馬車馬のようにハードに働かないと成功できないのか? FavoriteLoadingあとで読む

: 丸山 耕二
僕自身は成功しないのは嫌ですが、馬車馬のように働き続ける人生はもっと嫌です。ということで、この「馬車馬問題」を考えてみました。すると、馬車馬ハードワークには合計で5つのメリットがあることがわかりました。

ソフトバンクで働いていた人の、馬車馬ハードワーク人生がYahoo!で記事になっていました。

▼元ソフトバンク社畜が語る「2人の鬼上司」孫正義が激高して…
headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190310-00010003-flash-peo

上記を読むと、やはり孫社長の徹底した無茶なスケジュールがわかりますし、ハードワークしている人が成功を掴むのだなと思わされます。

私の周りを見ても、ずっとのんびりして成功したという人は見たことがないです。ベンチャー企業だとなおさらです。

とはいえ、僕自身は成功しないのは嫌ですが、馬車馬のように働き続ける人生はもっと嫌です。

ということで、この「馬車馬問題」を考えてみました。

すると、馬車馬ハードワークには合計で5つのメリットがあることがわかりました。

  • ハードワークしている人の要求に応えることができる
  • 様々な活動を行うのでチャンスを掴む確率があがる
  • 苦労が美談や共感をうみ、PR効果がある
  • 量をこなすのでスキルアップする確率があがる
  • 生産量が増える確率があがる

確かに成功確率があがるのは間違いなさそうな気がします。

この現象を逆にとらえると、孫さんのようにハードワークしている人は成功確率が高いと言わざるを得ない。
そういう人の要求に応えることで、よりチャンスというのも増えるわけですから、やはりハードワークをすれば、成功確率があがると言わざるを得ないでしょう。

とはいえ、インテル経営者であったアンドリュー・グローブは毎日8時に出社して、18時に退社していたそうです。
彼の言葉は含蓄深いです。

「経営者の仕事には終わりがない。やらなくてはならいないこと、やったほうがよいことが常に無限にあって、やりきれる量を常に超えているのである。これこそが秘訣だ。つまり・・・」

(「1440分の使い方 -成功者たちの時間管理15の秘訣」より)

日本のGDPは世界第三位ですが、それは人口が多いから。一人当たりのGDPは25位(2017年)です。つまり日本全体の生産量は多いが、1人1人の生産効率は悪い。

そう考えると、なんとかインテルのアンディ・グローブのような生活を送れないか、と考えてみたくなります。

■定時退社で成功する方法

最初に「生産活動」を定義するところから

もしハードワークをせずに生産性をあげたいならば、それこそ最初に「自分にとっての生産活動」の定義が必要でしょう。

一般的に生産活動とは「求められている成果物を作り上げる活動」を指します。
それは各人ごとに基準も相手も違いますね。

この時点でハードワークを避けるために対処しなければいけないのは下記2つ。

  • ハードワークしている人の要求に応えることができる
  • 様々な活動を行うのでチャンスを掴む確率があがる

まず定時退社では、当然、孫さんのようなハードワークをする人の要求には応えられませんね。最初から矛盾してしまいます。

じゃぁどうすればよいか。

そういう「ハードワークを求められる職場」を選ばない。それしかないでしょう。こればかりはどうしようもない。生きがいと定時退社はイコールではないので、人生の選択の問題ですね。

「チャンスを掴む確率があがる」はどうでしょう?
これもやはり、定時退社ではチャンスを掴む確率は下がるでしょう。

ということでやはり選択の問題ですが、ひょっとしたら仕事以外の課外活動でチャンスがうまれるかも知れません。
またモノ作りなどでは、広さよりも濃い人脈から縁が生まれることもありますので、必ずしもハードワークが生産性とイコールではありません。

やはり生産性を定義した上で何を選択をするか、という問題ですね。

苦労ではなく「別の何か」で共感を得る

次に対処をすべきなのは

  • 苦労がPR効果になる

というものです。

これは別の何かを活用するというか、例えばサイボウズさんのように「幸せな働き方」というテーマで共感を得ることもできます。
むしろハードワークせず、ワークライフバランスを目指す方が、これからの新しい時代にあっているかも知れません。

