【プレミアム】サイトにおける質の判断と分析の価値(1) FavoriteLoadingあとで読む

: ムラヤマユウスケ
サイト運用で迷い悩んでいる方へ。質の高いコンテンツとは何か?明確な判断基準がないことが迷いを生み、また分析で得られた数値が新たな悩みとなっているかもしれません。(1)では「サイトにおける質の判断と分析の価値」について説明しています。

目次

  ユーザーファーストなサイトを作ろう、質の高いコンテンツを提供しよう、と目にする昨今。ですが、ユーザーファーストなサイトとはどのようなサイトでしょうか。質の高いコンテンツとは、どのようなものでしょうか。

テストのように点数で確認できるのであれば、判断基準としてわかりやすいかもしれません。しかし、現状はそのような判断基準はなく、また判断基準がないことによる迷いも多いのではないでしょうか。

ユーザーファーストなサイトや、質の高いコンテンツを目指すための手段の1つとして、Webサイトの分析があげられます。
しかし、分析によって導き出される数値も、「この数値でいいのか?」と新たな迷いを発生させるもとになりえます。

個人的には、迷うことじたいは悪ではないと思いますが、方向性がわからない迷いと、方向性がわかった上での迷いでは、大きな差があると考えています。

今回の記事が、「方向性を考える、迷いの原因について整理する」キッカケとなれば幸いです。

サイトやコンテンツにおける質

ユーザーファーストなサイト、質の高いコンテンツと冒頭に記載しましたが、それらは何のために必要なのでしょうか。非営利団体を除くのであれば、おそらく多くのWebサイトがビジネスのためです。

現代社会でビジネスを展開し、飛躍させていくためにWebの役割は多岐にわたります。スマートフォンの普及によって、その重要性は日々増していくばかり。

ビジネスを成功させるためにユーザーファーストなサイトをつくり、質の高いコンテンツを提供する。Webを活用し、ビジネス上で見込み顧客を含む顧客を満足させ、そして継続的につながっていくことが理想であり、目指すべきかたちです。

たとえとして、点でリーチ(※1)し、線として満足させ、よりよい関係を築き上げていくことで円が広がっていくとします。その経過をどのようにして測ればいいでしょうか。

経過を測る1つのツールとして、アクセス解析と呼ばれるアナリティクスツールが存在します。
アナリティクスツールは、点として接触した人を線としてつなげるためのヒントや、線としてつながった関係を、円として広げていくための思考を助けてくれるツールです。

アナリティクスツールは魔法の杖ではないですが、仮説の精度を高めるための手段として有用な武器の1つ。
Webという手段が切り捨てることができないビジネスであれば、サイトやコンテンツの質を向上させるために、アナリティクスはなくてはならないものと言えます。

分析の価値と効率化

では、どんなビジネスにとってもアナリティクスは必要でしょうか。

アナリティクスツールで分析するには正確に計測させるための実装コストや、計測したデータを分析するコストなどのリソースが必要です。

アナリティクスツールで分析した結果から、それらのリソースに見合う価値を見いだすことができるビジネス規模であれば、アナリティクスはなくてはならないものと言えます。

しかし、リソースに見合う価値を見いだすことができないようであれば、なんらかのリソース削減を考えなくてはいけません。
それは、アナリティクスを捨てて、ひとまずビジネスの規模を拡大するといった選択肢も考えられますし、正確な計測実装は完成させ、定常的なレポート部分は効率化してリソースを削減するといった方法などが考えられます。

前者については言わずもがな、後者については定量計測の側面から定型化を行うことが一例としてあげられます。
ビジネスのゴールやゴールにつながる要因となる数値を定量的に見るアナリティクスであれば、レポートを定形化、ダッシュボード化することでレポート作成の手間を省くことが可能です。

ビジネスを成功というゴールに導くうえで、一般的にはKPIと呼ばれる、必要な通過点、チェックポイントが存在します。
サイトのタイプによって異なりますが、その通過点、チェックポイントを通過しない限り、ゴールに近づくことができないといったものです。

ECサイトであれば、商品詳細ページの閲覧や、カートへの追加やフォームへの必要項目の入力が行われない限り、商品を購入完了することができません。
そのようなゴールに導く上で必要となる数値を、日次、週次や月次など、計測する期間を決めて計測することで、現在の状況が好調なのか、不調なのかといった状態を把握しやすくなりますし、変化が発生した際に気づきやすくなるような体制を整えることができます。

また分析データを視覚的にわかりやすくダッシュボード化することができる、BIツール(※2)にもさまざまなツールが登場しています。
シェアを誇るTableauをはじめ、Googleが無料で提供を開始したGoogleデータスタジオも登場し、日本でも普及しはじめてきました。

(Googleデータスタジオからダッシュボードの例)

一方で定量的に計測していた数値に外れ値あった場合は、何が要因で発生した外れ値なのかを探すための分析を行わなければなりません。

過去と比較した結果、どのような変化があったのか?特定の要素だけに絞り込んだとき、どのようなデータ結果になるのか?といった部分までは、自動で導くことは不可能ではありません。しかしその結果から洞察し、何をアクションとして行うかの検討や決定までは、効率化しきれないのも事実です。

効率化を行いリソース削減した結果、その他にリソースを配分することができたのであれば素晴らしいですが、アナリティクスには効率化できるものと、効率化できないものがあるということを覚えていかなければなりません。

Googleアナリティクスは無料ながら、期間、レポート形式、絞り込み、並び替えやセグメントなどが容易に可能なため、何か問題を探すときに分析するアナリティクスツールとして優れていると言えます。

一方で定量的に数値を確認する場合、Googleアナリティクス内のマイレポートやカスタムレポートでも対応は可能ですが、前述のTableauやGoogleデータスタジオの方が外部データと連携できるといった側面を含めても優れています。

次回はツールをつかった効果的な分析方法を、サイトのタイプ別にご紹介するとともに、分析データの価値を高める、Googleアナリティクスのオススメの設定についてもお話します。


※1…ユーザーがどれだけ閲覧したかを示す指標。

※2…ビジネスインテリジェンス・ツール。データを収集・分析し、ビジネスの状況や課題を可視化できるツール。

ムラヤマユウスケ
この記事を書いた人: ムラヤマユウスケ

アユダンテ株式会社、元インハウスWeb担当者。
現在はSEOコンサルタントとして活躍中。元は、とある企業でなんでもこなすスーパーWeb担当者。インハウスの経験を活かし、社外から見た求められるインハウス像の講座を受け持つ。2014年2月に「いちばんやさしい新しいSEOの教本 人気講師が教える検索に強いサイトの作り方」(共著)をインプレスジャパンより出版。
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