私は3年間ほどWebに関するお仕事をしています。中小企業から大手企業のいろいろなお客さんの案件に携わる中で、学んだことをもとにこの記事を作りました。
皆さんのお仕事のお役に立てば幸いです。
ツールの使い方を学べば、簡単にSEOキーワードが見つけられるわけではない
多くのお客さんやWeb初心者の方が勘違いされていることとして、「ツールの使い方さえ学べば、SEOキーワードが見つかるようになる」と思っていることです。
私自身も、ツールの使い方を学べば、狙い目のキーワードが見つかるようになると思っていました。複雑で高機能なツールを使いこなせば、いかにも高度な仕事をしているような気になれるのも、理由の一つかもしれません。
しかし、どれだけ高性能で複雑なツールの使い方を覚えたとしても、それだけでは適切なSEOキーワードを見つけることはできません。(事実、私がそうでした)
なぜなら、サイトを運営する目的やサイトの今の状態に合わせて適切な調べ方をする必要があるからです。
- サイトからお客さんを増やしたいのか
- まずはアクセスを増やしてサイトの価値を高めたいのか
- 企業のブランディングのために使いたいのか
もしくは
- 大手企業が運営している信頼性のあるサイトなのか
- すでにたくさんの人が訪問してくれているサイトなのか
- 立ち上げたばかりでアクセスがほとんどないサイトなのか
によって、狙っていくキーワードは変わりますし、探し方も違ってくるのです。
自分の目的と現状に合わせたやり方を考えず、ツールの使い方だけ覚えていては成果は一向にあがらないのです(考えてみれば、当たり前のことですね)
これで終わってしまっては記事になりませんので、多くの方が関心があるであろう「中小企業が新規のお客さんを増やしたい」という状況を想定して、SEOキーワードの調べ方をご紹介したいと思います。
弊社のWebコンサルティングで行っている内容を、一部ですがお伝えしますね。
中小企業が新規のお客さんを増やすためのSEOキーワードの調べ方3ステップ
画像:Pixabay
今回はもっともスタンダードなSEOキーワードの調べ方をご紹介します。
大きく分けて次の3ステップで進めていきます。
- 扱っている商材の代表的なキーワードを探す
- 自社で狙っていく複合キーワードを考える(仮説)
- その複合キーワードに狙う価値があるか調査する(検証)
1.扱っている商材の代表的なキーワードを探す
まずは、自社で扱っている商材の代表的なキーワードを探します。
神戸で人材紹介の事業をされているなら「神戸 求人」「神戸 転職」などのキーワードがそれにあたります。
- 人材紹介
「神戸 求人」、「神戸 転職」など
- 飲食店
「神戸 ディナー」、「神戸 イタリアン」など
「これらの代表的なキーワードをサイトで狙っていけばいいじゃないか」
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
確かにこれらのキーワードはたくさんの人が検索していますし、集客にもつながりやすいです。
しかし、弊社ではこれらのキーワードをいきなり狙っていくことはおすすめしていません。
なぜなら「神戸 求人」のような代表的なキーワードを検索すると、indeedや求人ボックス、タウンワークなど誰もが知っているような大手企業のサイトが表示されるからです。
これらの企業はSEO対策にも膨大な予算をかけています。
そのため、後発の中小企業がまともに戦って勝てる土俵ではありません。
中小企業がこれらのキーワードを狙うと、いくら予算と時間をかけてSEO対策を工夫しても全く成果があがらない、という結果になってしまうことが多いです。
実は私も初心者の頃に代表的なキーワードを狙おうとして、尽く失敗した経験があります。
これからSEO対策を行う方には、同じ失敗をして欲しくありません。
では、どうすればいいのかというと、次にやっていただきたいのが「2.複合キーワード・ニッチキーワードを考える(仮説)」のステップです。
2.自社で狙っていく複合キーワードを考える(仮説)
扱っている商材の代表的なキーワードが見つかったら、次は自社で狙っていく複合キーワードを考えます。
複合キーワードとは「神戸 アルバイト 求人」「神戸 経理 求人」など、代表的なキーワードである「神戸 求人」をさらに掘り下げたキーワードです。
- 代表的なキーワード:「神戸 求人」
複合キーワード:「神戸 アルバイト 求人」「神戸 中央区 求人」「神戸 経理 求人」「神戸 ホワイト企業 求人」「神戸 50代 未経験 求人」など
- 代表的なキーワード:「神戸 ディナー」
複合キーワード:「神戸 ディナー 中華」「神戸 ディナー デート」「神戸 三宮駅 ディナー」「神戸 ディナー 安い」「神戸 ディナー イタリアン ミシュラン」など
神戸市の人材会社を想定して考えてみましょう。
地元企業とのつながりをうまく活用し、アルバイトの求人を集中的にサイトに掲載していくことで「神戸市のアルバイト求人に関しては、大手企業よりも質が良いものがたくさん掲載されている」という状況を作ることができるかもしれません。複合キーワードをうまく狙えば、中小企業が大手企業に勝てる可能性が出てきます。
そうすれば、「神戸 アルバイト 求人」のキーワードで検索上位を獲得し、多くの集客につなげることも可能となります。
「「神戸 アルバイト 求人」でも大手のサイトに勝てそうにない」
という場合は、「神戸 飲食店 アルバイト 求人」「神戸 高時給 短期 アルバイト 求人」など、勝てそうなところまでキーワードを掘り下げていきます。
複合キーワードを探す上では、「ラッコキーワード」という調査ツールも活躍します。(無料で使えます)
キーワードを入れると、関連する複合キーワードが一覧で表示されます。
「自分で0から複合キーワードを探すのは大変」と感じられている方は活用してみてください。
