【プレミアム】市場調査で知る停滞からの脱出法(2) FavoriteLoadingあとで読む

: 事務局
そのマーケット、すでに頭打ちかもしれません。市場調査で企業の未来が見えてくる。なるべくお金をかけずに効果的な市場調査をする方法教えます。(2)では「サイト改善に使える市場調査の方法」について説明します。
市場調査で知る停滞からの脱出法(2)

目次

市場調査の進め方と調べ方(つづき)

消費者の行動を考える

(1)では、ユーザーとなる人口や人口構成、ライフスタイルや興味を調べました。
次に対象となるユーザーがどのような消費行動をとるのか、を調べます。

サイトをどのように閲覧しているのか?広告からなのか?自社サイトへ訪問しているユーザーであれば、Google Analyticsからユーザーの行動が分かります。
もし離脱が多いページがあれば、ヒートマップツールでチェックしてみると課題が見つかるかもしれません。

またどんなキーワードで検索しているのか?も調査します。

キーワード調査やアクセス解析の結果からユーザーの行動を推測するのですが、調査の経験が少ないと推測することが難しく感じるかもしれません。
しかし、推測・仮説・実行を繰り返していくことで勘所がつかめてくると思います。

また、ユーザーへのアンケート調査を行ってユーザーに直接聞くことで、満足度や評価・行動パターンを知る方法もあります。 昔からよく使われている調査手法で、電話や街頭でのインタビュー、グループインタビューなどで消費者の行動やニーズを知る手法です。

インターネットが普及している今では、Twitterなどの書き込みデータを収集・分析するソーシャルメディア分析ツールを使う方法もあります。

ソーシャルメディアでは、消費者がどのようなタイミングでどのような場所で、なぜ欲しい、なぜそうしたいと思ったのか、なぜその行動をとったのか、を把握しましょう。

急激に変化する消費者の購買行動

膨大な情報があふれるデジタル社会では、消費者の行動も急激に変化を続けています。

ネットでモノを買う人が増えるにつれ、「ショールーミング」という消費行動が出てきました。ショールーミングとは、モノを実店舗で実際に見て手にとって確認をして、家に帰って安く買えるオンラインショップで買う、消費者の行動を言います。

見やすく使いやすいスマホサイトが増えてくるとともに次には、先にネットで情報を探してクチコミを読んでから実店舗に行って商品を購入する、「ウェブルーミング」と言われる消費者の行動が出てきました。

ショールーミングとウェブルーミングの違い

テクノロジーの進化にあわせて消費者の行動は変わっていきます。 消費者の行動を一度調査したから大丈夫、ではなく、「時代とともに市場のニーズも消費者の行動も変わる」ことを意識して、気になったときには市場調査をすることをおすすめします。

消費者のニーズを把握する簡単な調査方法

サイトを検索上位に表示させるために、狙っているキーワードで上位表示されている競合サイトがどのようなサイトなのか、競合サイト調査をしますよね? 競合会社の弱みや強み・動向などを調べる、いわゆる競合調査もおそらくされていると思います。

この競合先に「消費者のニーズを把握する」大きなヒントが隠されているんです。

よく似たサービス・商品を提供している競合サイトをチェックしてみましょう。 もしターゲットとしているユーザー像がはっきりしているのであれば、違う業態であっても、そのユーザー像で狙っていそうなサイトを調べてみてください。

大企業の場合、リサーチ会社にマーケティングリサーチを外注していることも多いですし、社内でリサーチャーを育てていたりマーケティング専門の機能会社を作っている企業もあります。 つまり、調査のプロが市場のニーズや消費者の行動などを調査したうえで、サイト制作をしているのです。

  • トップページにどんなコンテンツがどのように並んでいるのか?
  • メニューと配置
  • PCサイトとスマホサイトとの見え方の違い
  • 狙っているキーワードで表示されるコンテンツに何があるのか?
  • 消費者が解決したい悩みは何なのか?
  • キャッチコピー、企画・特集もの
  • 商品購入や問い合わせまでの動線

など、ユーザー目線で競合サイトを見て情報をまとめます。 そこから消費者のニーズや行動を推測し仮説を立てていきます。

サイトリニューアルや新しいサービスページを立ち上げたタイミングは、最新の市場調査のデータをもとに制作していることが多いので、とくに要チェックです。

市場調査をサイト改善に活かす

市場調査とは、市場の規模感や消費者のニーズを掴むこと、とここまで書いてきました。 前の章では市場調査のひとつの方法として、「競合サイトから消費者の行動やニーズを読み解くこと」を挙げました。

市場調査をサイト改善に活かすために、もうひとつ必要なことがあります。 それは自社サイトの課題点を洗い出すことです。

基本のフレームワーク 顧客・競合・自社を知る

市場調査をサイト改善に活かすためには、基本のフレームワーク3Cを押さえておくことが大切です。

  • 顧客(Customer)
  • 競合(Competitor)
  • 自社(Company/Capability)

3C

この3つの現状を調査し、消費者の欲求やニーズ、行動、市場の規模感を掴むことが市場調査です。

市場調査をサイト改善に活かした具体例

服の売り上げが伸び悩んでいる、どうしたらいい?

