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この連載ではWordPressの発注やディレクションをしなければいけない立場になった時に、気を付けておきたいことをまとめます。
今回は連載の二回目。知っておきたいSEO内部施策の基礎知識です。
目次
SEOの内部施策の知識が必要な理由
SEOの内部施策とは、SEOを意識したサイト内部の改善施策のことをいいます。
これに対して他のサイトから被リンクをもらうなど外部に対するアプローチを外部施策といいます。
SEO内部施策の知識は、サイト構築時に忘れてはいけない要所であり、プログラマーや制作者に伝え漏れをなくすためにも必要です。
もし知識がなければコーディングルールを作ることもできませんし、そもそも伝え漏れしているかどうかもチェックのしようがありません。
この章では、特にWordPressのディレクション時に最低限必要となる内部施策の知識をお伝えします。また、最後にはWordPressのSEO関連おすすめプラグインをご紹介します。
まず知っておきたいよくある間違い
1ページ1キーワードの原則を破っている
SEOでは、「最新のSEO対策とは?」でも触れているように、ユーザーが知りたい内容について、詳しい内容を書くことになります。従って、ページの内容は、1つのトピック(1キーワード)について1つの説明となります。
例えば学資保険について説明するページがあるとします。
ユーザーは学資保険について知りたくてページを読んでいるのに、いきなり生命保険、続いて損害保険についての説明がはじまった場合、混乱してしまいますよね?
つまり、わかりやすい内容を作るなら1ページの中で扱えるトピックは原則1つだけ、ということです。
この原則を知らないと、1つのページでたくさんのトピックを扱ったり、たくさんのキーワードを盛り込んでしまいます。このようなテクニック先行のサイトはもう上位表示されません。
情報が整理されていない
例えばSEOを意識しているのに「ブログ」というカテゴリの中にすべての記事を投入しているサイトあがあったとします。整理されていないブログは過去記事が探しづらく、イライラした記憶がある人も多いのではないでしょうか?
日記ブログであれば問題はありませんが、SEOを意識した記事なのであれば、Googleが推奨しているように情報を探しやすくしなくてはなりません。
適切にカテゴライズして記事を整理する必要があります。
整理されているサイトのサイドメニューは、おそらく下記のようになっています。
- WordPress基本的な構築方法(10)
- WordPressのおすすめプラグイン(3)
- WordPress運用後のチェックポイント(2)
サイドメニューの見出しを読んだだけで、ユーザーが悩みに対してどれを選べばいいか分かるのが理想です。
キーワード比率を意識しすぎている
H1タグやH2タグや本文中にキーワードが入ることは今でも重要です。しかし、その理由を理解している人は少ないかもしれません。
Googleはページを機械的に解析しており、何について書かれた記事なのか理解する手助けの一つとしてH1やH2タグを重要視します。
H1やH2は見出しであり、通常、見出しというのは文章構成をサマリーしたものです。適切に構成された文章であれば、見出しを読むだけである程度内容を知ることができます。
昔流行った、キーワードを詰め込むSEO対策をしても、意味がありません。
Googleは、見出しタグを内容理解の参考にはしますが、ユーザーにとって不自然な見出しであれば、逆に検索結果から排除します。あくまで自然な形で見出しが使用されている時にのみ、Googleに正しく内容が伝わるのです。
従って、やるべきことは、ユーザーの検索ニーズに詳しく回答する文章を論理的に書くことだけです。そうすれば、自然な形で見出しに検索キーワードが複数回登場するはずです。
キーワード比率では順位が決まっていないことを理解しましょう。
スマートフォンを軽視している
昔からサイトを制作していると、ついついPCサイトを中心に考えてしまいます。
しかし現在は、PCよりもスマートフォンを使う時間の方が長い人がほとんど。ひょっとするとあなたもそうではないでしょうか?
その結果、多くのサイトではスマートフォンのアクセス数がPCを上回り、Googleもスマートフォンサイトを重視しています。また表示速度が速いことも重要になってきています。
制作時にはスマートフォン用サイトを先に作るくらいの心構えで、スマートフォンも重視するようにしましょう。
SEO内部施策の必須知識
よくある間違いで前提知識をおさえましたが、ではどのようにWordPressに応用したら良いでしょうか?