3.その複合キーワードに狙う価値があるか調査する(検証)
いくつか複合キーワードを見つけたら、実際にそのキーワードに狙う価値があるか調査をします。
サイトで本格的に対策を始める前に、そのキーワードの勝算が高いかどうか調査をしておくことで、思わぬ失敗を防ぐことが可能です。
代表的な調査のやり方は次の2つになります。
- キーワードの検索ボリュームを調べ、どれだけのニーズがあるか確かめる
- 実際にそのキーワードで検索をしてみて、自社サイトで勝てそうか見極める
1.キーワードの検索ボリュームを調べ、どれだけのニーズがあるか確かめる
まずは見つけた複合キーワードが、本当に検索されているのかどうかを調査します。
今回は無料で使え、メールアドレスの登録も必要ないaramakijyakeというツールを使って検索ボリュームを調べてみましょう。
aramakijyakeでは、調査したいキーワードを入力欄に入れることで、月間どれだけ検索されているか知ることができます。
実際に「神戸 アルバイト 求人」を入れてみると、Yahoo!では月間推定検索数が18、Googleでは72と表示されました。
このキーワードでちゃんと検索されていることがわかります。月間推定検索数はYahoo!で18、Googleで72と出ていますが、実際にはもっと検索されているケースがほとんどです。上位表示を取ればの見込み顧客からのアクセスがそれなりに期待できるので、対策するだけの価値はありそうですね。
月間推定検索数が多ければ多いほど、上位表示をした時のアクセスは多くなりますが、多すぎるキーワードは大手企業も狙ってくるので上位表示が難しいです。多すぎず少なすぎず、自社サイトの力に合わせた絶妙のキーワードを選ぶことが重要になります。
また、キーワードツールでわかる検索数は推定のもので、100%正確なものではありません。時期によっても検索数が変わったりするのでツール出ててくる数字はあくまで参考程度に留めておくのがよいです。
しっかりSEO対策を進めていけば、対策しているキーワード以外のキーワードでも上位表示をとれ、アクセスが増えていくこともあります。
検索数が0の場合は、そもそもキーワードが検索されていない可能性が高いですので、「2.自社で狙っていく複合キーワードを考える(仮説)」に戻って、別の複合キーワードを探していきます。
また、キーワードツールは種類がたくさんあるので、ご自身に合ったものをご活用ください。本格的に調査をしたいという場合は、有料のしっかりしたものを活用するのがおすすめです。
代表的なキーワード調査ツールを一部ご紹介しますので、参考にしていただければと思います。
【補足】有料ツールUbersuggestの紹介
弊社で使っている有料ツールのUbersuggestを少しだけご紹介します。便利なツールで、無料体験もできるので興味がある方はぜひご活用ください。
検索窓にキーワードを入れると、関連キーワードとその検索ボリュームが一覧で表示されます。先ほど紹介したラッコキーワードとaramakijyakeの両方の機能を兼ね備えているのです。
さらに注目していただきたいのが一番右の「SEO難易度」という項目。
これを見ると、そのキーワードでどれくらい検索上位が取りやすいか、という難易度がわかります。(ただし、必ずしも正確なものではないので、最終的には自分で検索して確かめる必要あり。)
Ubersuggestで検索ボリュームが多く、かつSEO難易度が小さいキーワードを探していけばアクセスを集めやすいキーワードを探すことができます。
2.実際にそのキーワードで検索をしてみて、自社サイトで勝てそうか見極める
検索ボリュームを調べるのと合わせて、実際にそのキーワードで検索してみることも大切です。
どんなサイトや記事が検索上位に来ているのかを調べます。
「神戸 アルバイト 求人」で試しに検索してみます。
タウンワークやindeed、バイトルなど大手サイトが表示されますね。
インディードは神戸市のアルバイトだけで求人を17,421件も掲載しているようです。
Googleは基本的には、より検索するユーザーに求められるサイトを上位表示させる仕組みになっています。
「神戸市 アルバイト 求人」で検索している人は当然、神戸市のアルバイト求人を探しているので、たくさん求人を掲載しているサイトが上位表示されやすくなります。
他のサイトの掲載求人数を見ても、このキーワードで熾烈な競争が起きていることがわかります。
神戸のアルバイト求人を他のサイトに負けないくらい掲載するか、よほど魅力的な求人情報を集めていかないと、上位表示するのは難しいでしょう。
画像:Pixabay
「自社のサイトで上位表示されているサイトに勝つのは難しい」
と感じたら、「2.自社で狙っていく複合キーワードを考える(仮説)」に戻って、再び別の複合キーワードを探していきます。このように、
- 複合キーワードを探し
- 検索ボリュームを調査し
- 実際に検索してみて勝てそうか判断する
のステップを繰り返して、自社サイトで狙うキーワードを探していくのです。
このように、SEOキーワードを探していくのは決して楽な作業ではありません。
お客さんが検索するであろうキーワード、検索している意図を考えたり、競合サイトを分析したりと時間も手間もかかります。
しかし、しっかりと時間をかけて訓練すれば誰でもできるようになる作業でもあります。大変な作業である分、多くの中小企業はちゃんと行っていないことが多いので、うまくやればライバル企業と差をつけることもできるかもしれません。
1日30分の調査を1ヶ月も継続すれば、1つは狙い目のキーワードを見つけ出すことができると思います。キーワード調査を通じて、より深くお客さんのニーズや競合の取り組みを知ることもできるはずです。
この記事が、皆さんのビジネスに少しでも貢献できれば幸いです。