ECサイト運営をしている方であれば「最近服の売上が伸び悩んでいる」など感じることがあるかもしれません。
そんなとき、サイトに問題があるのか、商品に問題があるのか、と改善ポイントを探ることでしょう。
でも、もしかしたら市場調査をしてみると、日本のアパレルECサイト全体が伸び悩んでいるのかもしれません。

統計局のデータを見てみましょう。
統計局ホームページ/家計消費状況調査年報(平成28年)結果の概況

2人以上の家庭における「衣服・履物」のネットショッピング支出額は、2015年と2016年を比較してみると2.3%減少しています。

アパレル業界は冬の時代とも言われており、倒産や買収、店舗閉鎖などが相次いでいます。
しかしながら、ファッションレンタル、古着人気、メルカリなどを始めとするシェアリングエコノミーなど新しいファッションの形態は伸びています。

経済産業省のデータを見てみます。
平成28年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

34ページの「衣類・服装雑貨等」のEC市場規模を見ると、2015年と2016年を比較すると10.5%の伸び率となっています。

この2つの調査データから、消費者の買い物額は少し減っていますが、アパレルEC全体としては新しい形態が増えたことで市場が大きくなっている、と考えられます。

服の売上が伸び悩んでいるのは、今の商品やサイトのままでは状況は変わらないかもしれません。
新商品を出す、サイトを見直す、というよりも、売れている競合サイトがどのようなことに取り組んでいるのかを調査して、たとえばポイントを導入したり特典などお客さまに分かりやすいメリットが出たりするなど、新しいビジネスモデルを考えてもいいかもしれませんね。

サイトへのアクセス数が頭打ち。もっとアクセス数を増やしたい

住宅購入を検討している人向けのメディアで広告収入を得ているサイト。 最近アクセス数もPV数も伸び悩んでいるので、もっと増やしたいからライターを雇って記事を増やすべきかどうか悩んでいました。

統計局 平成27年国勢調査」によると、世帯数は5340万世帯。
また「統計局 平成25年住宅・土地統計調査」によると、持ち家住宅数は3,217万戸。 およそ2,100万世帯くらいが持ち家ではないと考えられます。

さらに「国土交通省 二人以上の世帯における住宅ストックの現状(年代別)【平成25年時点】」のまとめを見ると、世帯主が40歳未満の世帯の借家は302万戸、40歳から64歳の世帯の借家は370万戸です。

同じく国土交通省の調べによると、マンションや注文住宅などを購入した平均年齢は39歳から46歳ごろ、建て替えは58歳でした。
国土交通省 平成28年度住宅市場動向調査について

これらの数字から、400万弱くらいがリーチすべき上限と考えられます。
一方で、「平成28年度の新設住宅着工戸数(国土交通省)」を見ると、974,137戸。
つまり、100万弱くらいに継続してリーチできればいい、と考えられます。

ここでGoogle アナリティクスの数字を見てみました。
月間PV数は100万くらい、新規ユーザー数が80万くらい、ユーザー属性の年齢は35-44歳が一番多く次いで45-54歳でした。

市場調査をした結果、住宅購入を検討しているタイミングの人口にはほぼリーチできていると考えられます。
したがって、ライターを雇ってむやみに記事を増やすよりも、すでにある記事をリライトすることで読み込んでもらい、直帰率を下げPV数を上げることに重点を置くほうがいいかもしれませんね。

まとめ

市場調査は、新製品や新サービスの企画のときにだけ行うものではありません。 サイト改善にも市場調査は必要なのです。
なぜなら市場調査は消費者の欲求やニーズ、行動、市場の規模感を掴むことが目的だからです。

市場調査はリサーチ会社などに外注して調査のプロに依頼をすることもひとつですが、最近は公的機関やそれ以外のサイトでも無料でデータを公開しています。

いろいろな数字をみて推測することは慣れてくると楽しくなってきます。 ぜひ市場調査をサイト改善に活かしてみてください。

市場調査に役にたつサイトまとめ

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この記事を書いた人: 事務局

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