WordPressの設定・制作の中にはSEOに関連する項目がいくつかありますが、その中でも特に大切な5つの項目をお伝えします。
なお下記5つが「なぜ必要か?」というと、前述の内部施策の知識が理由になりますので、ともにおさえておきましょう。
1.サイト名称
サイト名称はWordPressの設定画面で入力します。
サイト名称は、WordPressで構築された場合、あらゆるタイトルに入りますので、一番狙っているキーワードが入っているのが理想的です。
なぜなら、Googleにサイト全体のテーマを伝えることができるからです。
ただし欲張るのはやめて、基本的には1トピック(もしくは1テーマ)に絞ります。
例えば神戸のリフォーム専門会社「おうちドクター」という名前にします。
「神戸 リフォーム」というキーワードを狙ったサイト名称です。
制作時は仮決めだとしても、オープン時には適切な名前に変更し、制作者に伝える必要があります。
2.正しいHTML
正しいHTMLで記載しないと、内容がGoogleに正しく伝わりません。
情報伝達に特に大切なタグと、間違いやすい項目について記載します。
- meta description そのページを説明する文章をキーワード込みで50~150文字くらいで記載する。
- meta keywords そのページで狙うキーワードを入れる(1つ、もしくは数個)。キーワードは「,(カンマ)」で区切る。
- title そのページで狙うキーワードとサイト名称を入れる。
- h1 そのページで狙う。
- h2 そのページの小見出し。時々狙いたいキーワードが入ることになる。
- h3 論理的に必要であれば使っても良いが、無理に使わない。
- img altやtitle属性を使って画像の説明を適切に記載する。
- a リンクする場合は、その飛び先のキーワードを適切に記載する。
- ul li メニューなどリストに使う。
- alt属性 画像の説明文を入れる
例)文章の論理構造がしっかりしていることが大切
<meta name="description" content="30代男性にとって一番バランスが良いおすすめの保険はどれ?「保険トータルナビ」では家族を確実に守りつつ、タイプ別におすすめの保険を複数比較しています">
<meta name="keywords" content="30代男性,保険,おすすめ">
<title>30代男性におすすめの生命保険 -生命保険の比較サイト「保険トータルナビ」</title>
<h1>30代男性におすすめの生命保険について</h1>
<h2>30代男性に起こりがちなリスク</h2>
<img src="/risk.jpg" alt="30代男性のリスク一覧イメージ">
<h2>家庭を守るためにはどうすれば良いか?</h2>
<h2>男性の仕事タイプ別、おすすめの保険</h2>
<a href="/sumishinhoken.html">住信生命「男の保険」</a>
<a href="/soudan">保険を相談したい人はこちら</a>
サイドメニュー名の見出しにh2が使用されているソースコードを見たことがあるかもしれません。
ちょっと考えてほしいのですが、それは正しいHTMLと呼べるでしょうか?
もちろん違いますよね。サイドメニューが小見出しですと、サイト内の全ページで同じ小見出しが表示されていることになります。これは、Microsoft Wordで書いた数十ページの論文の小見出しが全部一緒のようなもの。Googleもページの内容を正しく理解できなくなるので、ページ固有の小見出し(h2)をつけましょう。
画像のalt属性がすべて空だったり、“画像1”のような内容を伝えていないサイトも多いですが、これも間違いです。Googleは基本的に画像の中身をalt属性で判断しますので、しっかりalt属性は入れてください。
タグを適切に使うよう制作者にコーディングルールなどで指示を出しましょう。
とはいえ、コーディングルールを自分で考えるのが大変なので、テンプレートを用意しました。
ダウンロードしてご活用ください。
【SEOCodingGuide.pdf】
3.適切なURL(ディレクトリ構造)
冒頭でお伝えした、情報を整理することに関連しています。
情報が整理されていないサイトで、自分がどこにいるか分からなくなったことはありませんか?そういうサイトでは、たいていパンくずナビがなかったり、URLが「?p=158」など意味のない名前がついていたりします。
ユーザーが迷子にならないように、パンくずナビやURL名でユーザーの場所を表し、ユーザーを助けてあげましょう。
例えば下記のように情報を整理したとします。
- WordPress基本的な構築方法(10)
- WordPressのおすすめプラグイン(3)
- WordPress運用後のチェックポイント(2)
この場合、3つのディレクトリ名(URL)を計画します。
ディレクトリ名(URL)は何でも構いませんが、ユーザーにとって分かりやすい方が良いでしょう。
/basicknowhow
/plugins
/aftercheck
このようなディレクトリ名を計画することで、ユーザーにとってもGoogleにとっても分かりやすいサイトになります。
ディレクトリ階層はあまり深くせず、2~3階層程度でとどめるようにした方が良いです。
パソコンのフォルダなどでも、細かいルールを決めすぎ、階層が多いと探せないことがあります。
Googleも階層が深いところにあるページほど重要ではないと判断する傾向がありますし、ユーザーのためにもなるべく階層は浅くしておきましょう。
