さて、前後編で掲載予定だった本記事ですが、3回目に入ってしまったので、特別編もしくは号外とでも名付けましょうかね。
前編の最後で「ある番組に出演し話題になった“あの人”に記事を書いてもらえた秘密を、メンバー限定で教えます!」とドヤ顔で告知しておきながら、後編でまさかの未掲載というオチ。楽しみにしてくださっていた方、申し訳ないです……。
え?いない?そうですか…。
だったら気楽にやってきましょう(現実逃避)。
はい!ということで、テーマはもちろん「あるテレビ番組に出演し話題になった“あの人”に記事を書いてもらえた秘密」です。
ちなみにある番組とは、フジテレビで放送中のセブンルール。
みなさんご存知の通り、毎回イキイキと働く女性の素顔を映し出している素晴らしい番組です。
番組でも触れられていましたが、あの人”は普段、文章をお書きにならない方なんです。
というのも“あの人”は「書く」のではなく、「直す」ことが本業の校閲者なんです。
それなのに記事を書いていただけた。自分でお願いしておいてなんですが、できたてホヤホヤの弱小メディアなのに一体なぜ?と頼んだ当の本人も疑問でした。
そこでどうして記事を書いてもらえたのか。どんな秘密があったのか。そもそもどうやって探し出したのか。これはもしかしたら皆さんのお約に立つコツが何かあるかもしれないと思い、当時のことを振り返って記事化することにしました。少しでもお役に立てば嬉しいです。
なんて仰々しく言っていますが、書いてもらうためにやったことなんて、紐解いていけば普通のことばかりなんですけどね。
さて特別編ということでスペシャルゲスト!
せっかく物語がはじまったと思ったら、序章掲載から出番が無いので顔見せしてこいってウェブ仏に脅された、うぇぶたんで~す。
【うぇぶたん プロフィール】
不定期連載「勇者うぇぶたん」の主人公。
いつもどこがボケーッとーとしているトアル村の若者。
村長のむちゃブリによってウェブンへと旅立つことになった。
トアル村から出たことがなくウェブンのことはあまり知らない。食べ歩きが趣味。
序章でお目見えして以来、出番が無いので急遽インタビュアーとして登場。
うぇぶたん:こんちは。
編集T:はい、こんにちは。今日はよろしくお願いします。
うぇぶたん:よろしくです。いきなりディスられるとかビックリだよ。
編集T:あはは…、初の試みってことで多めに見てください。
うぇぶたん:わかったよぅ。今日は僕が質問するんで的確かつスピーディーに返答よろしくです。
編集T:いきなりだなあ…。まぁはい、では進めていきましょうかね。
きっかけは校閲者を描いたあのドラマ!
うぇぶたん:そもそも“ある人”って誰ですか??
編集T:あ、そうですね。じゃあ、まず“ある人”について少しですがご説明します。
いつまでも“ある人”のままではやりづらいもんね。“ある人”の招待はこの方。
2018年6月19日放送のセブンルールで取り上げられて話題になった、校閲者の牟田 都子(むた・さとこ)さんです。
牟田 都子(むた・さとこ)氏プロフィール
1977年、東京都生まれ。
総合出版社の校閲部に勤務するかたわら「栞社校正室」を立ち上げ、文芸書の校正から「校正ナイト」などのイベント主催まで手がける。
ひとり校正社としても活動中。note.mu/shiori_sha/
うぇぶたん:一時期に流行った校閲ガールってやつですか?
編集T:そうそう。リアル校閲ガールとも呼ばれ、セブンルール放送後には、まとめサイトが作られるほどの反響があったんです。
実際、あるライター教育メディアの企画に悩んでいたことがあったんですが、そんな時にドラマ校閲ガールを見ていて「ライターになるなら校閲・校正のことを知っておいて損はない」と思いたち、すぐにネットで調べはじめました。
自身がまだライターや編集者として新人の頃、校正・校閲で原稿が真っ赤になるほどダメ出しをされて、精神的にはきつかったけどめちゃめちゃ勉強になりました。それを思い出したんですよね。
当時その教育メディアの立ち上げから企画、編集、執筆まで全部ひとりでやっていて、アイデアも出てこなくなっていた時期でした。だから、何かにすがりたかったのかもしれません。
まあいま思えば初心に帰ってみろと本能が訴えていたのかも?
ネット廃人になり連日の鬼リサーチ
うぇぶたん:じゃあ自分の経験から生まれた企画だったんだ。
編集T:はい。とはいえ、はじめは誰に書いてもらえばイマイチわからりませんでした。だから廃人のようにず~っとPCにかじりついて調べていました。
で、調べていくうちにある記事に辿りついたんです。ちなみにそのときに発見したがこちらの記事。
よい校正ってなんだろう? 校正ナイト(@6次元)レポート
「生まれ変わっても、泣きながら校正者をやっているかも。」
うぇぶたん:校閲のイベントとかあるんだね!
編集T:本来裏方でなかなか表に出ない人たちのことが知れて、面白いイベントでしょう?
