている絶対数が減少しているのは要因を確認する必要があると言えます。
集客施策などを含めて、何が変化を与えたのか確認していきましょう。

下記は商品詳細ページです。

商品詳細を閲覧してくれた方では、滞在時間、直帰や離脱などの指標に大きな変化が見られません。
商品一覧ページでの閲覧数減少の影響か、商品詳細ページに関しても閲覧数が減少しています。

問い合わせ獲得型のBtoC向けプロモーションサイトでは、商品やサービスの詳細ページが閲覧されない限りはお問い合わせされないため、なぜ閲覧数が減少してしまったのかを確認しましょう。

今回は代表的な4つのWebサイトタイプの中から、「問い合わせ獲得型」の2つのサイトについて解説しました。「物販などBtoCのECサイト」と「広告収入を得たいメディアサイト」については次回詳しくお伝えします。


※1…見込み客。

※2…特定の技術や製品、サービスなどの取扱や市場分析をまとめた文章のこと。

ムラヤマユウスケ
この記事を書いた人: ムラヤマユウスケ

アユダンテ株式会社、元インハウスWeb担当者。
現在はSEOコンサルタントとして活躍中。元は、とある企業でなんでもこなすスーパーWeb担当者。インハウスの経験を活かし、社外から見た求められるインハウス像の講座を受け持つ。2014年2月に「いちばんやさしい新しいSEOの教本 人気講師が教える検索に強いサイトの作り方」(共著)をインプレスジャパンより出版。
Twitter @muraweb_net twitter.com/muraweb_net
ブログ「ムラウェブドットネット」 seo.muraweb.net/blog/