自分の能力をどう引き上げるか

最後に、やっかいな2つの課題が。

  • 量をこなすのでスキルアップする確率があがる
  • 生産量が増える確率があがる

この問題に対処するには頭を使うしかないですね。

まず、スキルアップについては、学ぶべきスキルを見定めたら、どう勉強するのが効率がよいか?を考えます。そうすれば、単位時間に学べる学習量が増えるので、より少ない時間で目的まで達する可能性があがります。

また生産量についても同様で「自分にとっての生産活動とは何か?」を見定めたら、いかに短時間でその生産量が増やせるか頭を使います。そうすれば、作業が効率化し、より少ない時間で同等以上の成果を出すこともできるかも知れません。

そもそも、直接的なパワーポイント作成などの作業ではなく、家族と旅行にいくことが生産活動に結びつくこともあるはずです。

そういう広い目で捉えれば、定時退社の方が生産性が高く、残業の方が非生産的な活動になる可能性もあります。

ということで、だいたいハードワーク推奨論に対するいくつかの対処は考えられたかと思います。

理屈っぽくなるのは良くないが、ハードワークばかり称賛されるのは古い

前回で、ハードワークせずとも成功する方法について考えてみました。
結論は、頭を使えば、なんとかなりそうというものです。

とはいえ私自身ハードワークをしなかったわけではなく、「若いウチの苦労は買ってでもしろ!」で多大な時間を仕事に投資して学んだ部分は多いです。

新入社員の時は毎日午前様でしたし、プログラムも夢に出てくるまで、倒れるまでやりました。

ですので、先にお伝えしたのは自分に経験がない話ですから、鵜呑みにしてもらってうまくいくか、というと悩ましい。

ただ、いざ自分の歴史を振り返ってみると、もう少しうまくやれた気がするのですよね。
それを若さ故のハードワークだったと、良き思い出に甘えているというか。
周りの意識もそうで、やはり古い人間ほど「ハードワーク礼讃」の気は強いと思います。

古い価値観にとらわれる必要はない

現代のスポーツ選手をみれば、圧倒的に今のトレーニング方法の方が合理的だし、今どき水を飲まずに根性のウサギ跳びなんて提唱していたら笑われてしまうだけです。

経験した方がわかることも多いですが、今の時代にそもそも経験しなくてもいいこともあるでしょう。

結局は、自分のエネルギーを生産活動に振り分けるわけなので、無理なハードワークを続けていたら、どこかで無理がたたります。
そうすると、何を自分の生産活動と定義し、それに対しどのようにエネルギーの絶対値を増やし、どのように充電し、どのように効率的にエネルギーを使うかが最重要です。

ハードワークをすることで筋トレのようにエネルギーの絶対量は増えるかも知れませんが、それもバランスです。

むしろ楽しいことをやっている方がエネルギーが沸くということもあるでしょうし、よく考えるとハードワークしている成功者というのは、本人は楽しんでいるだけかも知れません。

ということで、私の結論としては下記です。

  • 何かをはじめるなら、頭は絶対に使った方がいい
  • 最終的には、生産性の定義と、その人のエネルギーの問題。
  • 人それぞれでエネルギーの湧き方は違うので、自分はどういうタイプか意識した方がいい

もしベンチャー企業などで働いていて「ハードワーク礼讃」の必要性で悩んでいるのだとしたら、それは実は関係ないと信じてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

スポーツ業界のように、今までの常識は、非常識かも知れないのです。

 

丸山 耕二
この記事を書いた人: 丸山 耕二

ウェブ担当者通信の発起人。
株式会社ウェブジョブズ代表。
コンサルティングの他、ウェブ担当者教育などにも力を入れ、株式会社インプレスビジネスメディア社の運営するウェブ担当者フォーラムにて「誰もが受けたい!アクセス解析5 分クリニック」を連載。
著書に無料でできる! 世界一やさしいGoogle Analytics アクセス解析入門(秀和システム)
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