この記事を読んでいて「この人に書いてほしい!」と直感的に思ったんです。
さらに牟田さんのブログも読んで「校正・校閲のことを書いてもらうならこの人しかいない!」と、気持はヒートアップ!すぐにアプローチを開始しました。連絡先メールアドレスがあったのでそこに送ったような気がします。
うぇぶたん:よく連絡取ろうと思ったよね。だって記事を書かない人なんだよね?
編集T:その時はただただ熱意を伝えねばと必死でした(笑)。
玉砕して屍になった編集者T。しかしそこから逆転劇が!
うぇぶたん:アプローチしてからはすんなり進んだの?
編集T:だったら良かったんですが、最初は断られてしまったんですよ。
メールを送ってから5日くらいたって返事がきたんです。
「熱意は感じるし、書き手に校閲者の観点を伝えることで活用できる部分はあると感じています。また現状かなりの案件を受けているので時間を確保できそうもない。迷っていたので返事が遅くなってしまい申し訳ありません。」といった内容だったかな?
どのくらいしたらお仕事に余裕出ますか?と聞いたら3,4か月はかかると…。
うぇぶたん:もうそれ積んでますね。バッドエンドじゃん。
編集T:いやほんと、諦めようかと思いました。でもどうしても牟田さんに書いてほしいともう一度連絡を入れたんです。3か月後でも良いので書いてほしい。なぜライター教育に校正・校閲のことを学ぶ必要があるのか、なぜ牟田さんなのかと、ダメ元で書いて送りましけど、半分はあきらめていました。
ところが翌日、牟田さんからお返事がいただけたんです。いまは仕事で手一杯ですが○日なら時間が取れるので、遠方なので直接お会いするのは難しいですが一度お電話でご相談させていただけませんかと。
うぇぶたん:おー!チャンスじゃん!
編集T:そうなんです。このチャンスは逃せないとすぐに予定を決め、当日を待ちました。どう交渉しようかそればかり考えていましたね。
でも結果としてはその電話をかける前に“依頼を受ける”という答えは出ていたそうです。電話は、相手のこの企画にかける温度感や構成を考える上での参考にしたかったそう。声を聞いてもなんだかホッとしたと言われたんですが、それはこちらも同じですよと笑い合いました(笑)。
予定を文字数の3倍以上!!想像以上に熱い魂を持った人だった
うぇぶたん:いい雰囲気でスタートしたんだね、でも実際に原稿が納品されるまでは不安だったでしょ?
編集T:そりゃあそうですよ。掲載までは4か月近く待つことになりますから。でもいざ企画が始まってみると、定期的に連絡をくださり、思っている以上に細かな打ち合わせができました。
構成をいただいた時点で結構なボリュームになりそうだったので、時間や仕事量は大丈夫かと訪ねたんです。ですが牟田さんからは「時間的にはなかなか厳しい。でもちゃんと校閲のことを伝えるには書ききらないと伝わらない。だから書かせてほしい」と強い要望を受けました。
最終的に上がってきた原稿は、当初の予定を遥かに超えた文章量でした。予定文字数の3倍は軽く超えていたはずです。
うぇぶたん:ひえー。プロ根性というか校閲者根性というか、スゴイ。
魔法なんてものはないが、術はある
うぇぶたん:しっかしいくら聞いても秘訣が出てこないね。なにこれ詐欺なの?
編集T:失礼な…。でもたしかに分かりやすい秘訣はないんです。誠意と熱意はもちろん、お願いしたタイミングも良かった。校閲者にフォーカスを当てたドラマもやっていて、牟田さんからすれば、校閲者の仕事をもっと知ってもらえるいい機会だと感じてくださっていたので、それもメリットになったんです。
うぇぶたん:相手にとっても都合が良い仕事だったってこと?
編集T:まあ欲を言うと早く原稿がほしかったですけど、そこは泣いて自分で変わりの記事を用意しました。「あの校閲ガールで話題の~…」とメルマガで何度も書いたかいもあって記事の評判も上々でした(笑)。
うぇぶたん:タイミングって重要なんだね。
編集T:タイミングは本当に重要だと思いますよ。テレビ番組なんかはもちろん、本なんかで話題になった時はチャンスです。「世間はいまあなたとのことを知りたがっている」と、口説けますから。個人的にはハゲタカで話題の外資系透視ファンドに勤める人にお話を聞いてみたいです。
うぇぶたん:へー。なるほどね。ところでさ。
編集T:はい?
うぇぶたん:なんでずっと、編集Tなの?実名でこの記事出してるのに。
編集T:えっと…タイミングを逃したもので…。
まとめ
- 自分だけでなく相手にとってのメリットを提示できていた(校正・校閲の技術や観点の大切さを知ることの意義を広めたい)
- 企画趣旨に共感してもらえていた(ライターは一度、校閲視点で文章を見ることが必要)
- タイミングが良かった(校閲ガールで校閲者について世間で認知度が上がっていた)
- 経験からくる説得力があった(校正・校閲作業を経験したライターとしての意見)
- 相手とってベストのスケジュールを組めた(こちらとしてはすぐに原稿がほしかったが、相手の立場を優先した)