計画が終わったら、プログラマや制作者に伝え、適切にコーディングしてもらいましょう。
4.スマートフォン対応
Googleは今後ますますスマートフォンについて重要視することを明言しています。これをMobile-first Indexing(MFIと略される)といいます。MFIが本格化するのはまだ先だと考えられていますが、WordPressでサイトを構築する際には、スマートフォン対応についても忘れずに検討しましょう。
Googleが提供しているツールで対応具合をチェックしましょう
▼モバイルフレンドリー テストツール
search.google.com/test/mobile-friendly
5.表示速度
WordPressを計画なしに構築してしまうと、プラグインがたくさん導入され、サイト表示が遅くなることがあります。表示が遅いサイトはGoogleが順位を下げることがあります。
あらかじめ下記の速度計測ツールを伝えるなどして、3秒以内に表示が完了するように構築してもらいましょう。
Googleが提供しているツールで対応具合をチェックしましょう
▼Google PageSpeed Insights
developers.google.com/speed/pagespeed/insights/?hl=ja
▼TestMySite
testmysite.withgoogle.com/intl/ja-jp
WordPressのおすすめSEOプラグイン
前提知識とディレクションで伝える5つの項目をおさえたら、発注側としての役割はほぼ終わりですが、WordPressに導入するプラグインなどの管理もディレクターの仕事です。
よく話題になるWordPressのSEO関連のプラグインと考え方についても触れておきます。
WordPressではSEOプラグインがいくつか登場しています。
中でも「All In One SEOパック」や「Yoast SEO」などが有名です。
どちらが優れているのか?その前に、そもそもSEOプラグインの主な役割を理解しましょう。
SEOプラグインの主な役割
- 基本機能
- ツールごとに違う機能
- ページタイトルの文字数チェック
- Google検索結果に表示された場合の予測プレビュー機能
- sitemap.xmlの生成
- SNS連携機能
- OGPタグの吐き出し
基本機能はかわらない
そもそも、なぜSEOプラグインが存在するのでしょうか?
それは「細かなSEO対応をするため」です。
WordPressを使うと、mata descriptionタグなどは機械的に生成してくれますが、全ページで自動的に似たような言葉が入ってしまうので、ページ別に細かいコントロールができません。
ページごとに細かく設定したければプラグインを使うのが簡単で、そのために開発されているのがSEOプラグインといえるでしょう。
最近はSNS連携なども増え、コーディングでやらなければいけないことが増えています。そのめんどくささを省く役割もあります。
YoastSEOがおすすめ
Yoast SEOの方が管理画面が使いやすく、適宜更新もされていて、プロが使っている割合が多いのでおすすめです。
しかし、All In One SEOパックも同様に良いプラグインですし、今別のプラグインを使っている人は変更する必要まではありません。
大切なことは、プラグインを導入する目的は各ページのmetaタグを最適化すること、SNS連携の部分が簡略化できることです。
逆に言えば、各ページのmetaタグを最適化していないのであれば、プラグイン導入の必要はないのですが、一応今後の拡張も考えて、更新されているメジャーなプラグインを導入しておこう、というスタンスで良いと思います。
プラグイン導入時の注意点
SEOプラグインに限った話ではありませんが、プラグインを導入した場合は、WordPressのテンプレートであまりトリッキーなことをしてはいけません。標準のヘッダーとフッターを必ず読み込ませましょう。
このことについては、第三章で詳しく触れます。
最新のおすすめプラグインはこちら
→Web運用本の著者にも聞いた!WordPressサイトで絶対導入すべきおすすめプラグイン3選と注意するポイント【2021年版】
その他WordPressのSEO関連でよくある質問
Q.キーワード比率はどれくらいがいいですか?
まず知っておきたい良くある勘違いでも触れましたが、キーワード比率が重要なのではなく、内容を論理的に構成することが大切です。
WordPressだけではなく、一般的なSEOの話です。
Q.文章の長さはどれくらいがいいですか?
ユーザーの検索ニーズに答える内容であれば何文字でも構いません。
ただし、内容の充実した記事が比較的上位表示されやすいので、文字量が多いことはプラスに働くことが多いです。
Q.AMPプラグインは導入した方がいいですか?
今回の記事では詳しく触れませんでしたが、ほとんどのサイトでは導入しない方が良いです。
詳しくは【プレミアム】AMPは効果があるのか?実際の事例と導入方法は?をご覧ください。
Q.タグとカテゴリのどちらを使う方が良いですか?
一般的にはカテゴリの方がSEOにとって有利ですし、ユーザーにとって親切なことが多いです。
階層化することで、情報が整理され、情報を発見しやすくなるからです。
最後に
今回はWordPressのディレクションに最低限必要なSEOの知識についてまとめてみました。
次回は知っておきたいWordPressの仕組みについてご説明します。